『ナワリヌイ』(ダニエル・ロアー、2022年)
これはナワリヌイ映画というよりも、彼をサポートしているベリングキャットのクリスト・グローゼフの映画なのかもしれない。
いや、ナワリヌイ本人もとても面白く、要は参政党の神谷なんちゃらとか、ちょっと前なら維新の橋本とか、あーいう極端な言動で注目を集めたネトウヨみたいな存在がだんだん反権力のスターみたいに成り上がる、今時のSNS政治家のスタンスを眺める作品としてもなかなか興味深かった。この映画自体をプロジェクトの伏線にしつつ、調査結果をYoutubeで公開してリアリティTVみたいにしていくスタイルなども含めて、いかにしてネットサブカルチャーを政治に取り入れていくことができるのかを見せてくれる。この映画を観て、「ナワリヌイかっこいい!反権力!」と思って応援してしまうタイプと、「いや、こいつなんかちょっと胡散臭いよな」と思うタイプに分かれるだろうが、より情報社会強者なのは無論、後者である。
ちなみにナワリヌイは結局、収容所に入れられて、たらい回しにされ、繰り返し拷問を受けて、最後は北極圏の収容所で亡くなった。ロシア恐るべし。
で、そのナワリヌイのまわりでちょろちょろしている、どう見ても普通のひ弱なオッサンが、普通のノートPCをスタバみたいなとこでカタカタしているだけなのに、ロシアの暗殺チームのフライトの利用記録だの、彼らの電話番号だの、プライベートなやり取りの記録だの、次々と情報をとってきてしまう。ベリングキャットとか言っているが、日本人からしたらあんた、どこぞの猫型ロボット並にお手軽にすごいことやっているよ。
「どうしたんだーい? ナワリヌイくーーん?」
「ベリングキャットぉぉ~またプーチンが僕を暗殺しようとしたよぉ~。プーチンをやっつける便利な情報を出してえええ~」
「しょうがないなー。はい、「暗殺者チーム全員の顔写真と名前と電話番号リストぉぉ~~」
なんやねん、それ。もちろん、あのオッサンもやってることも、全部ただの役者にやらせていて、本当はフェイクなのかもしれない。
ということで、ベリングキャットすごいですね。あれがアラブの春から発信していることも含めて、SNS時代の反政府活動をリードしていると思う。今後どうなっていくのか楽しみ。
星3
