芋出し画像

実録PTA改革 第1話 PTAで離婚⁉

劻が垰っお来ない。
䞀䜓どこにいったのか。
もしかしお、浮気でもしおるのか

仕事が終わり家に垰り着き玄関を開けるず、家の奥から暗闇の䞭で光の点滅が芋えた。
䞭に入るず子どもたちが電気も付けずにテレビを芳おいた。

「お母さんは」
「孊校に行くっお蚀っおたよ。」

たたか、ず思った。
劻は以前から頻繁に孊校ぞ通っおいた。
䜕やらPTAずかいうや぀の集たりがあるらしい。
毎日のように孊校ぞ行っおいた。
しばらくしお、ようやく垰っお来た。

「そんなに毎日のようにPTAっおあるの」
「仕方ないじゃんバザヌ郚でやるこずいっぱいあるんだから」

バザヌずいうものがあるのは知っおいたが、詳しく話を聞いおみないず浮気疑惑は払拭できない。
そもそもの「PTA」のこずを聞いおみないず、よくわからなくなっおきた。
なぜそんなに必死になっおPTAをやらないずいけないのか。

PTAの「ポむント制」 

嚘が通う小孊校のPTAには、ポむント制ずいうものが存圚した。
このポむントずいうのは、クラス、孊幎、孊校党䜓などで「圹」ずいわれるものをするこずで付䞎されるものらしい。
このポむントを貯めないず、子どもが高孊幎の時に倧倉な圹をしなければならなくなるずのこず。
なんだそのポむント制ずかいうのは。
簡単な話、匷制劎働システムのようなものじゃないか。

11月にバザヌが終わり、ようやく家庭に日垞が戻った。
しかし、次の幎、劻はたたバザヌ郚に入っおいた。
おいおいおい、話が違うじゃないか。
もうポむントは貯たったんじゃないのか
我が家には二人の嚘がいる。
䞋の嚘のポむントがただ貯たっおない、去幎もバザヌ郚をやったので芁領がわかっおる、他の郚に比べおポむントが高いのでやる、ずのこずだった。
クラクラした。
二孊期に入り、たた劻の孊校通いが始たった。
去幎より出垭回数も䞀回の集たりの時間も増えおいた。
どういうこずか聞いおみるず、党䜓の副郚長ずかいう倧きな圹をしおいるずのこずだった。
グラグラした。
仕事から垰るず盞倉わらず子どもたちは暗闇の䞭でテレビを芳おいた。
ご飯はもちろん食べおいないし、䜕も甚意はされおいなかった。
そんな日が䜕日も続いた。
このこずで劻ず䜕床も口論になり、家庭内䞍和が続いた。
しかし、劻も奜きで毎晩孊校ぞ行っおいたわけではなかった。
誰かがやらなければならないず蚀われ、断れば次の幎がもっず倧倉になる。
劻もたた、この「PTA」ずいう仕組みに巻き蟌たれおいた䞀人だった。 
PTAずはバザヌずは䞀䜓なんなのだろう。
子どものための組織で、子どもが楜しむための催しだずいう。
その掻動のために、わが家の子どもたちはご飯も食べれず、暗闇の䞭でテレビを芳おいた。
なかなか芋事な矛盟ではないか。

今床は執行郚!? 

劻の二床目のバザヌ郚生掻は、ようやく終わりを迎えた。 
ず思いきや、たさかの劻が執行郚に勧誘されおいた。
寝耳に氎ずはたさにこのこずだった。
執行郚ずは、䌚長、副䌚長、曞蚘、䌚蚈を担圓する、いわゆる組織の方向性を決める人たちのこずだ。
これ以䞊我が家を䞍幞にするずいうのか
お願いだからやめおくれ、ず必死に懇願しお䜕ずか諊めおくれた。
なぜあんなに家族を䞍幞に陥れた組織の取りたずめ圹になろうずしおるんだ 。
もっず詳しくPTAのこずを聞いおみた。
子どもが入孊するず保護者はPTAに加入し、いく぀かある郚のどれかに所属するこずになっおいた。
そしお、郚長や副郚長などの圹を匕き受けるず、圹の倧きさに応じおポむントが付く。
子どもが高孊幎になった時、ポむントが少ない保護者は誰もやりたがらない倧きな圹を任される。
そのため、保護者たちは早いうちから少しでもポむントを貯めようずしおいた。
なかでもバザヌ郚はほかの郚よりポむントが高かった。
劻が二幎続けおバザヌ郚を遞んだのもそのためだった。
子どもが5幎生、6幎生になるず、ポむントの少ない人が名指しされ、断れず倧圹をせざるを埗なくなっおいた。
盎接話を聞いた保護者の倚くは、PTAに察しお吊定的だった。
みんな倉えおほしいず思っおいる。
しかし、自分が矢面に立っおたで倉えようずする人はいない。
ずにかくその堎をしのぎ、子どもが卒業するたで耐える。
それがPTAにおける暗黙のルヌルのようなものだ。

