再読記録「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回改めて読んだのは、江國香織さんの「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」集英社 (2005)です!

・あらすじ
一緒に住んでいる男と別れようか。そんなことを考えている時に、妹から連絡があった。祖母がゆうべ入院したと。
93歳になる祖母、長引いた風邪、突然の呼吸困難。もう何年も一日の大半を床で過ごしていた。もう死ぬかもしれない。
寝室で寝ている男は、その話を聞いていただろうか。無職で酒飲みで、甘ったれ。母に言わせれば「ろくでもない」男。
病院に着くと──その間に、マクドナルドに寄った──母と妹が待っていた。酸素マスクを付けた祖母は、からすとんびみたいに思えた。どうやら、一命を取り留めたらしい。
空腹だという母と妹を連れて、レストランに向かった。でも財布からお金が抜かれていた。あの男が取ったのだろう。
馬鹿みたいだ。何度やられたら諦めがつくのだろう。
It's not safe or suitable to swim.
私たちみんなの人生に、立てておいてほしい看板ではないか。
表題作の他、「うんとお腹をすかせてきてね」や「サマーブランケット」、「十日間の死」など10作の短編作品を収録。
この前、地元のプールで泳いでいる間に、急に「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」って言葉が思い浮かぶ。
別に本作自体にプールの描写はないのだけれども、なぜかこのフレーズだけが頭の中でぐるぐる回ってしまい。
ちょうど4年前、2022年7月に読んで以来の再読である。
4年前に紐解いたときは、教訓を求めて読んだと言うより、ただただ本を読む、それ自体を楽しむために読んでいた。
ただ、それから4年が経って、私の人生にも色々変化があって。有り体に言えば「愛」とは何かを考えるようになった。
この10作の短編小説は、全て女性の目線で描かれている。彼女たちは誰かに恋しており、深い愛情を抱いている。
だけど、それに対して男性のほとんどが、彼女たちを深く愛している訳ではない。倦怠期にある夫婦やカップル、身体だけの関係、激しく燃え盛り鎮火した恋⋯⋯。
女性もまた、当然気づいている。すでに飽きられていること、身体しか興味がないこと。本当は私のことを好きでも何でもないこと。
それでも関係を続けたい。相手を忘れることができない。
愛とは何なのだろうか。
「恋愛がすべてではないわよね」
私は一度、大好きな男にそう言ってみたことがある。彼はすこし考えて、
「すべてでは、ないだろうね」
と、こたえた。
それで十分だった。
「泳ぐのに安全でも適切でもない」。恋愛とは、そう言うものである。
こっちがどれだけ好きだと思っても、相手は別にただの友だちくらいにしか思ってないなんて日常茶飯時。
昔から「いつの間にか嫌われて」いて。連絡の回数が多いとうざがられて、逆に少ないと忘れられて。そういう問題(テクニックでどうにかなる話)じゃないにしても、じゃあどうすれば良いのかが、分からない。
だったら、人を好きにならずにいれば良いと思うし、この本を4年間に紐解いた頃は、そう思っていた。
だがしかし、それでもなお人を好きになってしまう。辛いと分かっていながら、人を好きにならずにはいられない。
そんな一瞬に、溺れてしまう。安全でも、適切でもない。
ここにきて、たいして時間はたっていないだろう。その短さを、知りたくはなかった。
少しづつ人生経験を重ねて、今更ながら色々な感情を理解しつつある、自称読書家であった。それではまた次回!
いいなと思ったら応援しよう!
今日もお読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、東京読書倶楽部の運営費に使わせていただきます。