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【英語&ドイツ語】なぜ「on the team」なのか

「チームの全員」はアメリカ英語で「everyone on the team」と言うのが一般的なようです。

どうして「on」なんでしょう?
私は「team」は「group」のイメージだったので、「in」のほうが感覚に合うのですが。

不思議です。

なお、イギリス英語では「in the team」とも言うようですし(ジーニアス英和大辞典)、ドイツ語でも「im Team」と「in」を用います。こっちのほうが私の直感に近い。

ネットでざっと調べても、私と同じような疑問を持つ人はいるものの、それに対する明確な答えはあまりないようです。「名簿(roster / list)」に載るイメージから「on」を使うのでは?という意見もありました。

確かに、他の「まとまり」を表す単語と前置詞の組合せを考えてみると、

  • on the committee

  • on the board

  • on the staff

  • on the jury

などなど、「on」を使う例があったりします。これも今回調べるまでは全部「in」を使いそうなものでした(「in the committee」など、一部「in」も使える例もあります)。

ということは、別に「team」だけが特別なのではなく、私が気づいたきっかけが「team」だっただけのようですね。

それでも、「on」を使うようになった背景には謎が残ります。


語源を見ていきますと、古英語時代は「出産」や「子孫」という意味があったそうです。もっとさかのぼると「導く」という意味の言葉(印欧祖語 *deuk-)に行き着くようですが(「英語語源ハンドブック」)、この「導く」由来の言葉で「子孫」「出産」という意味は英語以外にはまれで、「組、チーム」という意味も英語に独特なものなのだそうです(「英語語源辞典」)。

「英語語源ハンドブック」では、

「出産、子孫」

「同じ親を持つ動物の子どもの一群」

「(農業や土木工事のため、あるいは馬車馬等として共に働く)動物の一群」

「(同じ仕事をする)人の一群」

「(スポーツ等の)チーム」

というふうに意味が発展・変遷していったとあります。

「*deuk-」系で言えば、例えば「produce」などに入っている「-duce」の部分などにも関連語が見つかるのですが、今回は割愛します。

今回「team」を調べて初めて知ったのですが、荷車やそりなどを引く馬や牛、犬などの動物の集団のことを「team」って呼ぶんですね。古い例ですが南極地域観測隊に同行したタロとジロを思い出しました。

確かにあの犬ぞりを引く2頭の犬からは、「そりを引く犬」という意味と、カタカナの「チーム」の意味に関連性があるのが分かります。彼らの働きとカタカナの「チームワーク」の繋がりも見えやすいです。

以下は、学術的な裏付けのない、私なりのイメージです。多分にこじつけが含まれますので、あくまで「表現を覚えるための助け」程度に捉えていただければ幸いです。

私なりのこじつけ解釈では、「何かを引っ張る系の動物」が「team」と呼ばれていることから、「on」を使う理由が何となく分かった気がします。

というのは、「~を引っ張る」という表現では、英語でも「pull on」のように「引っ張るもの」に「on」を使う例があるためです(at も使います)。

pull at/on a rope
綱をつかんでぐいと引く

ジーニアス英和大辞典

英語と同じゲルマン語派のドイツ語でも「ziehen an ~」と、「on」におおよそ相当する前置詞「an」が使われています。

an einem Karren ziehen 
荷車を引っ張る

独和大辞典

つまり、犬ぞりに乗る側、あるいは馬車の御者側からすると、彼らが引っ張っているのは「動物(team)」のほうなので、「牽引する動物を引っ張る」と考えれば、pull on a/the team という形になりそうです(実際に言うかは別として)。

繰り返しになりますが、こじつけです!

ただ、こうやって考えるとですね、「team leader」という言葉が、何だか、チームのメンバーに首輪をかけ、橇に乗ってチームメンバーを走らせる人間に見えてきてしまって。それはそれでシュールな絵になるのですが…。

私たち、犬ぞりの犬だったのね、という…。

チームメンバーとチームリードの私のイメージ(妄想)
(画像:piau さま(Pixabay))

ちなみに、「team」と語源を同じくするドイツ語の単語は「Zaum」です。これは「馬勒」(英語:bridle)を意味するドイツ語で、その意味からすると乗馬をする方や馬に詳しい方以外はあまり使わなさそうな単語に思えるのですが、比喩的な意味でよく見かける単語です。

馬勒
(画像:mvanhartesvelt0さま(Pixabay))

jemanden / etwas im Zaum halten 

~を抑制する、~を暴走させない

英語の「bridle」はそれ自体に「(怒りなどを)抑制する」という動詞としての意味がありますし、ドイツ語でも動詞形「zäumen」には「馬勒をつける」のほかに「~を抑制する」という比喩的な意味があります。

そう言えば「team」には「抑制」「拘束」「束縛」に繋がる意味は感じられないですね。繋がれているのに…。

この「Zaum」も「引っ張る系」に遡るのですが、上記の表現では「an」じゃなく「in」を使うんですね…。でも、私の勝手なイメージですが、言われてみれば確かに馬は「Zaum」に「接している」のではなく「中に収まっている」感じではあります。

また話が脱線してしまいました。私が御者だったらロクに前へ進めなさそうです。

語源通りの「チームは兄弟のようなもの」という考え方よりも、「犬ぞり隊の犬たち」と考えたほうが、「on the team」と「on」を使う理由が何となく覚えやすくなる(学術的な裏付けはないけれど)、という話でした。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

【参考にさせていただいたもの】
唐澤一友、小塚良孝、堀田隆一著『英語語源ハンドブック』研究社(2025年)p.325
寺澤芳雄編『英語語源辞典』(新装版)研究社(2025年) 
Wiktionary

【画像】Anja さま【Pixabay】