「握らず、結ぶ」。命とご縁を優しく包む手仕事の話
今日は新月。
お空へ還っていった大切に思う人。
そして、少し前に旅立った友人のおうちの愛犬・さぶちゃんのこと。
大切な存在を見送り、少し日が経った今朝、ふと思ったのです。
「あぁ、今日はおむすびを結ぼう。色んな人の手を重ねて、あの人にも食べてもらおう」
心を込めて結んだおむすび。
木肌の優しい銀杏のまな板の上に並べられた
そのおむすびには、目に見える私の手だけでなく、もう肉体を持たない大切な方たちの手が重なり合っています。
お盆のこの時期。
あの人。この人。あの子。この子。
と探せばきっと側にいるご先祖様たちも。
みんなに集まってもらって、魂の手と手を優しく重ね合わせて結んだ、私なりの供養であり、想いの届け方でした。
私にとって、おむすびを結ぶ作業は、何十品ものお料理を作るよりもエネルギーを使う、特別な手仕事です。
それは、私のお祖母ちゃんが大切に教えてくれた「言葉」があるから。
「おむすびは、握っちゃだめ。結ぶの」
力を込めて「握る」と、強すぎて相手を苦しめたり、大事なものを握り潰してしまうことがある。
けれど、優しく「結ぶ」のであれば、すべてをふんわりと包み込むことができる。
もし解けてしまうご縁や人間関係があったとしても、ご縁さえあれば、また何度でも優しく結び直せばいい。
娘との関係も、夫との夫婦関係も、私と関わってくれるすべての人との巡り合いも……。
全部、握り潰さずに「結ぶ」。
この教えは私のお料理の、そして生き方の真ん中にいつもある大切な柱です。
だからこそ、おむすびを作る時はいつも気合いが入ります。
乾いたお米が一番最初に吸うお水を、一番美味しいものにしてあげること。
じゃばじゃばと洗うのではなく、優しい水圧で。
食べてくれる人のお名前を心の中で呼び、想いを込めながら「拝み洗い」をします。
炊き上がったお米は、おむすびを結ぶためだけに大切に使っている、銀杏の木のまな板へ。
お塩は、命の源のような壱岐島で生まれたお塩を使います。
そうして優しく結ばれたおむすびは、私自身の命の分身であり、祈りそのものです。
誰かと向き合うとき。自分の身体と向き合うとき。
ついつい力を入れて「握りしめて」しまっていませんか?
強く握りしめるのをやめて、ただ優しく「結ぶ」。
今日のおむすびの温もりと、重ね合わさった
たくさんの優しい手が、この記事を読んでくださったあなたの心にも、そっと届きますように。
じっくりと、私の生きる私の世界の物語を醸していきます。
醸し手 mina
🎧声のコラム
私の大切にしている手仕事。
声でもお話しています。
