創業者の教え、私の答え #18受け継がれた想い 本音で話すということ
彼は、
いつも物静かで、
落ち着いて話す人です。
そんな彼に、
私は昔、
声を荒げたことがあります。
彼は、海外赴任を前提として私たちの会社に入社しました。
初めて二人で海外へ行った夜、
こんな一幕がありました。
私は言いました。
「何とか二人で頑張って、
良い会社にしていきましょう!」
すると彼は、
「それもそうですが、
自分自身の人生においても、
良い経験にしたいです。」
その言葉を聞いた私は、
思わず声を荒げました。
「会社は、
あなたの経験のためにあるんじゃない!」
今になって思います。
彼にとって、
「頑張って良い会社にする」ことは、
きっと言葉にするまでもない、
当たり前のことだったのでしょう。
当時の私はそこに気づけず、
声を荒げてしまいました。
その後もしばらくは、
何度か衝突することもありました。
それでも彼が声を荒げたことは
一度もありませんでした。
私が感情的になっても、
彼はいつも静かに、
自分の考えを話しました。
引いたわけでも、
私に合わせたわけでもありません。
ただ、
自分の考えを冷静に伝えていました。
創業者の言葉の中に、
本音で話せる雰囲気を大切にしろ
というものがあります。
若い頃の私は、
本音で話すということを、
「思っていることを、遠慮せず伝えること」
だと思っていました。
でも、
彼との何度ものやり取りの中で、
少しずつ考えが変わりました。
いよいよ私が社長になる頃、
彼が言ってくれました。
「あなたが社長になったら、支えていきたい。」
初めて二人で海外へ行ったあの夜、
私たちはお互いの考えを、
まだよく理解できていなかったのかもしれません。
それから何年も、
本音で話し、
時にはぶつかり、
それでも対話を続けてきました。
今、
彼は会社のお金を守る立場として、
会社を、
そして私を支えてくれています。
今なら、
創業者が言っていた
「本音で話せる雰囲気」の意味が、
少し分かる気がします。
本音とは、
自分の思いをぶつけることではなく、
相手の考えを聞き、
自分の考えも伝え、
理解し合うために、
対話を続けることなのだと思っています。
