妻と老犬ぴんこが、首だけ出して寝ていた。
これは、コロナ後遺症で歩けなくなった49歳男が、
人生ハードモードの中でなんとか笑いを見つけた話です。
しんどい状況でも、少しだけ笑って息をしたい人に読んでもらえたらうれしいです。
暑い日が続いている。
今日も朝から湿度を感じる暑さだ。
「エアコンつけていいかな…」
と、妻。
暑さで顔が「む」みたいに歪んでいる。
リビングで仕事をしているボクに尋ねながら、もう窓を閉めはじめている。
ボクは暑さに比較的強い。
妻は暑さに弱い。
老犬ぴんこは暑さにも寒さにも弱い。
温度調整の難しい3人がリビングに集っている。
妻が昼食を作る。
火を使えば、こもる熱さが余計に体調にひびくのに。感謝だ。
日中、ぴんこの見守り担当は、共にリビングにいるボクだ。
ぴんこはトイレじゃないところに用を足したり、突然発作が起きて倒れてしまったりするので常に目が離せない。
妻は食事を済ませたら、寝室でパワーチャージ仮眠をとる。
そうやって、我が家の日常は回っていく。
今日は昼食後に仕事の電話が入った。長くなる電話だ。
それを察した妻が、寝室へは行かずぴんこのそばで見守りをしてくれた。
予想通り、電話は長引いた。
終えて内容をメモにまとめる。
ふと振り返ると、
妻が寝ている。
ぴんこも寝ている。
妻はタオルケットでミイラのように包まって首だけ出して寝ている。
ぴんこも3枚のタオルや毛布に包まって首だけ出して寝ている。
……寒いのだ。
でも、二人ともイビキをかいている。
……丁度いいのだ。
少し寒い部屋で、布団に包まる幸せ。…というやつだろう。
こんなときは動画を撮りたくなるのだが、おそらく妻は録画ボタンの音に敏感に反応し起きてしまう。ボクには前科があるからだ。
食器を洗う。
その音では起きない。
洗い終えて、種を超えた愛のハーモニーをBGMに仕事を始める。
……寒い。
長ズボンに履き替えよう。
