15年ぶりにセックスした52歳 シーズン2 第27話
やもめの佐藤
小さかったころ、翔太が言った。
「パパ、ママのことデパートで買ってきてよ」
ベビーシッターさん、お手伝いさんの君江、家庭教師のアベちゃんと、たくさんの大人に囲まれて育ってきた翔太だったが、ママが不在である淋しさを抱えていたと思うと胸が苦しくなった。
心の中で誓った。『ママを探すよ。翔太』 以来婚活をしている。
これまでにも様々な女性と婚活をしてきたが、9歳という翔太の年齢がネックとなってお見合いが、なかなかうまくいかなかった。
プロフィールに子持ちOK、バツイチOKとなってはいるが、例えば子供が成人して独立しているケースや、まだ自分が本当の母親と信じ込ませられるくらい幼い年齢だったらいい、というケースがほとんどだ。
以前知り合った女医さんに、ほとんど母性がなかったのにも驚いた。『人間が好きだったから医者になったんです』 と言うようなことは言っていたが、ウソだった。
翔太を産んだ母親は母性があった。子供3人かかえて懸命に生きていた。健気で美しい聡子。
しかし、翔太を、せっかく身ごもったとたん半狂乱になった。中絶したいと泣き叫んだ時、思わず頬をたたいた。
「私、もう子供が3人いるのよ、いらないわ、43歳でまた子供産んで、もうたくさん。
堕ろすわ、明日病院に行く」
次の日、違う病院に連れて行くと、統合失調症と言われた。さらに追い打ちをかけるように、今までも薬を飲んでいたことが医師から告げられた。
生まれるまで、命がけでお腹の子を守った。母子手帳いっぱいに、気分が悪いだの、産みたくないだの書いてあった。
必死にそれを消して、お手伝いさんの君江さんに、『パパが毎日早く帰ってきてあなたに話しかけてるの。ママは幸せよ』 と書き直ししてもらった。
離婚から9年、勉強好きな賢い子に育った。いずれ麻布にある名門校も合格するだろう。東大医学部の家庭教師を雇っている。
あとは母親だ。綺麗なだけの女はダメだ。育ちのよい、母性がある女。名門校の授業参観にきても恥ずかしくない母親。
白いワンピースをきた田村優子という女性に交際の申し込みをした。その笑顔からは母性がにじみ出ていた。英国の歴史好きと書いてある。この女性を愛せるだろうか?
いや、愛は二の次だ。女が欲しければ買えるだろう。
息子が幼い頃 『ママをデパートで買って来てよ』 と主張した言葉を実践することはできないが、デパートに女を連れて行き、好きなものを買い与えればいい。たいていの女はなびく。愛はあとからついてきてもいい。
相手は52歳と書いてある。それくらいは理解するだろう。
