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【出版報告】軽部出版から「あいラジ」あげおエフエム株式会社さんの本『声を聴きたい。届けたい。』を出版しました✨

こんにちは!軽部出版 代表取締役の軽部です!

今回は軽部出版から新しく世に出た一冊について、ご報告をさせていただきます。

2025年8月9日から、埼玉県上尾市と伊奈町のコミュニティFM「あいラジ」を運営されているあげおエフエム株式会社さんの本、『声を聴きたい。届けたい。 上尾コミュニティFM「あいラジ」の物語』を、軽部出版から出版いたしました。

この日付は、あいラジが89.1MHzの電波を初めて上尾と伊奈の空に放ったのが2025年8月9日の午後一時であり、その開局からちょうど一年という節目の日に、開局までの六年間の記録を一冊の本として世に出すことができました。

制作を通して何度も原稿と向き合わせていただきましたが、私はこの本を読み進めるたびに、自分自身が吃音で苦しんでいた頃の記憶が呼び起こされて、胸のあたりが締めつけられるような感覚を覚えていました。そのことについては、この記事の後半で改めてお話しさせていただきます。

届かなかった声から始まった、六年間の記録


この本の出発点にあるのは、ラジオへの憧れではなく、上尾という街で実際に起きた一つの出来事です。

2019年の台風19号によって荒川が氾濫し、上尾市の平方地区では床下だけでなく床上まで水が達した家屋が相次ぎました。夜の闇の中で住人の方々が抱えていたのは、逃げるべきなのか留まるべきなのか、どこへ行けば安全なのか、水位はまだ上がるのか、避難所は開いているのかという無数の問いでしたが、その問いに答えてくれる声は、どこからも聞こえてこなかったといいます。

当時、行政が持っていた伝達手段は防災無線であり、実際に放送は行われていたにもかかわらず、その声は台風の雨音と風音にかき消されて、ほとんどの人の耳には届きませんでした。防災無線がもっとも必要とされるのは嵐の真っただ中でありながら、嵐の真っただ中こそ屋外のスピーカーの声がもっとも届かない瞬間であるという構造的な矛盾が、あの夜、残酷なほど明確な形で露呈したのです。

さらにこの本の中で私がもっとも考え込んでしまったのは、翌朝に起きたことでした。同じ荒川の氾濫で被害を受けた川越市には民放のヘリコプターが飛来して全国に報道が流れたのに対して、上尾の平方地区にはそうした取材があまり来ず、同じ川の同じ氾濫で同じように水に浸かった街がもう一つあったという事実は、全国にはほとんど伝わらなかったといいます。

大きなメディアが映さない街の出来事は、なかったことと同じように扱われてしまう。この気づきが、自分たちの街のことは自分たちの街のメディアが伝えるしかないという結論へとつながり、あいラジという構想が生まれていきました。

「思いだけでは、声は届かない」と書ける勇気


出版社の代表として数えきれないほどの企画に向き合ってきましたが、この本の原稿を読んで、私が本当に驚いたのは別の部分でした。

企業の周年史や、何かを成し遂げた組織の記録というものは、どうしても輝いていた部分を並べたくなるものであり、実際にそういう本が世の中にはたくさんあります。ところがこの本の第2章には「思いだけでは、声は届かない」という見出しが掲げられていて、会議は毎月きちんと開かれ、アイデアは豊かに語られていたにもかかわらず、その言葉たちが次の定例会までの一ヶ月の間に行動へ変わることはなく、翌月また似たような話題が似たような熱量で繰り返されていたという停滞の時間が、丁寧に記されています。

さらに読み進めていくと、2023年12月の定例会に集まったのが、わずか三人だったという場面が出てきます。

放送免許には申請から一定期間内に開局しなければ権利が失効するという制度上の期限があり、関東エリアに残されていた周波数の枠はごくわずかで、期限を過ぎれば二度と戻らない挑戦でした。その緊迫した状況の中で、出資者から預かった資金を返して解散するという選択肢さえ、水面下で検討され始めていたといいます。

私は、こうした場面を残すことを選ばれた判断そのものに、この組織の誠実さを見た気がしました。組織の内側の苦しさを本に残すというのは、決して気持ちのいい作業ではありませんし、格好の悪い部分を世の中に見せることになりますが、それを引き受けたからこそ、この本は成功譚ではなく、地域で何かを立ち上げようとするすべての人にとっての、実務的な参考書になっているのだと思います。

誰も見ていない場所に、通い続けた人


この本の第3章には、私が個人的にもっとも心を打たれた一節があります。

三人だけになった冬の会議室にいた一人が、当時まだ二十代だった、上尾エフエム株式会社 代表の森麻衣さんです。

彼女は2021年5月の第一回定例会から、特別な役職を持つこともなく、一人のボランティアとして月に一度の定例会に通い、チラシ配りがあれば顔を出すという関わり方を、二年以上にわたって淡々と続けてこられた方でした。

