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【映画感想文】日曜の午後は、小津安二郎監督を観よう

小津安二郎ほど、
誤解される映画監督も珍しい。

アクション映画でもなく、
サスペンス映画でもなく、
恋愛映画でもなく、
偉人フューチャー映画でもない。
何が魅力で小津安二郎映画は
観られ続けているんだろう?

たいていはそう片付けられそうだ。

でも、小津安二郎ファンからは
人気が高い。

ただ、小津ファンは
日本津々浦々そうたくさんはいない。

むしろ、海外の映画関係者に
驚くほど、ファンがたくさんいます。

私は未だに、
海外の人が本当に
小津安二郎をわかっているのだろうか?
疑問ではあります。

小津安二郎作品は
難解という訳でもありません。
ただ、シンプルにシンプルを重ねた
抑制のきいた映画で、
だから、すべてのシーンで
ちゃんと意味がひとつひとつあるから、
しっかり画面を見続けなくては
なりません。当たり前か(笑)

よく比較される
黒澤明監督の作品たちは、
饒舌でトーンも高く
誤解のしようがない映画です。

そんな黒澤も
晩年は難解な映画を作る傾向に
突き進んでいきましたが、
中期の脂がのった時期の名作こそ
黒澤明ワールドでしょう。
中期は観客の目線を大切にしてました。
あのシーンはどんな意味なんだろう?
どんな解釈が正解なんだろう?
なんてことはまず必要ない。
あまりに饒舌な映画だから。

さて、閑話休題。

小津安二郎の映画は
大半がシロクロです。
若い人には、それだけで
敬遠してしまいますよね。

でも、安心してください。
晩年には6作品、 
カラー映画があります。
『おはよう』『浮草』『彼岸花』『秋日和』
『小早川家の秋』『秋刀魚の味』。
しかも、このどれもが、
小津安二郎の
人間観、人生観、恋愛観、死生観が
よく反映されてぃす。

とりわけ、
晩年最後の『秋刀魚の味』は
彼の代表作のひとつでもあります。

世間一般では、
小津安二郎は『東京物語』というのが
おおかたの相場ですが、
私は『秋刀魚の味』に軍配を挙げたい。

小津安二郎が表現しつづけた
家庭の崩壊の兆しが
よく出ています。
構図は、代表作『東京物語』より
シンプルだから、
分かりやすく、腑に落ちやすい。
小津安二郎には珍しい作品でした。

他にも
『彼岸花』『秋日和』という
里見弴原作の作品はまた
家族の揺れゆく姿が描かれています。

この3作品は
原節子、岩下志麻子ら、
美しい女優が何人も登場します。
彼女たちを見るだけでも
価値が十分にあります。

偶然か必然かわかりませんが、
カラー時代の小津安二郎は
秋にこだわりがあったのかしら?
『秋刀魚の味』
『彼岸花』
『秋日和』
『小早川家の秋』

もし、この4作品がお好きなら
『東京物語』『晩春』『麦秋』
などのモノクロ映画人気作もまた
気にいるにちがいありません。

でも、小津安二郎監督の
入り口としては、
やはり『秋刀魚の味』でしょう。

入り口であると共に、
代表作でもあり、
終着点でもあるでしょう。

日曜日の午後は、
小津安二郎作品の家族映画を
観るにピッタリな気がします。

1950年代から1960年代の日本で
不穏な気配を漂わせながら
失われつつあった家族の姿が
なぜこんなにも長く世界中で、
依然として胸に迫るのでしょう。

今日の午後は
また『秋刀魚の味』か
『小早川家の秋』でも
観たくなりました。

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