映画レビュー『この世界の片隅に』 非日常下での日常
第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞に輝いた同名漫画を原作にしたアニメーション。昭和19年、18歳のすずは軍港のある広島・呉に嫁入りした。戦況が悪化し大切なものが奪われていくが、彼女は前を向き日々の暮らしを愛おしみながら生きていく。「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督が、太平洋戦争中~戦後の広島を舞台に、すずの日常を鮮やかに描き出す。すずの声は「ホットロード」の女優のんが担当。クラウドファンディングサイトで資金調達を行い、3千人を超えるサポーターからの記録的な支援が集まった。2016年第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第一位、日本映画監督賞受賞。
淡々と切々と戦時下の庶民の生活を描く。
腕を失う描写は有るが、それすら日常的な営みとして見せる。
非日常に潜む狂気を感じさせる。
壮大さでは『君の名は。』に及ばない。
メッセージ性では『火垂るの墓』に及ばない。
しかし、おそらくそれ故に、心にすずさんの哀しみがじわじわと染みてくる。
叙情的な質感で静かに反戦を訴える佳作である。
世界観は『二十四の瞳』同様、日本の原風景に置かれている。
能年玲奈(のん)は声だけでも抜群の存在感を発揮。
テレビドラマも彼女を起用すれば大ヒットしたのではないか。
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