組織が勢いを失って人が次々と離れていった時期にも、彼女は変わらずそこにいたのです。

原稿の中では、夢を信じるというのは派手な行動のことではなく、誰も見ていない場所に通い続けることなのかもしれないという言葉で、その姿が表現されています。そして再建の局面で、外部の支援者の方々から誰に促されるでもなく自発的に彼女の名前が挙がり、代表として組織を率いる立場に立たれることになりました。

もう一人、この本の中心にいるのが、二十歳から五十五歳までの三十五年間を東京のアパレル業界で過ごされ、参加者が自分を含めて二人しかいなかった説明会に足を運んで、それでも帰らずにこのプロジェクトに飛び込まれたクウネルさんです。

収益はほぼゼロで、スタジオもなく本免許もなく、専業で動けるのは実質的に森代表と二人だけという状態から、残された一年で開局まで漕ぎ着けるという道のりが、第4章に細かく記録されています。予定されていた大口の資金が期限までに届かなくなり、銀行や信用金庫を訪ねても実績のない組織に融資の扉は開かず、それでもコアサポーターの方々の熱を冷ますわけにはいかないという思いから、表向きは淡々と準備を進めながら裏では資金の手当てに奔走するという二重の日々が続いたことも、正直に書かれています。

私が特に好きなのは、スタジオの天井の話です。外の環境音が放送に混じってしまうような構造になったのですが、お二人はそこに、完全に遮断された場所ではなく街の音が滲み込んでくる場所であるという別の意味を見出されました。弱点を個性として捉え直すその発想が、あいラジという局の精神を、スタジオの構造そのものに刻み込んだのだと思います。

全国のコミュニティFMの常識を、正面から疑った局


多くのコミュニティFM局が人手と資金の制約から朝八時や九時に放送を始めて夜十時ごろに終えるという業界の現実に対して、あいラジは上尾と伊奈という街の性格から考え直し、朝八時に電車に乗る人たちは六時にはもう動き始めているのだから放送はその時間から届いていなければならないという結論に至って、一日二十時間という放送体制を選ばれました。

さらに、多くの局が番組配信会社から購入した番組で放送枠を埋めているという状況に対して、地元の利益のためにある局がよその番組を流していて本当に地元のためになるのだろうかという疑問を出発点に、オリジナル番組の比率を九七パーセントまで高めるという編成を実現されています。

そしてこの生放送へのこだわりは、単なる方針ではなく、この局の存在理由そのものでもあります。地震や火災が起きたときに収録番組を流していては対応が遅れるため、二十時間の生放送体制とは、そのまま二十時間の防災即応体制でもあるのです。台風の夜に情報が届かなかったこの街で、今起きていることを今すぐ伝えられる体制を持つということが、どれほど重い意味を持つのかは、第1章を読んだ人であれば誰でも理解できると思います。

商業施設の中にあるスタジオの前にリスナーの方々が集まって、パーソナリティと言葉を交わし、リスナー同士が知り合いになっていくという光景も、この本の中で印象的に描かれています。ゲストで訪れた放送経験者の方々が、こんな光景は他の局では滅多に見ないと口を揃えるほどの熱気だといいます。

そんな、地元やオンラインのリスナー、パーソナリティの皆さん、そしてあいラジに関わる関係者の皆さんが開局するまでにどのような物語があったのかぜひご覧いただければと思います。


最後に


軽部出版は、「全国民が1人1冊以上の自分の本を出版できる社会」を目指した『著者1000人プロジェクト』を実現するために、有名かどうかではなく、本にすべき物語を持っているかどうかを基準に、著者の発掘を続けている出版社です。

あげおエフエム株式会社さんの『声を聴きたい。届けたい。』は、8月9日より順次発売しております。ぜひお手に取っていただければ嬉しいです。

そして、まだあいラジを聴かれたことがない方は、ぜひこの機会に89.1MHzに合わせてみてください。上尾や伊奈にいなくても、FM++のブラウザから聴くことができます。誰かの声が流れているはずですし、その声の向こうには、この本に書かれた六年間が確かに積み重なっています。

そして、「自分も本を出してみたい」「出版について詳しく話を聞いてみたい」という方は、軽部出版のLINE公式アカウントからお気軽にご連絡ください。(おかげさまで8000人以上のご登録をいただきありがとうございます!)

あなたの物語が、誰かの人生を変える一冊になるかもしれません。

軽部出版 代表取締役
軽部凌

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