PC-98の知られざる系譜:メインストリームの影に隠れた「小型機」と「一体型」の魅力
NECのPC-98たちも、そろそろ「9821」の世代に進むところですが、その前にこれまで取り上げなかった機種たちのいくつか(ちょっとニッチな名機たち)を拾ってみたいと思います。
PC-9821の夜明け:迷走の「GS」から「MulTi」へ続くWindowsへの道
PC-9801シリーズには、大きく分けて「デスクトップ型」と「ノート・ラップトップ型」がありますが、まずはデスクトップから。メインのラインナップ以外に、「小型デスクトップ」と「ディスプレイ一体型」の機種がいくつか見つかりました。
3.5インチの歴史はここから始まった「小型デスクトップ」
💾 PC-9801U(1985年6月発売)
CPU: V30(8MHz)
ドライブ: 2DD 3.5インチ FDD×2台
本体を小型化するというよりも、「これからは3.5インチドライブの時代だ!」とアピールするための機種だったんでしょう。アナログRGBにも対応していて、FM音源も追加可能でした。当時のソフトを動かす分には、メモリさえ足りれば問題ありませんでした。
なんとキャリングケースも用意されていたようで、PC-9801シリーズを家庭に売り込もうというメーカーの目論見もあったのかもしれません。
PC-9801シリーズ初となる3.5インチFDD搭載モデル「PC-9801U」
🔌 PC-9801UV11(1988年3月発売)
CPU: V30(10MHz)
3.5インチFDDを2台搭載したモデルですが、サイズが大幅にコンパクトになりました。重量も5キロちょっとと(他の機種と比べればですが)軽量化され、消費電力はなんと27Wしかありません。
この頃になるとPC-9801向けのゲームなども豊富に揃っていました。スペック的にも「PC-8801ユーザーをそろそろ16ビット(98)に迎え入れたい」というNECの意図を感じる1台です。
省電力化も実現、NECが放った小型PC-98「PC-9801UV11」
⚙️ PC-9801UF / UR(1991年2月発売)
CPU: V30HL(16MHz / 8MHz)
省電力かつ高速化されたCPU「V30HL」が採用されました。おおよそですが、当時の主流だった80286(12MHz)相当のパフォーマンスがあったようです。面白いのが「8080エミュレーションモード」を持っていたことで、これでCP/M-80を動かしていた猛者もいたようです。
NEC PC98シリーズ PC-9801UF 本体仕様
兄弟機の「UR」は、FDDを1台に減らした代わりにメモリが増設されており、RAMドライブとして使えるようになっていました(価格はUFと同額)。また、ハードディスク内蔵モデルも用意。もしかしたら「日本語ワープロ」としてPC-9801を使う層をターゲットにしていたのかもしれませんね。
🔧 PC-9801US(1992年7月発売)
CPU: 386SX(16MHz)
メモリ: 標準1.6MB
カタログ上では他のPC-9801と同じく14.6MBまで増設可能ですが、メモリ専用スロットがひとつしかありませんでした。ここに挿せるのは2MBまでで、それ以上のメモリは2つしかない「Cバス」を使う必要があったため、Windows 3.1を快適に動かすには少しばかり無理がありました。
また、「HDDパック」という98NOTE向けの2.5インチIDEハードディスクを内蔵可能でしたが、20mm厚のタイプしか使えないという罠も。
今となっては当時のIDEハードディスクを探すのも難しいので、ここにCFカード変換アダプタを入れてリストアしているレトロPCマニアの方もいるそうです。純粋なMS-DOSマシンとして使うには今でも使い勝手が良く、愛されているマシンですね。
PC-9801US その1<概要>
時代を先取りしすぎた?「ディスプレイ一体型」
小型デスクトップ以外に、特徴のあるラインナップとして「ディスプレイと一体化したモデル」もありました。
📺 PC-9801CV21(1988年3月発売)
CPU: V30(10MHz)
ディスプレイ: 10インチ カラーブラウン管内蔵
3.5インチFDDはもちろん、10インチのカラーディスプレイを内蔵したモデルです。どことなく初期のMacintoshを彷彿させるところもあり(天面に取っ手もありました)、「電源だけ繋げばすぐに使える」というメリットはあったのでしょう。
ただ、一体型あるあるで「ディスプレイが故障すると本体も道連れ」になります。斬新なデザインだったにもかかわらず、当時はそこまで注目度は高くなかったような記憶があります。
NEC PC-9801シリーズ初のモニタ一体型モデル「PC-9801CV21」
💿 PC-9801CS(1991年10月発売)
CPU: 386SX(16MHz)
ディスプレイ: 10インチ カラーブラウン管内蔵
こちらも3.5インチFDDを2台内蔵し、10インチカラーディスプレイを一体化したモデルです。ただ、「内蔵」といっても単に筐体の上にディスプレイが載っているようなデザインで、CV21のような一体感としての格好良さはあまりありませんでした……。
これからやってくるだろう「マルチメディア時代」を目指していたのかもしれません。最上位モデルには、内蔵されたHDDにWindows 3.0Aがプリインストールされていました。
PC-9801CS 人に、オフィスに優しいディスプレイ一体型モデル
僕がこれらを選ばなかった理由
これらの省スペース・一体型ラインナップは、次のような用途には十分だったと思います。
パソコンを「ワープロ」として使いたい
「パソコン通信」が出来れば良い
定番の「ゲーム」だけ出来れば充分
しかし、いわゆるフラッグシップ(大画面・拡張性重視のモデル)と比べると、1世代古いスペックの場合が多かったのです。
少なくとも私は、2台目のPCとしても手を出せませんでした。拡張スロット(Cバス)が2枚しか持たない機種も多く、長く使うにはここがネックになることもありました。(周辺機器を追加していくと、意外とすぐにスロットは埋まってしまうんですよね)
初期のMacintoshの影響も大きかったのかもしれませんが、一体型は配線も少なく、買ってきてすぐに使うためには便利だったはずです。ただ、結果としてこの「手軽に省スペースで使える」というポジションは、このあと急速に進化する「ノートPC」へと引き継がれていくことになります。
さて、次はノート……というか、もう少し大きな「ラップトップ型」の歴史も追ってみましょうか。

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ヘッダ写真は Gemini に作ってもらったのですが、やっぱり少し違いますよね^^;
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