62歳、AIで作詞作曲してみた ―アニメ主題歌オマージュ曲をSpotifyに配信するまで
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定年後、生成AIで作詞作曲した「アニメ主題歌オマージュ曲」をSpotifyとApple Musicに配信するまでの全記録だ。
俺は62歳、元LPG技術者。機械音痴を自認していたが、AIツールとDistroKidを使えば個人でも世界配信ができた。
この記事を読むと、使ったツールと費用、著作権の注意点、配信までの手順、そして公開後の反応まで、実体験ベースで分かる。
■61歳、機械音痴でも生成AI作曲はできるのか
結論から言う。できた。
専門知識がなくても、生成AIツールと配信サービスを組み合わせれば、個人が楽曲を世界に配信するところまで到達できる。
俺がAI作曲に手を出したきっかけは単純だ。好きなアニメの一場面が忘れられなくて、自分なりの言葉と旋律にして残しておきたくなった。
ただの自己満足かと思っていたが、実際にやってみると思っていたより敷居は低かった。
生成AIによる音楽市場は2026年に5億7,000万米ドル規模まで拡大すると予測されており、個人クリエイターの参入も後押しされている(出典:GII調査レポート)。
道具立てさえ揃えれば、機械音痴の俺でも一曲仕上げるところまでこぎつけた。
▼きっかけ:好きなアニメへの想いを言葉と旋律にしたかった
宇宙戦艦ヤマトの第一話を見返していたとき、あの主人公の不器用さが自分と重なった。だったら、その気持ちをそのまま曲にしてしまえばいい。そう思ったのが最初だった。
▼実際にやってみた最初の感触
生成AIに歌詞のイメージを打ち込むと、数分でメロディの候補がいくつも返ってきた。正直、拍子抜けした。もっと難しいものだと思っていたからだ。
■DistroKidで音楽配信するツールと費用のリアル
結論から言う。作詞・作曲・配信を合わせても、月々の負担は数千円程度に収まる。
道具は大きく分けて「作詞・作曲AI」と「配信代行サービス」の二つが必要になる。俺が実際に使って比較したのは、次の三つだ。
・作詞・作曲AI:数分でメロディと歌詞の候補が出る。月額は無料〜数千円のプランが中心 ・配信代行サービス(DistroKid):年額プランで楽曲数は無制限、Spotify・Apple Music・Amazon Musicなど150以上のサービスへ一括配信できる ・録音・仕上げ機材:マイク一本あれば、歌入れや音声メモの質がぐっと上がる
DistroKidの一番安いMusicianプランは年間約24.99ドル(日本円で3,800円前後)で、この中に楽曲数の上限はない。印税の還元率は100%で、「1曲いくら」ではなく「年間いくらで出し放題」という料金体系になっている。
年金暮らしの身には、この定額制はありがたかった。
■アニメ主題歌オマージュ曲、著作権は大丈夫なのか
結論から言う。「敬意」を示し、「市場のすみわけ」を意識すれば、オマージュとして成立する余地はある。ただし公開は私的使用の範囲を超えるため、慎重な判断が必要だ。
ここが一番不安だった部分だ。好きな作品への想いを曲にしたい。だが、それが権利者に迷惑をかける行為になっては本末転倒だ。
日本の著作権法では、パロディやオマージュという表現形式そのものが法律で定義されているわけではなく、著作権侵害の有無だけで個別に判断される。
一方で、原作品を「尊敬している」意思を示し、原作とパロディが「市場のすみわけ」できていれば許容されやすい、という指摘もある。
俺が実践したのは次の3点だ。
・原作のタイトル
・原作者を必ず明記する
・原作の売上や評価を奪うような使い方(そのまま無断で歌詞を使う等)はしない
・私的な範囲を超えて公開する以上、権利者からの指摘があれば速やかに対応する姿勢を持つ
権利元が二次創作ガイドラインを公表しているケースも増えているので、対象作品にガイドラインがあるかは事前に確認しておくと安心だ。
■DistroKidでSpotify配信開始までの実際の手順
結論から言う。作詞から配信開始まで、実質1〜2週間あれば個人でも完結できる。
俺が実際にたどった手順は次の通りだ。
・歌詞のイメージを言葉にして生成AIに投げる
・出てきたメロディ候補から気に入ったものを選び、必要に応じて修正を依頼する
・自分の声やAIボーカルで歌入れをし、音源として書き出す
・DistroKidにアカウント登録し、楽曲情報とジャケット画像を入力する
・審査に提出し、1週間ほど待つ
・審査を通過すると、Spotify・Apple Music・iTunesなどで順次配信が始まる
つまずいたのはジャケット画像のサイズ規定だった。ここは何度か差し戻された。
■Spotify公開後の反応、「誰にも届かないかも」という不安と向き合う
結論から言う。届く範囲は小さくても、確かに届いている。数字だけでは測れない手応えがある。
正直、公開する直前まで「誰も聴かないんじゃないか」という不安はずっとあった。だが2026年のAI音楽シーンを見渡すと、個人の楽曲が思わぬ広がりを見せる例も出てきている。
AIアバター歌手「インガローズ」の楽曲がSpotifyで300万人に視聴されるなど、個人発の楽曲がヒットする事例も生まれている(出典:日本経済新聞)。
Sunoのようなツールは有料登録者だけで200万人を超え、2026年2月時点で年間経常利益3億ドルを報告しており、AI作曲を使う個人クリエイターの母数自体が急拡大している。
一方で、Spotifyは2025年に7,500万以上のAI生成楽曲を削除しており、量産型の楽曲は埋もれやすい状況でもある。だからこそ、俺は再生数よりも「誰か一人にでも届いたか」を基準にすることにした。
■読者が見える未来
これを読んでいるあなたも、きっかけさえあれば同じ場所に立てる。好きな作品への想いを、誰かに届く形にできたとき、定年後の毎日に小さな張り合いが生まれる。
俺はもう次の曲の構想を考え始めている。北海道の冬をテーマにした一曲だ。
■制作を支えた配信マイクの選び方
結論から言う。歌入れや音声メモの質は、マイク一本で大きく変わる。
「機械音痴だから難しい機材は無理」という悩みを抱えている人にこそ、USB接続だけで完結するマイクをすすめたい。俺が実際に使ったのは、オーディオテクニカのUSBコンデンサーマイク「AT2020 コンデンサーマイク XLR」だ。
ドライバー不要でパソコンに挿すだけで認識され、ミュートボタンと音量調整も本体でできる。USB Type-C対応で、テレワークや配信用途にも使われている定番モデルだ。
AT2020 コンデンサーマイク XLR: 商品ページ
歌入れの際の「なんとなくこもった音」で悩んでいる人には、このクラスのマイク一本で解決することが多い。
■まとめ:次の一歩
好きな作品への想いがあるなら、まずは無料の生成AIツールで一曲、旋律を出してみることから始めてみてほしい。歌入れの音質を上げたいと思ったら、上で紹介したマイクを検討してみるのも次の一歩になる。
筆:健一
