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【読書感想文】天空遊園地まほろば

死者と会えるとしたら、誰と会いたいでしょうか?

私は、ひたすら愚痴を聞いてくれて、子煩悩だったオス猫です

本書は、死者に会える遊園地の話
戦中に閉園となり、今は草だらけの元遊園地だが
生者が足を踏み込むと、途端に遊園地に命が吹き込まれる

そんなまほろばから、会いたいと願う人にメッセージが飛び込んでくる

「遊園地。それは最愛の人、かけがえのない存在とすごす場所。
もう一度、あなたの大切な人と会ってみませんか?」

と心にさしてくる。

話は5話に別れているが、どの話も
もう一度会いたいと思う相手との再会
そのどれもが感動を呼ぶ

愛してくれた父親や親友、兄だったりするが
死者とあうことで、やりきれなかった思いを断ち切り
明日へと歩き出すというものだ

今を生きている私達にも
会いたい人、会いたい動物がいる
会えたらきっと、本書の登場人物のように
断ち切れなかった思いを伝え
明日へと歩き出すことが出来るのかもしれない

前述したように、私が会いたいのは猫だ
もし、あの子に会うことが出来たら
私は何を伝え、どんな時間を過ごすのだろう

猫では話も出来ないし、なでて終わるのかもしれない
それでも、あの時はありがとうと伝えたい

本書に登場する遊園地には
いくつかのルールがあり、会いたかった人に再会した時
泣いてはいけないというものがある
泣くことで、生きている側に未練が残り
遊園地に閉じ込められてしまう

また、そうならないように強制退園することになるが
ペナルティとして会いたかった人の
すべての記憶が消えてしまう

あえても記憶が消えるのは嫌だと
必死に涙をこらえるのだが、
それは並大抵ではない

それでも一生懸命、泣かないように頑張り
別れを告げる
しかし、1時間という制約の中で語った彼らは、
園を出ると号泣する

本来なら、目の前で泣きたいだろうに
泣かずに終わらせるというのは、かなり過酷だ

特に感動したのがラストの話だ
大好きで尊敬していた兄が特攻隊で死を覚悟する
それから80年、後悔の念を抱きながら生き続けた弟
やっと兄に会うことが出来たが
つい日本は負けると口走ってしまう

それでも、家族を守るために自分の命を捧げねばならない
戦争の過酷さに震える思いだ
家族を引き裂き、その命を戦争という
必要悪によって捨てなければならなかった

年老いた弟は、兄にやめてくれと頼むが
死んだ人の時間を戻すことも、運命を変えることも出来ない
何とも切ない話だった

ファンタジーというジャンルなのだろうが
ファンタジーと一言で終わらせることの出来ない
感動的な話ばかりだった


タイトル:天空遊園地まほろば
著者:浜口倫太郎
出版:ポプラ社


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