《散文》融解

「ほら君、そんなところに居たら溶けてしまうぞ」

私は別に溶けたっていいわよ。そもそもどうして私たち、人の形をしてなくちゃならないのかしら。

「またそんなことを言って……さあこちらにきて涼むんだ」

嫌よ。液体になったらどんな具合かしらね? できればベトベトしたくはないけれど。そう、さらさらのミルクのようになりたいわ。
ああ、もちろん、こぼしたミルクを拭いた雑巾みたいに、腐った臭いを放つようにはなりたくないけれど。
……本当は気体になったって構わないのよ。
人間以外であれば……もう、人間でいることに……飽き飽きして……のよ

あ、

君は見る間に溶け、またたく間に蒸発してしまった。
君がいた窓際には、君の服と靴だけ残っている。
僕はその二つを回収し、逃げるようにその場を後にした。

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