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『方舟』読んだ?これは、マジでやばいす。極限状態の意思決定

※【ネタバレ注意】本記事は夕木春央氏の小説『方舟』の核心的なネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

久しぶりに「一気読み」した。
ビジネス仲間に勧められて読み始めたら
止まらない・・・

夕木春央氏の小説『方舟』
週刊文春ミステリーベスト10の2022年1位
このミステリーがすごい!2023年版国内編4位という実績を持つ作品。

読み終えた瞬間、しばらく頭の中がぐるぐるしていました。

「え、そういうこと?」
「あのシーンはそういう意味だったのか」
「自分だったらどうしていた?」

という問いが、次々と浮かんできて。

これ、ビジネスをやっている人に特に読んでほしい。
その理由を今日は語らせてください。

ネタバレありなので、未読の方はご注意ください。




では、いきます。


あらすじ:地下に閉じ込められた10人の「7日間」

舞台は、山奥の地下建築物「方舟」

大学時代の友人たちと従兄の柊一は、
偶然出会った矢崎一家と共に、
この不思議な地下建築で一夜を明かすことになります。
ところが翌朝、地震が発生。出入り口が巨岩でふさがれ、
10人は完全に閉じ込められてしまう。

設計図によれば、地下3階に非常口があります。
しかし、そこは水没していて、
しかも水位は上昇し続けている。
猶予は7日分。それまでに脱出できなければ、全員が水没します。

脱出する唯一の方法は、巻き上げ機を操作して巨岩を落とすこと。
ただし、それを実行した人間は、部屋に閉じ込められて死ぬ。

「誰が犠牲になるか」という究極の問いが突きつけられた直後、今度は殺人事件が起きます。

えー。って流れの連続でした。

「なぜ殺したのか」が、すべてをひっくり返す

クローズドサークルものとして読んでいると、
物語の後半まで「誰が犯人か」という謎解きに集中してしまいます。

昔から、クローズドサークル系ってドキハラで、だい好きです。

でも、この作品の本当の恐ろしさは

「誰が犯人か」ではなく、
「なぜ殺したのか」

にありました。

真犯人は麻衣。彼女は早い段階から、
監視カメラの配線をすり替えていました。
出入り口と非常口のモニターを入れ替えることで、

「本当の脱出口がどこか」という情報を自分だけが知っている状態を作り出していた。

他の9人が「犯人を特定して、その人を生贄にしよう」と必死に推理している間、麻衣は冷静に自分だけが生き残るための準備を進めていた。
読み終えた瞬間、まじかー。と。

「あなたならどうする?」という問いの重さ

この作品が刺さる理由は、読んでいる間、読み終わった後、「自分だったら?」という問いが頭から離れないからだと思います。

麻衣のように情報を独占して、自分だけが助かる道を選ぶのか。それとも、全員で脱出する方法を探し続けるのか。誰かを犠牲にする決断を下せるのか。

正解はありません。でも、この「正解のない問い」を真剣に考えることが、思考の筋トレになる。『方舟』は、そういう「極限の選択」を疑似体験させてくれる作品です。

ちなみに、八甲田山の話も少しだけ

余談ですが、この作品を読んでいて、新田次郎氏の『八甲田山死の彷徨』を思い出しました 。

1902年の実際の雪中行軍遭難事件を描いたこの作品では、リーダーが「もう少し様子を見よう」「そのうち天候が回復するかもしれない」と決断を先送りにし続けた結果、組織全体が壊滅する様子が描かれています。

麻衣は逆に、誰よりも早く「自分が生き残るための決断」を下した。どちらが正しいとは言えませんが、「決断の速さと情報の掌握が、生死を分ける」という点では共通しています。

『方舟』は単行本で約300ページ。今の本としては決して長くないし、読み始めたら止まらない。週末の一気読みに最高の一冊です。

ビジネスパーソンとして、「極限状態での意思決定」を疑似体験したいならぜひ!

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■ 増田 啓一(ますだ けいいち)
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