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国語|今週の誤字誤植|①適正テスト,②根(を)上げる

◆「適正テスト」
・週刊モーニング 2025. No.39(9/11),講談社
江口夏実「出禁のモグラ」第100話

「出禁のモグラ」第100話

誤 「適正テスト」
正 「適性テスト」

ありがち typo。「適正な」テストではなく,「適性を」測定するテストのはず。
「制作」も,本来は芸術作品やデザインについて用いる用語であり(「制作」/「製作」で,中学入試の「同音異義語」頻出セット),「分析表」を作ったのであれば,「作成」が適正であろう。

作者はデザイン畑出身で,割に誤字の多いタイプの人。担当編集は気をつけてあげてほしい。
今回はほぼ丸々,悪役(ヴィラン)の「疫病神(ツルギ)」が,動画サイトで視聴者の薄っぺらい自尊心を言葉巧みにくすぐりつつ取り込んでいくトークの実況で,面白い回だった。
ここで作成元として挙げられた(架空の)ベンチャー企業の名前が「(株)NUE(エヌユーイー)あびす」。
「NUE」は「鵺(ぬえ)」,「あびす」は「アビス(奈落)」で,どちらも疫病神の関連語。
さらに,分析表のタイプ診断は「トラタイプ」「サルタイプ」「ヘビタイプ」「タヌキタイプ」で,そのまま,「鵺」を構成する4つの動物となっている。

ところで,typo よりもネタとして面白かったのが,こちら↓。google 検索での,AIによる出鱈目解説。

AIによる出鱈目解説

「出禁のモグラ」の作者は江口夏実だし,「無限の住人」などで知られる沙村広明とは,何の関係もない(一応,「モグラ」も「むげ住」も,主人公が「死ねない」キャラであることは共通している)。
本作は,「現代の下町を舞台にあの世から出禁をくらっている男・モグラを中心に非日常な物語が描かれる」(ウィキペディアより)作品である。
作中で「モグラたちがビルを昇り謎を解き明かす」という紹介は,本作の「ワンダーランド編」が,モグラと仲間たちが少女の霊「フユミ」に乗っ取られたビルを攻略する展開であったところからと思われるが(「あらすじ」欄も同じ内容になっている),作品全体の解説としては,まるっきり的をはずしているし,何の前置きもなく「モグラたち」と書かれると,読む人は普通に,動物のモグラをイメージするだろう。
結果として,「出禁のモグラ」とは(動物の)モグラたちがビルをよじ登る漫画なり,という,実際とはおよそかけ離れたイメージを描き出すことに成功している。
ちなみに,「ツルギ」は疫病神の通称なので,「この物語の登場人物であると推測され」る,というのは,大当たり。

◆「根(を)上げる」
・小林有吾「アオアシ」40巻(最終巻),2025. 09.,小学館

「アオアシ」40巻

誤 「根 上げる」
正 「音 上げる」

「ねをあげる」で正しい変換候補が出ないスマホの変換アルゴリズムは,つくづく日本語音痴のヘッポコだなあ。
「音を上げる」の「を」を略して「音上げる」というのは,一見言いづらそうだが,関西人は「目ぇが痛いねん」とか,「気ぃ悪うせんといてや」とか,一音節語を伸ばして言うので,これも「音(ねぇ)上げる」という感覚で書かれたものかと推測される。作者は愛媛県松山の人。
ちなみに,和歌山県の旧国名「紀伊国(きのくに)」が「紀伊(きい)」なのも,「古事記」などに見える元の表記は「木国(きのくに)」なので,国名を吉字2字で統一した際,「木国」という1音節国名の処置に困って,「木(きぃ)」を「きい」としたものと思われる。

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