臨床検査技師が知る梅毒・先天梅毒の増加2026年8月|妊婦・新生児検査で確認すべきポイント

梅毒の感染者数が2026年も高水準で推移しており、8月には福岡県などの自治体から相次いで注意喚起が出されている。全国の年間報告数は2025年に13,530人と1999年以降で最多水準を更新し続け、母子感染による先天梅毒のリスクも増加傾向にある。臨床検査技師として押さえておきたい、妊婦・新生児の梅毒検査の考え方を整理する。

梅毒の全国的な増加動向|2026年8月時点の状況

国内の梅毒報告数は2014年の約1,700件から10年余りで約10倍に増加し、2025年は13,530人と高水準が続いている。2026年8月には福岡県が第32週・第33週と2週連続で感染拡大の注意喚起を発出しており、妊娠可能年齢層での感染増加が母子感染リスクに直結する構図が続いている。

先天梅毒とは|報告数の推移とリスク

先天梅毒は母体の梅毒トレポネーマが胎盤を介して胎児に感染するもので、死産・早産・新生児死亡・奇形などのリスクを伴う。年間報告数は従来20例前後で推移していたが、2023年に37例(暫定値)、2024年は30例(暫定値)と増加傾向にあり、母体の感染増加を反映した動きとみられる。

妊婦・新生児の梅毒検査で判断が割れる境界例

妊婦健診では非トレポネーマ検査(RPR等)とトレポネーマ検査(TPPA・TPHA等)を組み合わせて判定するのが基本だが、実務では判断に迷う場面がある。ひとつは、既に治療歴のある妊婦でRPR価が低値のまま持続しているケースで、既往感染の瘢痕反応か再感染かの切り分けが難しい。もうひとつは新生児側で、母体由来のIgG抗体は胎盤を通過するため出生時陽性がそのまま先天梅毒を意味しない点である。実務では新生児自身のRPR定量価が母体価の4倍以上であるか、IgM抗体が検出されるかを目安に判定する。

ベテラン技師の勘所

経験のある技師は、単回のRPR陽性だけで判断せず、妊婦健診の複数時点でのRPR定量値の推移(治療後に4倍以上低下しているか)を追うことを重視する。新生児検体についても、出生直後の採血だけでなく、生後数日〜数週での再検査が必要になる場合があることを産科・小児科側に申し送る動き方をする技師が多い。

先天梅毒は早期の治療介入で予後を大きく改善できるため、妊婦健診での梅毒検査を確実に実施し、陽性時の追跡検査を途切れさせない体制づくりが引き続き重要である。

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