インターネット以前、僕たちはどうやってPCを繋いでいたのか?1980年代のLANプロトコル群雄割拠時代
「インターネットの話」を続ける前に、そもそも「ネットワークとは何か?」という基本と、PC同士がまだうまく繋がらなかった1980年代のちょっと懐かしい歴史を整理しておきたいと思います。
そもそも「ネットワーク」ってなに?
パソコンをどこにも繋がずに1台だけで使っている状態を「スタンドアロン」と呼びます。例えば、2台のPCがあっても互いに接続されておらず、データをやり取りするのにフロッピーディスクを持ち運んでいるなら、それもスタンドアロンです。
通信の基本(1対1) フロッピーの入れ替えが面倒なので、2台をシリアルケーブルで繋ぎ、通信ソフトでデータをやり取りする。これが「通信」の基本です。もちろん、ケーブルをたくさん繋ぐことで複数のパソコンと通信することも出来ます。このケーブルの途中にモデムと電話回線を挟んだのが、いわゆる昔の「パソコン通信」でした。
ネットワーク(1対多・対等な関係) 一方、ネットワークはPCを「あるグループの構成員のひとつ」として参加させます。何台でも参加可能で、PC同士は基本的に対等な関係。データは「パケット」という塊でやり取りされ、各PCは「名前」で識別されます。
このネットワークが部屋や建物内など狭いエリアならLAN(ローカルエリアネットワーク)、回線を跨いで複数の場所を含むならWAN(ワイドエリアネットワーク)と呼びます。
ちなみにインターネットとは、そもそも「世界中のLANやWAN同士を相互に接続する仕組み」から始まったものです。
1980年代:群雄割拠のLANプロトコルたち
1980年代は、PCが単体動作の「スタンドアロン」から、オフィス内のPC同士を繋ぐ「LAN」へと劇的な進化を遂げた時代でした。当時は、現在のインターネット標準である「TCP/IP」ではなく、メーカーやOSごとに異なる独自プロトコルが乱立していました。代表的な4つのプロトコルをご紹介します。
① NetBEUI(ネットビューイ)
開発 / 主導: IBM / Microsoft
主なOS: PC-DOS、OS/2、初期のWindows Network
特徴: 超軽量・高速! 設定項目がほぼなく、当時の貧弱なCPUやメモリでもサクサク動きました。ただしルーターを越える機能(ルーティング)を持たず、同一LAN内でしか通信できません。
立ち位置: 小規模オフィスや部屋単位の接続における「手軽な標準」でした。
② IPX/SPX
開発 / 主導: Novell(ノーベル)社
主なOS: NetWare
特徴: Xerox社の「XNS」をベースに開発。ルーティングが可能で、非常に堅牢かつ高速でした。
立ち位置: 1980年代半ば〜90年代初頭の企業向けLAN市場で圧倒的なシェアを獲得。「会社のファイルサーバに繋ぐ=NetWare(IPX/SPX)」という時代があったほどです。
③ AppleTalk
開発 / 主導: Apple
主なOS: Classic Macintosh (System 1.0〜)
特徴: Macに標準搭載されたプロトコル。ケーブルを挿すだけで自動的にアドレスが割り当てられる「Plug and Play」の先駆けでした。
立ち位置: 面倒な設定なしでプリンター共有(LaserWriter)やファイル共有ができるため、デザイン・出版業界で強く支持されました。
④ TCP/IP
開発 / 主導: DARPA(米国国防高等研究計画局) / UNIX陣営
主なOS: BSD UNIX、各種ワークステーション(SUN、Apolloなど)
特徴: 異なるベンダー間の相互接続を前提としたオープンな設計。ただ、当時の8〜16ビットPCには処理が重すぎました。
立ち位置: 80年代当時は大学や研究機関の大型ワークステーション用(ARPANET等)。PC LANの主役になるのは90年代半ば(Windows 95やインターネット爆発期)を待つことになります。

なぜ当時はこんなに混在していたのか?
1980年代は、ケーブルなどの物理規格(EthernetやToken Ring)の標準化が進む一方で、その上で動くソフト(プロトコル)は各社が囲い込みのために独自展開していました。そのため、当時のネットワークカード(NIC)のドライバ設定やプロトコル設定(MS-DOSの AUTOEXEC.BAT や CONFIG.SYS の記述)は、メモリ容量との戦いであり、かなりの試行錯誤が必要な作業でした。
当時のあるあるメモ
当時は「10BASE-2」という同軸ケーブルを使い、BNCコネクタやT型コネクタで物理的にPCを数珠繋ぎにしていました。
NetBEUIは「MS-Network」や「LANMAN」とも呼ばれ、MS-DOS Ver3はこれをサポートするために登場した経緯があります。
理論上は複数プロトコルの同時利用も可能でしたが、当時はDOSの空きメモリ(メインメモリ)が圧迫されるため、泣く泣く1つを選んで使っていました。
この頃は「10BASE-2」という同軸ケーブルを使い、BNCコネクタやT型コネクタで物理的にPCを数珠繋ぎにしていました。NetBEUIは「MS-Network」や「LANMAN」とも呼ばれ、MS-DOS Ver3はこれをサポートするために登場した経緯があります。理論上は複数プロトコルの同時利用も可能でしたが、当時はDOSの空きメモリ(メインメモリ)が圧迫されるため、泣く泣く1つを選んで使っていました。
結局のところ、当時はTCP/IPも「数ある選択肢のひとつ」に過ぎず、パソコン通信・オフィス・大学でそれぞれ使うプロトコルが全く違っていたのです。
個人・小規模オフィス: LANMAN(NetBEUI)
一般的な企業オフィス: NetWare(Novell)
大学・研究機関: TCP/IP
さて、こうしてLANで多くのPCが繋がるようになると、次に重要になるのがそれらを識別する「名前」の管理です。しかし、この「名前」の扱い方にも、各ネットワーク特有の強いクセがありました。
長くなってきたので、そのあたりはまた次回お話ししようと思います!

NotebookLMによるスライド資料
NotebookLMによるまとめ記事
ショート動画
NotebookLMによる解説動画
NotebookLMによる音声解説
ヘッダ画像は、Gemini に考えてもらったのですが、ケーブルをハブで繋いでしまったりT型ではなく十字型のものを描いてしまったり、なかなかうまくいきません。
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