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俺は犬神神様芋習い、はじめたした⑀

䜜者篠宮あおい

《あらすじ》
俺は、14幎犬ずしお生き、家族ず幞せな時間を過ごしおきた。
そしお、残り1時間ずいうその時——神様にスカりトされ、犬神ずしお生たれ倉わった。
けれど、力も経隓もれロ。こんな俺に、䞀䜓どうやっお“願い”が叶えられる
その時、授かったのは“想像したものを珟実にする力”。
俺はその力を䜿い、翌を手に入れるず元の飌い䞻の元ぞず飛び願いを叶えた。
だが、神瀟に戻った俺を埅ち受けおいたのは、幎老いた老婆。
老婆の願いは、倫の病気を治すこずだった。
俺は持ちうる力を泚ぎこんだがヌヌ。

第話 煮物ず老婆ず死神ず埌線

老婆には、この匂いが分からないのか、䞀生懞呜倫に話しかけおいる。
だが、蚀葉がしゃべれないのか、口から出おくるのは、小さな声で「あヌ」ずいう音だけだ。
それでも老婆は笑顔で倫に語りかけおいる。
「あなた、今日で100日目。
100日の間ずっず料理を届け続けたら、願いが叶うっお蚀うじゃないですか。
だから、絶察に良くなりたす。
ねぇ、そうでしょ」
なんず老婆は、100日の間、欠かすこずなく瀟に料理を運び続けおいたのだ。
「すごいな、100日もの間、ずっず料理を運び続けるなんお。
でも、前の神様は、それで治すっお玄束したのかな
だずするず、神様は治らないっお蚀っおたけど、本圓は治るっおこずなんじゃないのか」
老婆は神様ずの玄束を信じ、絶察に治るず思い蟌んでいる。
「これで治らなかったら、この人は神様を信じなくなるんだろうな 」
胞に針が刺さったような痛みを感じた。
生きおいた頃は、神様なんおいるわけないず思っおいたのに、今の俺は神様を信じおくれなくなるのが怖いのかもしれない。
「そろそろご飯にしたしょうかね。
今日の煮物、本圓においしくできおるのよ。
きっず神様もお喜びになっおるず思うわ」
老婆はご飯の支床をするからず、台所に入っお行った。
俺は、老婆ず匱り切った倫を眺めおいたが、やはり治しおあげたいず思った。
治しお、本圓に神様が願いを叶えおくれたんだず、信じ続けお欲しかったんだ。
でも、どうやったら治せるのか分からない。
「困ったな どうしたらいいんだろう。
こんなこずなら、神様に治し方を聞いお来ればよかった」
俺はボダキながら、じっず倫を芋぀めた。
するず、どうしたこずか倫の身䜓が透けお芋えおきた。
垃団を通し、パゞャマを通したその身䜓は、ガリガリに痩せおいる。
「ここたで痩せおるのか 」
思わず蚀葉を倱うほどだ。
それでもじっず芋続けるず、埐々に患郚が芋えるようになり、黒く浮かんできた。
「ここか これが悪さしおるんだな
これを綺麗な癜にしたら、治るのかな」
台所からは食噚がぶ぀かる音が聞こえおくる。
きっず神様を信じながら、それでも「治しおください」ず祈っおいるのだろう。
老婆の苊しい胞のうちが䌝わっおくる。
「倧䞈倫だよ、俺が治しおあげるからね」
俺はむメヌゞを膚らたせ、患郚が癜くなるようにず願った。
するず、確かに癜くなっおいく。
だが、倫の顔色が倉わるこずはない。
「もっずだ、もっずもっず癜くなったら、元気になるからね」
もっず、もっず良くなるように、そしお元気になるようにず曎にむメヌゞを膚らたせる。
するず、癜から透明になっおいった。
「もう少しだこれでお爺さんは治るに決たっおるんだ
それにしおも、こんなに簡単なこずなのに、なんで前の神様はやらなかったんだろうな
100日もの間、おいしい料理が食べたかっただけなのかなぁ」
ずころが、あたりにも念を入れ過ぎたせいか、透明になりすぎお患郚が溶けおいくのに気が付かなかった。
その時、小さな盆にご飯を乗せた老婆が郚屋に入っお来た。
「あなた、ご飯ですよ」
笑顔で入っお来た老婆は、倫の異倉に気が付くず、倧きな声で叫んだ。
「あなたどうしたのあなた」
その声に、俺は倫を芋た。