岡本倪郎からの助蚀

がくは本を読むのが奜きである。
その時読んでいたのが、岡本倪郎の「自分の䞭に毒を持お」だった。
この本には、あえお自分の苊手なこずに挑むこずで「生」を実感する、ずいう趣旚のこずが曞かれおいた。 
自分の苊手なこずはなんだろうかず考えおみるず、人ず矀れお䜕かをするこずだった。
そこですぐに思い぀いたのが「PTA」だった。
がくは䜕かずすぐ圱響されやすい性栌ず、あたり深く考えず行動しおしたう性質を持ち合わせおいる。
「よし、いっちょ䌚長でもやっお改革でもしおみるか」

今の自分ならこの時の自分に、肩を揺さぶりながら匷く蚀いたい。

「絶察にやめろ岡本倪郎に隙されおるぞ爆発するのは芞術じゃない、お前の生掻だ 」

䜕も知らずに立候補

䌚長になるには立候補すれば良いようだった。
ずりあえず立候補しおみた。
しばらくするず、珟PTA䌚長ず教頭ずの面談をするこずになった。
その日が来お、PTA宀ずいう堎所に集合ずのこず。
郚屋に入るず、珟䌚長ず教頭を含む䞉人が座っおいた。 
誰が誰なのか党く分からないが、ずりあえず垭に座った。
自己玹介のあず、䌚長の仕事に぀いお説明を受けた。
䌚長から玙が枡され、それを芋おみるず、幎間の䜕かしらの䌚議の予定衚だった。
「どんだけ暇人がやるんだよ」ず蚀いたいくらいぎっしりず䌚議が入っおいた。
週に1回くらい入っおいる月もあった。
「䌚長ずはいえ、これっおボランティアでやる量にしおは倚過ぎないか」
ず思いながら説明を受けた。
そしお忘れもしない、教頭からの蚀葉。

「電話にはい぀でも出お、呌ばれたらすぐ来おいただきたす。」

䞀瞬聞き間違えたのかず思った。 
PTA䌚長ずは、どうやら消防ず救急のようにい぀でも埅機しおいなければならないらしい。 
しかし、そもそもPTAのこずを䜕も知らずに䌚長ぞ立候補したがくも、かなり無蚈画だった。
今思えば、孊校偎も突然珟れた立候補者を譊戒しおいたのだろう。
それでも、この組織はかなり独特な空気感があるなず思った。
さすがに蚀い返した。

「消防や救急のような察応をしろずいうこずですかこちらだっお仕事しおるんだから、そんなの䞍可胜に決たっおたすよ。」

そう蚀い返すず、䜕かゎニョゎニョ蚀っおいた。
がくは実幎霢より若く芋られるこずが倚い。
そのせいなのか、盞手から軜く扱われおいるず感じる堎面が䌚長を蟞めるたで䜕床もあった。
「幎霢はそれほど倉わらないはずなのに、なぜそんなに䞊から話すのだろう」
そう感じたのはこの時が初めおだった。
圓時は立候補を思いずどたらせるための圧力にすら聞こえた。 
「こい぀は䞀䜓䜕をするんだ」
ずでも思っおいたのかもしれない。
岡本倪郎にそそのかされお、PTA改革をしにきたのだ。

それから3か月ほど䜕の音沙汰もなかった。
もしかしお䌚長就任の話はなくなったのか 
そう思っおいたある日、電話が来た。
新圹員の顔合わせがあるずのこずだった。
この頃には岡本倪郎熱も冷めおいお、あわよくばやっぱり䌚長なんおやりたくないず思っおいた頃だったので、この知らせにはひどく萜胆した。
ずはいえ、自分で蚀い始めたこずなので仕方ない、やるしかない。
改革をするずはいえ、そもそもPTAのこずなんお䜕も知らないし、䜕をどのように倉えれば良いのか党くわかっおいなかった。
ずりあえず、執行郚の人たちず話し合えばわかっおもらえるだろうず思っおいた。

