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AI部下はマイクロマネジメントが苦手

PPTで提案書を作るとき、私はまずClaudeにページ割(構成)を考えてもらい、そのあとはPowerPoint用のClaudeアドインで細部を仕上げていく。最初から最後までチャットだけで完結させることはしない。

理由は二つある。一つは単純にコストの問題だ。細かい修正のたびにファイル単位で作り直しをお願いしていると、あっという間にクレジットを消費してしまう。もう一つは、部分最適と全体最適の問題だ。チャット上で細部への指示を積み重ねていくと、その一つひとつは狙った通りに仕上がる。しかし全体を通して見ると、ページごとの「重みづけ」や情報の「粒度」がちぐはぐになりやすい。だから私は、先に全体の構造を固めてしまい、その枠の中で部分ごとのクオリティを上げていくという順番を守っている。

これは生成AI全般に言えることだが、事細かく指示を出すよりも、違和感だけをそっと伝えて改善の意思を示したほうが、結果的にずっと早く目的地に着くことが多い。Claudeのアドインでは、極端に言えば「この図の構成、もう少し何とかなりませんか?」と一言投げるだけで、想定を超えるアウトプットが返ってくることがある。逆に、フォントサイズは○○で、項目2は△△ではなく□□で……と条件を積み重ねていくと、「そこは触らなくていいのに」「なんで分からないんだ、このポンコツが」という不満が募っていく。

最近「AI部下」という言葉をよく見かける。多くは業務の自動化という文脈で使われている言葉だと理解しているが、PPT作成のような古典的な業務ひとつを取っても、AIへの指示出しの作法には「部下マネジメント」的な構造がはっきり表れていると思う。上司は部下に大局を示す必要がある。それを怠って細部の指示ばかり出していれば、部下は自分の判断力を発揮する余地を失い、ポテンシャルをいつまでも出せないままになる。AIに対しても、人に対しても、似たことが起きている。

もっとも、この「AIは大局を示さないと部分最適に陥る」という前提自体、モデルの進化次第でいつ崩れるか分からない。半年後には、細かい指示を出しても全体を崩さずに仕上げてくれるAIが当たり前になっているかもしれない。だとすれば、いま磨くべきは「指示の出し方」ではなく、「何を大局として渡すか」を見極める力の方だと思う。

内心「なんで分からないんだ」と思わせる部下を持っている上司の方、それは大局を示せていないあなたの側の問題かもしれません。

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小林範之 最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。