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47.まちと関わる#7~キラキラより現実を。移住を煽らないで!~

港まちをのんびりと散歩しながら、古い建物の佇まいを眺めたり、水面や空の様子をぼんやりと見つめたりする。そんなふうに、この場所でどうやって過ごしていこうか、どんな営みができるだろうかと、日々あれこれと模索しています。

そんな個人的な手探りを続ける一方で、世間では国が主導する「地方創生」や「関係人口の拡大」(例えば、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局、総務省地域力創造グループ(地域自立応援課・地域政策課)、農林水産省農村振興局などが推進)が盛んに叫ばれています。人口減少が進む日本において、人々の様々な移動を促し経済を活性化したり、新しい挑戦を生むための大切な一手として、必要性は理解しています。 (地方創生 / 移住・交流ナビ
ただ、よく耳にする「関係人口」という言葉、なんだか響きはとてもステキに聞こえたりもするけれど、どこか実態が掴めなくて「何を意味しているんだろう?」とずっとモヤモヤした違和感を抱えていました。そんな中、あるnoteの記事『関係人口の失敗例』を読んで、そのモヤモヤが少し解きほぐされ、言葉のフワッとした心地よさの裏側にある本質を、少しずつ自分で噛み砕いていけたように思えました(個人の感想です)。

一方で、国が示す大きな方向性を受け止める現場では、少し様子が異なります。半島のある自治体が企画するミーティングや、中小企業の副業・兼業推進、市町村の計画などが掲げる方向性そのものは前向きです。しかし、実際の施策になると、どうしても「移住者数」や「起業件数」といった目先の数字の達成に終始しがどのように見えます。これらの数値は施策を評価し、補助金を出す側に報告するための指標(KPI)に設定されているのかもしれませんが、結果として華やかなイベント的な盛り上がりだけで終わってしまうように見えることがあります。
もちろん、人を呼び込むキッカケづくりは大切です。でも、その盛り上がりに背中を押されて、十分な準備がないまま飛び込み(拙速な決断を煽ったりして)、数年後に疲弊して撤退してしまう人が増えてしまったら……それは本人のみならず、人口を増やしたいと支援した行政などにとっても本意ではないはずです。

ここでは、そんなイベント調の便乗施策に少し違和感を覚えたことをきっかけにして、「移住や二拠点、起業を考えている人が、本当に幸せに暮らすためにはどんな視点が必要なんだろう」ということを、港まちを散歩しながら考えたことも含めて、個人的な備忘録も兼ねて整理してみたいと思います。

「成功モデル」の華やかさと、現実の計算

自治体のイベントやパンフレット、HPを見ていると、「地方ならイニシャルコストが低く抑えられる」「補助金を使って起業できる」といった、スタートの明るい部分がクローズアップされがちです。
確かに、都会と比べれば家賃や初期費用のハードルは低いかもしれません。でも、事業を継続していくためには、当然ながら「顧客(買ってくれる人)」が存在する必要があります。特にB2Cのビジネスを考えるとき、「一体誰の財布をあてにするのか」という問いは避けて通れません。普段の生活者なのか、それとも限られた来訪者(観光客)なのか。その来訪者の集客リスクを、どれだけ定量的に見きれているだろうかと、少し気になってしまいます。

また、移住促進の媒体で紹介されたり、世の中で語られるのは、見事な手腕や独自のノウハウや大変なご苦労で達成されている「勝者」の事例が中心になりがちです。もし可能であれば、華やかな成功事例だけでなく、例えば「3年後の閉店・撤退率」といった客観的な数字や、うまくいかなかった事例の背景にある構造などを、自治体では難しければ商工会などで共有してもらえると、これから挑む人にとって何よりの道標(誠意)になるのではないかと思います。

移住と二拠点を考えるときに、見ておきたい「5つの留意点」

これからあこがれの地域で暮らしたり、事業を始めたりしたいと思うなら、自治体などのイベントの熱気から少し離れて、自分自身の足元を冷徹に見つめ直してみる視点を持っておいたほうが良いのかもしれません。

1. 生活にかかる固定費と付帯コスト
家賃や光熱水費だけでなく、食費、そして何より地方生活で必須になりやすい車両の購入・維持費、駐車場代、都市部よりも高いバス代など、「自分と付帯者」にかかるトータルのコストを把握しておくことが大切になりそうです。

2. 距離=移動費用(時間・お金・体力)
地方で暮らすと、どうしても「移動」のウェイトが変わってきます。通勤や通学、日常の買い物や外食、お稽古やジム、息抜きの娯楽、いざという時の病院や薬局、そして頻度は低いかもしれませんが実家や親族、お墓といった「他の拠点」との往復。これらにかかる時間お金、そして自分の体力がどれくらいになるのか、一度シミュレーションしてみると安心です。

3. 収入の術(すべ)と資産の状況
今の仕事をそのままリモートで続けられて収入が変わらないのか、あるいは場所が変わることで新たに収入を得る術を見つけなければならないのか。生活を支えるベースがどう変化するのか、あらかじめ見極めておきたいところです。特に地方での小さななりわいや事業を考えるとき、その現実的な収支のバランスや仕事づくりのリアルについては、ボク自身も日々模索しながら考えているところです(例えば↓など)。

4. 住居の「快適・安全・維持」
古民家や地方の物件は魅力的ですが、「不快な要素」や「危険な要素」をどれくらい許容できるか、あるいは自力で排除・修繕できるかという視点も欠かせません。建物の維持費も含めて、安心して長く住み続けられる環境かどうかを見ておけると良さそうです。

5.地域の文化や価値観
その地域の空気感や大切にされている価値観は、Webやパンフレットだけでは見えてきません。大好きな景色や、自分にとって心地よいかだけでなく、その土地で暮らす中でどのような役割を求められるのか。そうした細やかな背景まで想像できるかどうかが大切です。実際にまちを歩き、会話を繰り替えしながら、自分の肌に本当に合う場所なのかを確かめてみることをお勧めします(例えば↓など)。

おわりに

移住も、二拠点生活も、そして起業も、それ自体が目的ではなく、あくまで自分や家族が豊かに生きるための「手段」のはずです。
行政の施策や時代のムードにただ煽られるのではなく、こうした現実的な生活の計算やリスクヘッジを一人ひとりがしっかり持てたら素敵だなと思います。自治体や関連団体におかれましても、ただ数値を追うイベント的な盛り上げだけでなく、こうしたリアルな現実(時には実態を見せることを拒むのでなく)の開示や、準備や選択をそっと支えてくれるような伴走型支援が増えていったらいいなと願っています。

(つづく)

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