男の引き際――椿と山茶花、二つの美学
3月も終盤、街のあちこちで
別れの景色を見かける季節になりました。
冬から春にかけて、
私は、二つの異なる「花の終わり」見ました。
みなさんは、椿と山茶花(サザンカ)の違いをご存知でしょうか。
花そのものは、よく似ていますが、
その「散り際」は、見事なほどに対照的です。
まずは椿。
椿は、花びらを一枚も乱すことなく、潔く花ごとぽとりと落ちます。
未練を一切見せず、一瞬で舞台を降りる。
武士の引き際のような潔さです。
一方で、山茶花(サザンカ)。
花びらが一枚、一枚、風に舞うように散ります。
地面を自らの色彩で埋め尽くし、
去ったあとの景色さえも美しく彩る。
惜しまれながら去りゆく人の「余韻」のようです。
この二つの散り際を見て、ふと思いました。
男の引き際もまた、一つではないのだと。
潔く、一言も語らずに去る強さ。
あるいは、自分の歩んできた軌跡を美しく残す余韻。
形は違えど、どちらも全力で咲ききった。
そして、花が落ちたその瞬間から、
木々は来年の春に向けた「静かな準備」に入ります。
別れや退場は、終わりではありません。
見事に散ることは、
次なる自分へと生まれ変わるための、
最も気高い儀式なのかもしれません。
こちらにも、男の美学があります。
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます。とても励みになります。心から感謝申し上げます!