無花果に愛を【詩】
ぼくには
広い世界がまぶしすぎた
どこへ飛んでいけばいいのか分からずに
ただ 迷っていた
そんなとき
風のなかで見つけた
君の 甘くかすかなため息
それは
ぼくの名前を呼ぶ声だった
緑色の固い
小さな小さな窓に
頭をねじ込む
狭くて
痛くて
自慢だったぼくの羽が
一枚ずつ
ちぎれていく
もう二度と
あの青空へは帰れない
それでも
ちっとも怖くなかったよ
窓をくぐり抜けた
その先に
世界でいちばん綺麗な
赤い花園が見えたから
ぼくは
つばさを捨てて
君の暗闇を
生きることを選んだんだ
前の街から運んできた
ひかりの粒を
君のドレスに
そっと ちりばめる
それが
ぼくの
最初で最後の
プロポーズ
命が尽きて
目を閉じる
その瞬間まで
ぼくの耳には
心地よく響いていたよ
君の胸のなかで
新しい何かが
ぷちぷちと
小さく
はじける音が
