【ショートショート童話】金魚の願い
金魚はその日も郵便受けを覗き込んでいた。
いつもは空っぽの郵便受け。
ため息ばかりがこぼれる毎日だったが、今日は違うようだ。
なんとそこには、1通の封書が入っていた。
家に戻った金魚は、恐る恐るハサミで封を切った。
するとそこには、意味の分からないことが書かれている。
『どんぐりとクッキー、雲のかけら。
バイオリンのしらべが聞こえるころ、信号機のある交差点を渡っていらっしゃい。
魔法使い』
「魔法使いからだ!」
金魚は思い出した。
人間になりたいと願い、魔法使いに手紙を出した日のことを。
「そうか、やっと。これで願いが叶うんだね」
嬉しそうに跳ねる金魚は、水槽に飛び込むと、さっそく出かける準備をした。
カバンの中にどんぐりとクッキーをつめ、雲のかけらをとりに空へと駆け上り、頑張ってちぎった欠片を持ち帰ると、それもカバンに詰め込んだ。
ひたすら耳を澄ませ、どこからか聞こえてくるバイオリンのしらべを待つと、喜び勇んで交差点を渡る。
すると、その向こうにはあるはずのない小さな駅があった。
間もなく電車が滑り込んでくる。
電車の行き先表示には【人間になれる魔法の駅】とあった。
金魚が飛び乗ると、電車は線路を走り、ふわりと浮き、遥か遠くの山の頂上目指して走り出した。
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