なぜヨーロッパの人が英語に対して抵抗が少ないのか考えてみた
英語が「お勉強」ではなく「生活の背景音」になっている
私は2019年ころ、私は北欧のデンマーク国に住んでいました。
当時、真っ先に驚いたのがテレビの番組事情でした。
ゴールデンタイムに流れる海外ドラマも映画も、基本的には「英語音声 + 母国語(デンマーク語)の字幕」。日本のように日本語へ吹き替えられることは、あまりありません。
つまり、テレビをつければ一日中、部屋の中に自然と英語が流れている状態なんです。現地の子供たちは、学校で文法を習うずっと前から「英語の音とリズム」を日常的に耳から浴びて育ちます。これなら、英語の音に対する心理的拒否反応が生まれないのも納得です。
さらに、彼らの生活のすぐそばには「英語を使わざるを得ない環境」が広がっています。

ご存知の通り、EU圏内は国境の壁が低く、人の行き来がとにかく盛んです。
私が住んでいたのは首都から少し離れた地方都市だったのですが、それでも日常的に他のヨーロッパ諸国からの旅行者や移住者を見かけました。そして、彼らとコミュニケーションをとる手段は、当然のように「共通語としての英語」になります。
彼らにとって英語は、テストで良い点数を取るための「教科」ではありません。街のカフェや駅のホームで、目の前の相手と話すための「生活インフラ」なんです。
赤ちゃんの頃から「英語の音」が日常に溶け込んでいて、一歩外に出れば「英語を使う現実」がある。
この「圧倒的な接触量の多さ」と「使う必要性」こそが、ヨーロッパの人々が英語に対して苦手意識を持たない最大の理由だと感じました。
帰国後、日本で「英語環境」を再現するために実践した4つのこと
ヨーロッパの人が英語に抵抗がない最大の理由は「日常の中に英語が溶け込んでいるから」でした。
だとしたら、日本に帰国した私がやるべきことは一つ。「日本にいながら、自分の周りをヨーロッパの環境に近づけること」でした。
英語の感覚を落とさないために、私が日常で実践している4つの習慣をご紹介します。
①通勤時間を「英語のラジオ時間」にする(Podcastの活用)
毎朝の通勤時間は、自分専用の英語リスニング時間と決めてお気に入りの番組を聴いています。特におすすめなのは以下の2つです。
◆ NHK WORLD-RADIO JAPAN
日本のニュースを英語で届けてくれるプログラムです。すでに知っている日本の出来事がベースになっているため、情景がイメージしやすく「こういうニュースは英語でこう表現するんだ!」という発見があります。
◆ Hapa英会話
ネイティブの先生が日常の身近なトピックを自然なスピードで話してくれます。文化の違いや、会話でそのまま使える「リアルな熟語・フレーズ」が学べる最高の教材です。
「勉強しよう」と机に向かうのではなく、歯磨きや移動中の「ながら聴き」を習慣化するのがコツです。
②映画・ドラマは「英語音声 + 英語字幕」で観る
最初は日本語字幕に頼りたくなりますが、「英語音声 + 英語字幕」に切り替えてみてください。
耳から入る音と、目から入る文字を英語で一致させることで、「リスニングの答え合わせ」がリアルタイムで行われます。どうしても難しいと感じる方は、最初はストーリーを知っている好きな映画から試すのがおすすめです。

③海外の友人と「小さなアウトプット」を日課にする
日本にいると、どうしても「読む・聴く(インプット)」に偏りがちです。意識しないと「話す・書く(アウトプット)」の機会はゼロになってしまいます。
そこで私は、デンマークでできた友人やアプリで出会った海外のペンパルと、SNSで頻繁にメッセージをやり取りしています。
送る内容は、大層なニュースや議論である必要はありません。
「今日はランニングをしたよ」「そっちは暑い?体調気をつけてね」といった、本当にちょっとした日常の出来事で十分です。
日常の思考を「英語で吐き出すクセ」をつけることが、スピーキングやライティングの心理的ハードルを劇的に下げてくれます。
④分からない単語は「翻訳アプリ」ではなく「意味と使い方」を検索する
ネットで分からない単語に出会ったとき、一発で日本語に訳してくれる翻訳ボタンをすぐ押していませんか?
手軽で便利なのですが、パッと日本語を見て理解した気になると、脳に定着せずすぐに忘れてしまいます。
私は分からない単語が出たとき、単語そのものの意味(英英辞典的なニュアンス)や、「どういう文脈で使われているか(例文)」を検索するようにしています。
「あ、この単語はこういうシチュエーションで使うんだ!」と納得するプロセスを挟むことで、次に自分がアウトプットするときに「使ってみよう」と頭に残りやすくなります。
まとめ:大切なのは「英語を特別なものにしないこと」
ヨーロッパの人々が英語に対して抵抗がないのは、彼らが特別な言語才能を持っているからではありません。単に、英語が「日常の背景」として当たり前に存在しているからです。
日本に住んでいると、何もしなければ英語は「非日常」の存在になってしまいます。
だからこそ、ラジオを聴く、映画の字幕を変える、ひとことメッセージを送る——そんな小さな工夫で、自分の生活領域に英語を少しずつ浸透させていくことが大切です。
「完璧に話すこと」を目指す必要はありません。
まずは自分の身の回りを「ちょっとだけ英語に浸かる環境」に整えることから始めてみませんか?
