日本映画ベスト100 その㉖「KAMIKAZE TAXI」「キッズ・リターン」「トキワ荘の青春」
KAMIKAZE TAXI/原田眞人 1995
原田眞人がオリジナルビデオで製作、細かなカット割りのお馴染みの作風を確立した作品を、再構成して劇場公開したもの。しかしながら映画館で観るべきダイナミックさ、人間臭さに満ちている作品だ。暴力団構成員の達夫は、組長に仲間を殺されたうえ、復讐にも失敗。追われる羽目になり、同じく殺されかけた女性・タマとともにタクシーに乗り逃亡する。運転手の寒竹は日系ペルー人の帰国子女で、半ゲリラ組織で活動したこともある不思議な男だった…。役所広司は、この役で一躍注目を浴び、その後「Shall we ダンス?」「シャブ極道」「失楽園」「うなぎ」と主演作を重ね、日本を代表する俳優になった。
キッズ・リターン/北野武 1996
バイク事故を起こして暫く休業していた北野武の復帰作で、当時の心境をそのまま反映させた青春ドラマとなっている。マサルとシンジは授業にも出ずフラフラしている高校生コンビ。ある日、カツアゲしたところをボクサーに返り討ちにあったマサルは、ボクシングを始める。しかし、シンジの方が才能があると気づき、極道へと転身する…。同級生たちも含め、挫折から這い上がる者、這い上がれない者、それでも地道な努力を続ける者など、誰かの人生の脇役である人々の人生が綴られていく、「俺たちもう終わっちゃったのかな?」という問いかけは、監督自身、そして観客すべてに投げかけられた言葉として深く刻み込まれる。
トキワ荘の青春/市川準 1996
私が90年代の日本映画で最も好きな作品は、「キッズ・リターン」とこの作品。トキワ荘に関する物語は数々のドラマや漫画でも語られているが、その中でも淡々とした日常を描いた本品が一番ではないかと思う。トキワ荘のリーダー的存在であった寺田ヒロオを狂言回しにした青春群像劇で、赤塚不二夫と森安直哉の明暗、トキワ荘と距離を置くつげ義春、創作の限界を論じる棚下照生など印象に残るシーンは多い。主演は本木雅弘であるが、ほかは当時無名だった小劇場の俳優(阿部サダヲ、古田新太、生瀬勝久)や自主映画関連の人々などが集められ、本当のトキワ荘のような雰囲気を演出している。
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