【EVO Japan 2025】画面の向こうの世界
極々個人的な、情けない話を一つしようと思う。
昨日5/9から、世界最高峰の格ゲー大会の一つ「EVO Japan 2025」が東京ビックサイトにて開催された。
スト6の大流行も手伝い、過去最大級の盛り上がりを見せているようで、
盛況な様子がSNSからも伝わってくる。
俺のXのタイムラインにも大会の画像が続々と流れてくる。
昨日見た画像に「Pool137」と書いてあった。スト6の予選が始まる、という旨のポストだった。
Pool137!
一体どれだけの参加者がいるというのだろう。
途方もないほどの規模に畏怖すら覚え、その感情を共有しようと友人との共用Lineルームにその画像を投下した。

それに対し、友人から「EVOいってんの?」とツッコミが入る。
ってそりゃそうか。
こんな画像の投げ方したら現地に行ってるようにしか見えんわな。
慌てて「いや、流石に画像は拾い物」「行けるなら行きたかったけどね」と訂正のコメントを投げる。
投げたあとで、思った。
なんで俺、EVOJapanに行ってないんだろう。
EVOJapanはその名の通り日本開催。行こうと思えば行ける。
参加しようと思えば、参加できる。
なのになぜ俺は、格闘ゲームが大好きな俺は、現地に赴こうともしていないんだろう。
理由は、そりゃある。
まず単純にお金がかかる。
俺が住んでいる宮崎から、開催先の東京は遥か彼方。
行くとなったら飛行機代も宿泊費も馬鹿にならない。
それに仕事だってある。連休明けに立て続けに休みを申請するというのはどうにもバツが悪い。
EVOJapanへ行くためのハードルはそれなりの高さがある。
うん、地方勢の俺にはちょいとばかし厳しいって……
本当に?
だってそれは、"行かなかった理由"であって"行けなかった理由"じゃない。
金がかかる? 別に出せない金額じゃない。二泊三日の東京旅行をするくらいの金くらい俺の口座にだってあるさ。
休みがとれない? 今現在、忙しい時期ってわけじゃない。連休明けだろうが1日の休みくらい取ろうと思えば取れたはずだ。
ハードルは高いけれども、決して飛べない高さじゃなかったんだ。
現に「行けるものなら行きたかった」って、そう言ったじゃないかお前は。
じゃあ、どうして?
自分の感情をひとつひとつ振り返ってみる。
なんで、行かなかったのか。
どうして、今になってそれに気づいたのか。
そうして出た答えは、ちょっと……いや結構、情けないものだった。
思うに。
昨日LINEで友人から現地に行ったことを疑われる、その瞬間まで。
俺の中に、「EVOJapan」へ行く、という選択肢自体が存在しなかったのである。
あのLINEのコメント見て、その時初めて思ったんだ。
「あ、俺行っても良かったんじゃん」って。
つまり、俺の中でイベントや大会は「見るもの」であって「参加するもの」ではなかったということだ。
それらはあくまで、画面の向こうの世界のお話で。
その世界に自分が入り込むっていうのは、それこそドラえもんのひみつ道具でも使わなきゃ実現しないんじゃないかってくらい、現実味のない考えだった。
格闘ゲームの大会やイベントについて、配信や動画を見るのはとても好きだ。
画面の向こうで活躍するプロや配信者たちの雄姿に、何度心躍らされたか分からない。
でも、それらに実際に参加したことは殆どない。
ギルティギアを始めたての頃、地元の小さなゲームセンターの小規模な大会に記念参加したことはあるが、それももう15年以上前の話だ。
そりゃ大会に出てみたいと考えたことくらいはある。
でも、今回のように「お金がかかるから」とか「仕事があるから」と、何かと理由をつけて参加してこなかったように思う。
でも、その理由も多分表面的なものだ。
根底にあるのは多分「怖さ」だ。
俺なんかが参加して、笑いものになりはしないだろうか。
何かしでかして大会の運営に支障をきたしたりはしないだろうか。
無いだろうとは分かっていても、そんな感情が奥底にある。
普段から大会に参加している人たちは、何を大袈裟なと笑うかもしれない。
そんな大層ものじゃない。気軽に参加してみなよ、とそう思われるかもしれない。
でもダメなのだ。どうしても最悪のパターンが脳に浮かぶ。
動けない。怖い。腰が上がらない。
だから、俺は無意識に大会への参加を考えなくなった。
全てを"画面の向こうの出来事"にして、自分との関係性をフィクションと同義にまで薄めた。
「俺には関わり合いのない世界の話だ──」と。
なんと情けないことか!
別に、格ゲーをやっている人すべてが大会に出るべきだなんてことを言うつもりはない。
オンラインだけでやる人、そもそも対戦をしない人、動画を見て楽しむ人。
個人と格ゲーとの向き合い方には人それぞれスタンスがあって、そのどれもが尊重されるべきだ。
大会に出る人の方が優れているだとか偉いだとかいうことは決してない。
けれど"俺"は違うんだ。
"俺"は、大会に出てみたいと思ってるんだ。
"俺"は、イベントに参加してみたいと思ってるんだ。
"俺"は、格闘ゲームが好きな他の人たちと交流したいと、そう思っているはずなんだ。
なのに、動けない。動く勇気がない。
自身の感情に従って動き出すことのできない自分に、嫌気もさす。
自己嫌悪ってのはやっぱり、どうしたって無くなりゃしない。
でも、だからこそ。
少しでもマシな自分になりたいと、そうも思うのだ。
自分が、その画面の向こうの世界で戦う姿を想像してみる。
自宅でPCに向かって一人操作をするのではなく、人の大勢いる会場で。
他の選手の息吹を、緊張張り詰める空気を、肌で感じながらスティックを握る。
目の前には、あるいは隣には、自分の倒すべき相手が実体を伴って存在している。
そして相手もまた、俺を全力で倒そうとしてくる。
その雰囲気を、その空気を、その意思を受け止めて、キャラを選択する。
ラウンドが開始する──
嗚呼──怖い。
本当に。
本当に情けないことに。
考えただけで指先が震える。
でも、もしも本当にそんなことができたならば。
憧れるだけだった画面の向こうに飛び込み、戦いきることが出来たならば。
結果がどうあれ、きっと誇らしい気分になるだろうなと、そう思った。
やろう。
とりあえず、何かしらのオンライン大会に出てみよう。
怖いけど。それはもう怖いけど。
高くそびえるこの心理的ハードルを、少しでも下げなきゃ始まらない。
あと、休みがちゃんと取れるように仕事も頑張んないとな。
宮崎とかいう陸の孤島を飛び出すための資金も用意しなくてはならない。
来年のEVOJapanこそは現地へ行って、盛大に散ってやろうじゃんか。
そう決意したところで、今日は寝る。
明日の俺は、今日より少しはマシになっていますようにと、そう思いながら。
