第4回 50代ゲーマーは0.43秒に反応できるか。
「ストリートファイター2」「バーチャファイター2」といった格闘ゲーム、いわゆる「格ゲー」が大ブームとなったのは、今からおよそ35年前、1991年頃のことだ。
当時は各駅前にゲームセンターがあり、学生や社会人が解放される夕方になると、街中のいたるところから「波動拳!」「昇龍拳!」の声が聞こえたものだ。その頃学生だった私も、当然のようにゲームセンターに通った。主人公の「リュウ」というキャラを使い、ローカルな大会で優勝できるくらいまでやりこんだ。
時が経ち、「熱量を維持した者」と「そうでない者」の差は歴然となる。
ピラミッドの頂点しかプレイヤーがいなくなった格ゲー村は狭い集落となり、やがて一世を風靡した格ゲーブームは終わりを告げた。
しかし近年、当時の再来を思わせるタイトルが登場した。
「ストリートファイター6」、通称「スト6」。
誰あろう、格ゲーブームの火付け役となったあの「スト2」シリーズのナンバリングタイトル、つまり続編である。
スト2からスト6に至るまでの歴史については割愛するが、とにかく冬の時代で低迷していた格ゲー界に、新たな旋風を巻き起こしたのは間違いない。
ネットの進化により、家に居ながらにしてリアルタイム対戦をするのはもはや当たり前の時代になった。プロゲーマーやストリーマーが攻略動画をYouTubeにアップし、多くのプレイヤーが同じレベルの攻略情報を共有できるようになったのも大きいだろうか。
カリスマ的なプロゲーマー、既にファンがついているストリーマー、そして格ゲーファンが一体となって、コンテンツを盛り上げているような印象を受ける。
「昔取った杵柄」とばかりに、軽い気持ちでここに参戦するのがオジサンゲーマーだ。しかし、勝てない。そもそも、かつてあれほど使い込んだはずの「リュウ」が、ほぼ別人になっている。「波動拳」「昇龍拳」「竜巻旋風脚」といった技は見た目こそ昔と変わらないが、どうにも使い勝手が悪い。
「ドライブラッシュ」「パリィ」など、スト2時代にはなかったシステムがキモとなるゲーム性で、アップデートされていない「スト2時代の動き」だけで対抗しようとしていた私は、ただ連敗を重ねる日々を続けていた。
「ドライブインパクト」という技がある。
相手の攻撃を耐えつつ強引に打撃を叩きこむ技で、共通システムとして全キャラクターに搭載されている。
この技がヒットすると相手は一定時間無防備な状態になり、あとは煮るなり焼くなりという感じで、好き放題の連続技を叩きこめる。つまり、大チャンスの呼び水となる強力な技なのである。
しかし、「ドライブインパクト」は諸刃の剣。
「ドライブインパクトがヒットする前に、相手もドライブインパクトを出した場合、後出しの方が勝つ」という、通称「インパクト返し」が存在する。
これこそが、まさに"オジサンゴロシ"のシステムだ。
難しいことは割愛するが、ドライブインパクトという技を出すには、およそ0.43秒を要するらしい。つまり、この技を返すには「相手が技を出してから0.43秒以内に反応して、自分もインパクトを出す(ボタンを押す)」必要があるのだ。0.43秒!そんなんオジサンにできるわけないやろ!の世界なのである。しかし、これが返せないとなると、もはやこのゲームは成立しないと言ってもいい。でも、なんだろう、反応は遅いし、「押せや!」と思ってから指先までの伝達も、伝書鳩かと思うくらい遅い。なんなら、違うボタンを押していることもある。画面を見ると、リュウがタコ殴りにされている。
後にスマホで、「反射神経ゲーム」というのをやってみた。
合図が出たらボタンを押す、その時間を競うだけのテストである。
結果は平均にして0.6秒前後。
中年ゲーマーのスト6は、開幕する前に終わっていたのである。
(放り投げたコントローラーを拾い、再戦のボタンを押しながら)
☆今回の研究結果
・オジサンは、基本ドライブインパクトに反応できない。
・調子の波が激しく、コンディションが良いと返せることもある。
・MRは、老眼のご機嫌に依存する。
