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【推し企業紹介】100%下請けからの脱却。金属切削のプロが描くモノづくり|株式会社セイワ

株式会社イチテンゴは、名古屋から車で1.5時間で行くことができるエリアをローカル経済圏として捉え、このエリアで「ワクワクするローカルエコノミーを表出させる」をビジョンに掲げ、活動しています。
メディア運営もその一つなのですが、本シリーズは、その中で出会った新しい挑戦をされている方や面白い事業をされている方をご紹介していきます。


モノづくりのまち、西尾市

愛知県西尾市。 西尾というと『抹茶』が有名ですが、実は製造業も盛んなエリア。 トヨタ自動車の豊田市や、名古屋市へのアクセスも良く、デンソーやアイシンといった世界的な自動車関連企業をはじめ、日本のモノづくりを根幹から支える企業が集積するまちです。

令和2年の工業統計調査によると、西尾市の製造品出荷額等は愛知県内54市町村中、第6位。なかでも輸送用機械については県内5位を誇り、愛知の自動車産業において欠かせない役割を担っています(西尾市公式サイトより)。

そんなモノづくりのまち西尾市で、金属切削を得意とし自動車部品の試作や小ロット生産を手掛ける株式会社セイワ。
最近では、若手を中心とした「チーム セイワ魂」を立ち上げ、新たなものづくりに挑戦しています。二代目代表取締役社長の加藤正和さんに、その歩みと今後の夢について伺いました。

株式会社セイワ 代表取締役社長 加藤正和さん

セイワの原点——「誠意」と「和」

株式会社セイワの歩みは、1969年からスタートします。創業者・下谷七郎氏が脱サラして立ち上げた「西の町鉄工所」から幕を開けました。当時は繊維機械部品の加工が主でしたが、時代の潮流を読み解き、主軸を自動車部品へとシフト。

1982年の会社設立時に、大きな決断を下します。それが「セイワ」への社名変更でした。

創業者が掲げたのは、商いの根幹である「誠意」と、組織の結束を象徴する「和」。当時の鉄工所文化において一般的だった、漢字の屋号を捨て、あえて「カタカナ3文字」というモダンな装いを選択。そこには「他社とは違う、洗練された存在でありたい」という、ブランディング意識が潜んでいました。

異業種からの転身と「弱みを強みに変える」戦略

2004年、加藤さんは建築資材メーカーの営業職という、自動車部品とは全く異なる世界からセイワへと飛び込みました。義父からの「うちに来ないか」という、突然の一言に最初は驚きましたが、「経営に携わってみたい」という思いもあったため、入社を決意します。

2016年に事業を承継した加藤さんが描いたのは、大手企業が追求する「量産による効率化」の逆を行く方針でした。月に1万個を作るような自動化ラインではなく、高い技術と手間を要する「少量多品種・小ロット」の試作加工に特化したのです。

西尾市のような産業集積地において、小さな下請け企業が特徴を出して生き残るためには、他社がやりたがらない面倒な仕事に特化し、「光るもの」をつくることで、生き残りの道を見出していきたいと加藤さんは語ります。

一見、非効率に思えるこの戦略は、結果として「セイワにしか頼めない」という他社からの信頼を構築しました。

「チーム セイワ魂」100%下請けからの脱却

2018年、加藤さんは若手社員を中心に「チーム セイワ魂」を結成しました。目的は、下請けという受動的な立場からの脱却と、技術者の「主体性」の獲得です。

業務時間の一部を、自分たちが「本当に作りたいもの」のために使う。この部活動のような雰囲気でスタートされました。

そして、2020年にコロナのパンデミックが訪れます。最初は売上が落ちることが何よりも恐ろしかったそうですが、加藤さんは『あ、時間ができるじゃん』とポジティブな発想に転換。これまでできなかったモノづくりを「チーム セイワ魂」で進めていきました。

最初のプロダクトは、ドアノブに触れずに開閉できる「リスプン」の開発でした。「リスト(手首)でオープン(開ける)」という由来を持つこの器具は、感染を防ぐため接触のリスクを減らしている当時、画期的なアイデアでした。

リスプン(出典:campfire

製品が完成すると、「小学校や保育園に寄贈して、子供たちに使ってもらおう」と考え、市役所に向います。しかし、今の学校はほぼ引き戸。需要がないことに気づき、世に出すこと、販売することの難しさを感じます。

その後、デザインチーム「AATISMO(アアティズモ)」との出会いが、彼らの技術を「OOPARTS(オーパーツ)」という、プロダクトラインへと昇華させました。

  • OOPARTS-001:金属の塊から削り出された、石器のような開梱ナイフ

  • OOPARTS-002:古代建築の柱の精神を継承したアルミ総切削の花器

  • OOPARTS-003:金属の切削痕が文様となって光に輝くアクセサリー

OOPARTS-001 (出典: LabLINE )
OOPARTS-002 (出典: LabLINE)
OOPARTS-003 (出典: LabLINE)

OOPARTS-001 は、クラウドファンディングで目標の880%を達成し、西尾市のふるさと納税返礼品にも選ばれました。

未来をデザインする――社員の人生のプロデュース

これまで、下請けではなく主体的なモノづくりを進めてきた加藤さんですが、真にデザインしようとしているのは、プロダクトの先にある「人」です。

「社員一人ひとりの人生をプロデュースすること」

現在、約40名の社員全員に対し、加藤さんは年に2回の面談や食事の機会を通じて、彼らの「人生」に耳を傾けています。セイワで働くことが、単なる対価を得るための労働ではなく、一人ひとりの人生の一部となること。

少品種大ロットの生産から方向転換したことも、こうした考え方がもとになっています。「誰でもできることを続けたって面白くないじゃないですか。個性が発揮される場をつくることが重要。」と加藤さんは言います。

「ここで働いて良かった」とそう思ってもらえるような会社にしていくことが、加藤さんの夢。

そんなセイワさんで今後どんなプロダクトが出てくるのか楽しみです。

詳しいお話は、2/21(土)、2/28(土) 放送のラジオ番組『la CASA presents Design × Life Goes On』でお聞きいただけます。

番組名:la CASA presents Design × Life Goes On
放送局:FM AICHI
放送日時:毎週土曜日 08:30-08:55
放送終了後、radikoでもお聞きいただけます。