時代を先取りしてきたゲーム機開発者
任天堂のゲーム機は、ファミコンからNintendo Switch 2に至るまでの約40年間、複数の人が開発に関わっている。
一方セガのゲーム機の歴史は約20年。1983年のSG-1000からドリームキャスト生産中止、ゲーム機事業を撤退した2001年まで、おもにゲーム機開発に関わっていたのは佐藤秀樹さんである。
2001年1月の記者会見で、セガがゲーム機ビジネスからの撤退を伝えたのも、当時副社長だった佐藤さんだった。事業の立ち上げから幕引きまで1人で行ったようになっている。その後、社長、会長を務められ2004年に退任されている。
その佐藤さんが2月に亡くなられた。
雑誌の編集という立場で、マークⅢの時代からセガと付き合っている。
メガドライブ、テラドライブ、セガサターンなど発売前のゲーム機を取材させてもらった。その都度佐藤さんが新しいハードの機能を説明してくれた。新技術でゲーム機がどんどんグレイドアップしていた時代の話だ。
2017年ごろセガのゲーム機開発をテーマにしたトークイベントを企画した。
佐藤さんに講演をお願いするため、セガ退社後経営されていた南品川の電子機器製品会社を訪問した。
企画を説明したところ、快諾いただいた。
そのとき、自分のこれまでの足跡を本にしたい、というような相談を受けた。何とか実現したいと思った。
2019年9月メガドライブミニ(セガ)が発売された。
発売と同時期に『BEEP!メガドライブFAN』(発行:アンビット、発売:徳間書店/2019年)を発売したい、と元徳間書店インターメディアの山森さんから相談があった。
おもしろそうな企画なので手伝うことになった。ミーティングの際、佐藤さんの本の提案をした。
メガドライブミニの発売もあり、タイミングがいいので話を進めたい、と山森さんは快く引き受けてくれた。
後日佐藤さんと会ってもらい、2019年9月『元社長が語る! セガ家庭用ゲーム機 開発秘史』は出版された。セガのゲーム機の話が満載の本だ。

メガドライブ、サターンからドリームキャストまで~』(発行:アンビット、発売:徳間書店)
それからしばらく後のこと。某出版社から、ファミコン開発に関わった上村さんと佐藤さんの対談を本にまとめたいという相談があった。内容がどういう展開になるのか興味があったので、手伝うことにした。
お二人に企画を説明したところ、賛同いただいた。上村さんが京都から東京においでになる際に対談を行うことになった。
しかし、運悪く2020年春から2021年にかけて新型コロナウイルス感染症の流行で、何度か緊急事態宣言が出された。こうした状況下、上村さんが2021年末に亡くなられた。企画は実現しなかった。
1980年代半ばから1990年代前半にかけて、何度も佐藤さんを取材した。いろいろな話をうかがった。
その中で感じたことは、モノづくりにあたってまずは挑戦してみよう、という佐藤さんのスタンスだ。言葉の端々からそう感じられた。
セガは、「時代を先取りした挑戦者」というイメージをもっている人が多い。そのパイオニア精神、セガスピリットを担っていたひとりが佐藤さんだったのではないだろうか。
そのスピリットを雑誌を通してうまく読者に伝えられたかどうか。
ゲーム機とともに走り続けてきた佐藤さん。
セガファンたちに楽しい思い出をありがとうございました。
