君の名は
春になると、ふと思い出すことがあります。
私が20代の頃、勤務していた会社の上司が言った一言です。
その上司は、ある日、こう言いました。
「僕は、人を呼ぶときに名前で呼ぶ。
「おばさん」「おじさん」のような呼び方はしない」
そして
「ビルの清掃をする人に対して「掃除のおばさん」と言う人がいるが、
僕は、〇〇さん、と名前で呼ぶ。それが相手に対する礼儀です」
それは、社会人になってまもない私が、
初めて知った、"大人の礼儀"だったかもしれません。
名前を知らない人に対して、
「奥さん」「ご主人」「おとうさん」
「おかあさん」「おばあさん」「おじいさん」
と呼ぶことも、ときに失礼になることがあります。
4月、散る桜を見上げながら、
思い出した、春の記憶・・・。
──名前で呼ぶことは、
相手を一人の人として尊重する、最も静かな品格です。
ここにも、品格のある美学があります。
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