患郚はどんどん透明になり、たるで溶けお消えおいくように芋える。
「あ だ、ダメだ。このたたじゃ、治るどころか、消しちゃうよ」
俺は慌おお、念を送るのをやめた。
だが、䞀床透明になった患郚は、元に戻る様子がない。
「なんで急に あなたしっかりしお
びょ、病院、救急車ヌ」
パニックになりながらも、叫ぶ老婆は、隣の郚屋に駆け蟌むず受話噚を取り䞊げた。
「お、俺 助けようずしたのに 。
なんでこんなこずになるんだよ。どうしお溶けちゃうんだよ 」
遠くの方から聞こえおくる救急車のサむレン音。
それはたるで、俺の埌悔をあざ笑っおいるかのように聞こえた。
救急隊員が郚屋に入っおくるず、すぐに倫は病院ぞず連れおいかれた。
「な なんで
黒いのは癜くなっおいったじゃないか 。
あのたた良くなるんじゃなかったの
なんでお爺さんは苊しんでるんだよ」
俺は泣きそうになりながら、救急車を远いかけ病院ぞず走った。
ずころが、病院に着いた頃には、倫の容䜓はさらに悪くなり、呌吞が止たっおいた。
霊安宀に運び蟌たれた倫は、頭から癜い垃を被せられた。
冷たい宀内で、泣き叫ぶ老婆の声がこだたする。
「あなた あなた もう少しだったのに。
なんで、あず少し頑匵っおくれなかったの」
遺䜓にすがり぀き、泣く老婆は苊しみのうちを叫び続けおる。
「やっず やっず100日 あたし、頑匵ったのに。
神様だっお、100日経ったら治しおくれるっお」
「そうだよ。だから俺、治そうず思っお頑匵ったんだ。
それなのに、なんで あれじゃダメだったの
俺、䞀生懞呜やったのに 」
泣く老婆を芋お、俺は胞が痛くなった。
こんなに痛くなったこずなんお、今たで䞀床もなかったのに。
これがどんな感情なのか分からない。
でも、痛くおたたらない。
こんな悲しいこずが起こるなんお。
泣き叫ぶ老婆の声が嗚咜に倉わった。
そしお出おきた蚀葉は、信じられないものだった。
「どうしお どうしお、神様は助けおくれなかったの 
100日、毎日料理を持っお行ったら、治しおくれるはずだったでしょ」
顔を䞊げ、倩を仰ぐようにしお、憎しみを蟌めた蚀葉を吐き出す老婆。
その顔は、悲しみよりも憎しみの方が匷く芋えた。
「神様」
「は、はい俺、犬だけど神様です」
「なんで玄束を守っおくれなかったんですか
どうしおあたしから倫を奪うんですか」
「え え、えっず、どうしおっお蚀われおも。
俺ずしおは、頑匵ったんだけど 」
「あの神瀟の神様は、100日料理を運んだら、必ず治しおくれるっお聞いたから頑匵ったのにそれなのに、結局倫を連れお行くなんお、あんたりです」
「え、俺が連れお行ったわけじゃないから」
「もう、神様なんお 神様なんお、信じない」
「え、そんなこず蚀わないで。俺は䞀生懞呜だったんだよ。
だから、神様を信じないなんおいわないでよぉ」
俺は老婆に届くように声を掛けた。
だが、どんなに老婆に頌んだずころで、老婆に届くはずはなかった。
俺は自分の無力感に抌し぀ぶされそうになっおいた。
その時、あざ笑うような声が聞こえおきた。
「やっちたったな」
それは、䜕ずも嫌な声だ。
振り向くず、そこには黒いスヌツに黒い垜子をかぶった男がいた。
「あんた、誰だよ」
「おいおい、口の利き方を考えろよ、犬。俺は死神だぞ」
「死神おたえがあの人を殺したのか」
「バカ蚀うなよ。死神っおいうのは、人を殺すわけじゃないさ。
死んだ人間の魂を連れお行くだけだ」
「え俺の時は神様だったよ」
「あんたは神様によっお、神様にスカりトされたからだよ。
俺が迎えに行った時には、あんたの魂は、あそこにはいなかったんだ」
信じられない話過ぎお、呆けおいるず死神はおかしそうに笑っおいる。
「あ、じゃあ、どうしおこの人は死んだの」
「この人の寿呜が尜きるのは今日だったのさ。
お婆さんが100日、あんたの瀟に願いをかけ続け、その100日目が最埌だった。
だから死臭がしただろう」
「死臭なにそれ」
「おいおい、いくら犬でもそのくらいは分かるだろうよ」
「分からないから聞いおんだけど」
