認知症になってからでは遅い、資産の凍結対策とは?
若く健康なうちは、
「生」の次に「死」が来ると想像します。
生 → 死
ところが実際は、
生→老→病→死 という順でやって来ます。
死は、すぐには来ません。
死に至るまでに
人は病気になったり、
介護が必要になったり、
認知症になったりする可能性があります。
たとえば「病」が進んで、
要「介護」の状態になる人もいます。
またあるいは、
病気や介護状態の中で
認知症を発症する人もいれば、
体そのものは健康でも、
認知症になる人もおられます。
仮の話、
自分の親が『認知症』になってしまったとしましょう。
そこから、
金融取引・不動産取引等に『制限』がかかってしまいます。
資産の持ち主が目の前にいるのに、
資産が動かせないという事態になり得るのです。
多くの高齢者にとって、
主な資産は「自宅(不動産)」と「預貯金」でしょう。
しかし本人が認知症になると、
まず預金を引き出すことが出来ません。
当然、お金を借りることも出来ません。
自らお金を振り込むということも出来ません。
こんな『具体例』を想像してみてください。
親が認知症を発症、
(要介護状態です)
「介護付き老人ホーム」に入所することになりました。
設備が充実したホームに入所させようと、
入居一時金が2千万円の施設を見つけてきました。
(加えて、月額の利用料もかかります)。
そのとき
親が認知症であると、
諸費用を本人の口座から引き出せないわけです。
たとえ資産があっても、
本人が目の前にいても、
それを動かせない・・。
いわば『凍結』状態です。
これは「預金口座」だけではなく、
株式や投資信託を管理する「証券口座」も同様です。
上例の場合、
やむなく親族が
ホーム入所のための費用を立て替えることになります。
しかし親族に経済的余裕がなければ、
よい施設に入ってもらいたいのに
(かつ、親は資産を持っているのに)、
設備やサービスが低めの施設に
入所してもらうより仕方がありません。
あるいは、
施設での費用がかさんできたため、
『実家の売却』でそれらを賄おうと思っても、
本人(不動産の所有者)が認知症であれば、
不動産を売ることも、
貸すことも、
不動産を担保にお金を借りることも出来ません。
これでは八方塞がりです。
実はわたしは上の具体例を、
税理士の牧口晴一さんが書かれた書籍、
『日本一シンプルな相続対策 – 認知症になる前にやっておくべきカンタン手続き』で学びました。
同書の中で牧口さんは、
ご本人が健康なうちに
『家族信託』を設定することを勧めておられます。
万一認知症を発症してしまえば、
資産を動かせなくなってしまうためです。
健康なうちに「信託契約」を結ぶ。
すなわち、
・本人(親)が委託者、そして受益者となる
・(そして)子どもを「受託者」とする

上記のような「家族信託」のスキームを、
たとえ手間とコストはかかっても、
前もって作っておくことを推奨されています。
「家族信託」の具体的なイメージとしては、
例えば、
当面介護関連で必要な金額分(預貯金)と、
自宅(土地・建物)の名義を
信託契約によって「受託者」(例えば子ども)に移しておくわけです。
家族信託では名目上、
所有者は受託者(例:お子さん)に移りますが、
預金や不動産の利益を受けるのはご本人(委託者)なので安心です。
まさに、
万一(親が認知症になるリスク)に備えて
『保険をかけておく』ことに他なりません。
証券業界でも、
口座名義人(本人)が認知症になるリスクに備えて、
日本証券業協会が2025年に
「家族サポート証券口座」という制度を創設しています。

今のところ、
「家族サポート証券口座」を取り扱っている証券会社はごくわずかです。
(中小の証券会社のみ。こちらを参照)
ただ、このようなサービスニーズは今後急速に増加していくと思われます。
家族信託にしろ、
家族サポート証券口座にしろ、
さまざまな書類を準備し、
公正証書を作成して契約を結ぶなど、
労力も要りますし、コストもかかかります。
しかしこれは、
「最悪の事態を避けるための保険料なんだ」と割り切ることが大切ではないでしょうか。
いずれにせよ、
上に挙げた対策は、
ご本人が・健康なうちにしか・実行できません。
つまり、
あなた(親)が
自らの「老」「病」を意識しながら、
自分から、
家族信託を設定しておこう、
家族サポート証券口座を作っておこうと、言い出すことが重要だとわたしは思います。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートありがとうございます!あなたのチップがわたしのガソリンです(笑)