『宇宙兄弟』が完結。漫画ではなく「大人の教科書」#313
『宇宙兄弟』がフィナーレを迎えました。
長く読み続けてきた作品だからこそ、
「終わってしまった」という寂しさがある。
子どもの頃に読んでいたら、
「宇宙飛行士ってかっこいい」
「いつか宇宙に行ってみたい」
という気持ちで読んでいたと思う。
実は高校受験の面接で、将来の夢を聞かれた時
「宇宙飛行士」と答えたのを覚えている。
無理くり捻り出して答えて、
見事に不合格。だったのは苦い思い出。
学生時代は夢中になっていたものがあった。
社会人になりたての時は、燃え尽き症候群に近かった。
そんなときに読み始めた『宇宙兄弟』は、
新しい選択肢を提示してくれたように思う。
※一部ネタばれあります。
夢は、子どもだけのものじゃない

作品のフィナーレに伴って、
渋谷で展示会が催されている。
8月23日までとなっているので、お早めに。

『宇宙兄弟』の中心にあるのは、
主人公六太と日々人が子どもの頃に交わした
「宇宙飛行士になる」という夢だ。
社会人になると学生の頃のように、
「やりたいからやる」という選択が難しくなる。
会社が生活の中心になる人がほとんどだから。
「本当はやりたいことがあるけど」
と腰が重たくなる。
そんなふうに、自分の気持ちに蓋をすることもある。
でも、『宇宙兄弟』を読んでいると、
そんな自分でも良いという気持ちにさせてくれる。
六太を中心として、宇宙飛行士を目指す人たちは
20代〜60代と幅広い。
「もう遅い」と決めつける必要はない。
いつからでも新しいことをことを始めていい。
いつでもリセットしていい。
宇宙兄弟を読んでいると、
人によって、変化のきっかけが訪れる
何かしらのタイミングがどこかで必ず
あるように思う。
一人の力だけでは、人生は前に進まない

また、『宇宙兄弟』から強く感じることがある。
それは、
人は一人では夢を叶えられない
ということだ。
宇宙飛行士という仕事は、極限状態の中で判断を求められる。
だからこそ、作品の中では「仲間」の存在が何度も描かれる。
「チーム」の存在が、家族、仲間、友達。
全部が1つになっているのが、憧れをくれる。
仲間に助けられ、誰かの言葉に背中を押され、
時には誰かの夢を受け継ぎながら前に進んでいく。
友人の死を体感して、
夢とやるべきことがはっきりするシーンもある。
体が不自由になった恩人のためにも
宇宙飛行士になる理由がある。
人に頼ることができる人。
誰かの力を借りられる人。
そして、自分も誰かの力になれる人。
そういう人は強い。
夢や目標を実現する人なのだと感じさせる。
『宇宙兄弟』に登場する人たちも、
それぞれ違う価値観や能力を持っている。
全員が同じタイプではない。
だからこそ面白い。
『宇宙兄弟』は、大人の教科書だった

『宇宙兄弟』が教えてくれるのは、
自分の人生を、自分で選び続けることの大切さ。
仕事に悩んだとき。
周りと比較してしまったとき。
「自分は何をしているんだろう」と思ったとき。
そんな瞬間に、もう一度読み返したくなる。
『宇宙兄弟』は、
夢を追いかけること。
失敗すること。
誰かに支えてもらうこと。
自分も誰かを支えること。
そんな「必要なこと」が、たくさん詰まっている。
六太、日々人もたくさんの人と触れ合って
困難を乗り越えていく。
読んでいると時間がかかること、
遠回りすることに許可をくれる。
人生は、誰かと競争して一番になるためのものではない。
自分が信じたものを、何度でも選び直していくためのもの。
と気づかせてくれる。
背中を押してくれる。
励ましてくれる。
『宇宙兄弟』は、生きていくための、
「大人の教科書」である。
枡田泰明