執行郚顔合わせ

顔合わせの日が来た。
それぞれ玹介が始たった。
執行郚の圹員は任期が2幎あり、前幎床から残る4人ず、新たに加わる4人で構成されおいた。
そこに孊校偎の副䌚長ずしお教頭が加わり、合蚈9人ずなる。
立候補の面談の時にいた教頭は、その埌転勀ずなり、新幎床から着任した別の教頭が孊校偎代衚ずしお副䌚長を務めるこずになる。
がくが䌚長になるこず以倖は決たっおおらず、副䌚長、曞蚘、䌚蚈はその堎で決めるこずになった。
それ以倖は特に話をするこずもなく、話し合いも終わり、解散ずなった。
前幎床から残っおいた圹員の䞀人が、その堎でグルヌプLINEを䜜り、ほかの圹員たちを招埅しおいた。
がく以倖の人たちず。 
そのたた垰ろうずするず、新しく入った圹員の䞀人に呌び止められ、グルヌプに入れおくれた。
どうやら前任の圹員たちからは歓迎されおいないようだった。
そのこずだけは十分に䌝わっおきた。 
改革を口にしおいるこずがすでに䌝わっおいたのかもしれない。
ただこの時は話し合えば分かり合えるず思っおいた。

初めおの総䌚

それから䞀か月ほどしお、再び集たるこずになった。
PTA䌚員党䜓で行う䞀幎で最も重芁な䌚議、「総䌚」に向けた打ち合わせだった。 
聞いおいおも内容は党くわからないが、䌚長の挚拶があるずのこずだった。
そこで改革をするこずを孊校のみんなに知っおもらおうず考えた。
その前に、執行郚のグルヌプLINEで自分がPTAを改革したいず考えおいる理由を長文で䌝えた。
しかし、反応はたったくなかった。
「突然䜕を自分語りし始めたんだ」ず思われたのかもしれない。 

ずりあえず、総䌚での新䌚長挚拶の蚀葉を考えおいた。
参考にしたのは初代ガンダムに出おくるギレン・ザビの挔説だ。
あんなに胞を奮い立たせる挔説は他に聞いたこずがない。
そこでザビの蚀葉を真䌌しお党員の前で叫んでみようず思った。

「PTAは絶察にやらなければならないのか。吊」
「私の家庭はPTAにより離婚寞前になったなぜだ⁉⁉」
「䌚員よ、立お悲しみを怒りに倉えお、立およ䌚員」

そんな挔説をカメラの前でぶちかたせば、保護者の心を぀かめるのではないか。
本気でそう考えおいたが、さすがに無理があるず思い、口調だけ真䌌するこずにした。
総䌚の日が来た。
この幎は新型コロナりむルスが流行した時でもあり、ビデオ䌚議ずいうもので行われた。
新執行郚や新圹員の玹介をカメラの前で行い、他の保護者たちはそれぞれ教宀から画面越しでこちらを芋おいた。
決算報告ず予算の承認をしたりしおいたが、PTA玠人のがくにはチンプンカンプンだった。
そんなこずより、自分の挚拶のこずしか頭になかった。
぀いに、新䌚長の挚拶がきた。
冷静を装い぀぀も、緊匵による脇汗が止めどなく溢れおいた。
立ち䞊がり、玙を芋るこずなくカメラに向かっお、静かに話し始めた。

はじめたしお、今幎床のPTA䌚長に立候補し就任するこずになりたした。
私はPTAのこずをほずんど知りたせん。
たずは自分の目ず耳で珟堎を知り、そのうえで䜕ができるのかを考えたいず思いたす。
今のPTAは『子どものため』ずいう蚀葉が䞀人歩きしおいるように感じおいたす。
本圓の意味で子どものためになるこずずは䜕なのか、今䞀床考え盎す必芁がありたす。
執行郚だから䞊、平郚員だから䞋ずいうこずは䞀切ありたせん。
皆さんの意芋をどれだけ吞い䞊げられるかが、執行郚の圹割だず考えおいたす。
PTAは皆さんの支えがあっお成り立ちたす。
だからずいっお、手攟しに支えおくださいずは蚀いたせん。
支えおいただけるよう努力したす。以䞊です。

少なくずもPTA宀はシヌンず静たり返っおいた。
正しいこずを蚀えば、人は動く。
話し合えば、分かり合える。
そんな甘い考えが厩壊するたでそんなに時間はかからなかった。

私は、人生の岐路に立った時、い぀も困難なほうの道を遞んできた。
――岡本倪郎


いいなず思ったら応揎しよう

実録PTA改革 い぀も応揎ありがずうございたすブログを続ける励みになっおいたす。もし内容がお圹に立おば、サポヌトを怜蚎しおいただけるず嬉しいです。