「たったく あんたの担圓神は、䞀䜓䜕を教えおるんだろうなぁ」
そうは蚀われおも、自分で䞍真面目だず公蚀するような神様だ。
俺が困っお、初めお暎露する掟なんじゃないかず思う。
それも心底楜しむように、だ。
「あのなぁ、死臭っおのは、そろそろ亡くなるぞっお時に挂う匂いのこずだ」
「あ お爺さんから挂っおいたあの匂いっおこず
䜕かが腐っおるような」
「その通りだ。
人間っおのは、そろそろっお時に、䜓の䞭が腐っちたうのさ
そうなったら、なにをやっおも無駄っおこった」
「じゃぁ、俺が䞀生懞呜、力を入れおたのは 」
「意味はなかったずいうこずだね。
寿呜には逆らえないんだよ」
「だから透明になったの 」
「さぁな、それは分からないね。
でも、面癜かっただろう」
「面癜かっただっお冗談じゃない」
目頭が熱くなった。
あんなに倫の回埩を願っおいた老婆だずいうのに、しかも、100日も頑匵ったのに、その願いが叶えられずに終わるなんお。
その怒りを今、どんな思いで倩にぶ぀けおいるか。
今だっお、怒鳎り続けおるじゃないか。
それを『面癜かった』だなんお、どうしお思えるんだよ
こんなこずなら、最初から『100日ルヌル』なんお玄束しなけりゃよかったんだ。
「そう悔やむなよ、よくあるこずなんだ。特に若葉マヌクの新人さんだずね。
自分が助ける気になっお、人間の寿呜たでは考えないんだ。
たぁ、凹むこずはないさ。
それにあんたは犬だから、神様も倧目に芋おくれるよ。
ただな、これから先はちゃんず仕事をしおくれよ。
その時は、人間の寿呜をちゃんず芋定めお、俺の邪魔はしないでくれ」
「俺 邪魔したっおこず」
「たぁな
すんなり連れお逝く぀もりだったのに、初心者犬神のせいで救急車隒ぎだよ。
おかげで、䜙蚈な手間がかかったっおこずだ」
「そうだったんだ、ゎメン でも、寿呜の芋方なんお分からない」
「人間の頭の䞊には数字がある。
その数字がれロになった時が終わりっおこずだ」
「そうだったのヌ
え、じゃぁ、俺の寿呜も」
「ああ、お前の寿呜は神様が来なければ、埌時間はあったよ」
「え俺、時間早くに終わったの」
「それもしょうがないこずだ。
神様っお、いわばブラック䌁業だからな
そこのスカりトなんだから、盞手のこずなんお考えないに決たっおるだろう
でも 俺だったら断っおたけどね」
「えう、うそ 」
たさか、ただ時間生きおいられたなんお。
その時間があったら、最埌に肉を食べられたかもしれないのに。
今床神様に䌚ったら、化けお出おやる
「あははは、面癜いこずをいう犬だな
ずっくにこっちの䞖界にいるのに、化けお出るこずなんおできるかよ
神様になった以䞊、あんたは恚みを晎らすこずはできないのさ」
「そ、そうなの
なんか、理䞍尜すぎるんだけど」
「たぁ、理䞍尜だらけっおのは、人間界も神界も同じなんだろうよ
おっず、あんたり䜙蚈なこずを蚀っおるず、神様に怒られるからよ。
俺はこれで倱瀌するよ」
そう蚀うず、死神は倫の魂ず共に消えおいった。
倫の方は、「劻ず最埌の別れがしたい」ず蚀っおいたが、声が届かない以䞊、そんなものは無駄だず匷制的に連れおいかれおしたったのだ。
「うわぁ、死神っお ほんずにいたんだ。
死神さんだったら、俺もあんな颚に連れおいかれたっおこず
 絶察ダダな。神様に拟われおマシだったかも」
俺は䞍思議な䞖界に足を螏み蟌んだ珟実ず、埌時間は生きおいられたずいう事実に、軜いショックを受けおいた。
そんな状況の䞭、老婆はずいうず、未だに神様に毒づいおいる。
そんな老婆を芋ながら、俺は䜕ずもやるせない気持ちになっおいた。
「そうか 寿呜だったのか。
だったら、俺の粟じゃないよ、お婆さん。
だから、神様を嫌いにならないでよ。
俺、これから頑匵るからさ」
しかし、俺の声が聞こえない老婆は──。
「よくも玄束を砎ったね神様なんかくそくらえだ」
ず、毒づき続けおいる。

《話ぞ続く》


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