官公庁の職員相手にプログラミング講座!?
「今度、メタバースの前に官公庁の職員向けのプログラミング講座をやってもらえませんか?」
その打診を受けた瞬間、頭の中にはいくつかの疑問符と、それ以上の高揚感が駆け巡った。官公庁や行政機関といえば、失礼ながら「紙とハンコ」「前例踏襲」の文化がいまだ根強く残る世界というイメージが世間一般には強い。そこにプログラミング? 一体、彼らに何を教えればいいのだろうか。
しかし、蓋を開けてみてさらに驚いた。求められているカリキュラムの幅が、想像以上に広くて本格的なのだ。
よくある「Excelのマクロ(VBA)を覚えて業務効率化をしましょう」といったレベルではない。実際に求められているのは、JavaScriptやTypeScriptといったモダンなフロントエンド言語から、データ分析やAI活用、バックエンド処理の主役であるPythonまで、現代のWeb開発やシステム構築の根幹をなす言語たち。これらを網羅的に教えることになりそうなのだ。
一昔前なら、行政のITといえば外部のベンダーに「丸投げ」するのが当たり前だった。しかし、時代は大きく変わっている。国を挙げてデジタル庁が発足し、地方自治体も含めて「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の波が怒涛の勢いで押し寄せている。彼らは単にシステムを使う側ではなく、テクノロジーの構造を理解し、主体的に行政サービスをアップデートしていく人材(インハウスエンジニアやITリテラシーの高い職員)を本気で育成しようとしているのだ。
とはいえ、相手はプログラミング未経験者が大半を占めるであろう公務員の方々だ。
画面の見栄えや動的な動きを作るJavaScript/TypeScriptの楽しさを伝えつつ、Pythonを使った実用的なデータ処理の便利さも実感してもらわなければならない。フロントエンドからバックエンドまでを地続きで教えるのは、一筋縄ではいかない。専門用語をいかに噛み砕き、彼らの日常業務(例えば、膨大なオープンデータの活用や、市民向けWebサービスの利便性向上)にどう結びつけてイメージさせられるかが、この講座の成否を分けるだろう。
「お堅いお役所仕事」を「スマートでクリエイティブなテックワーク」へ。
私の講義を通じて、一人でも多くの職員がコードを書く楽しさに目覚め、日本の行政DXが現場から加速していくとしたら、これほどエキサイティングな仕事はない。その上単価もこれまでの倍近い。流石は地方の行政ではなく厚労省。昨今の世界情勢の変化に対応するためになりふり構ってはいられないのだろう。
フロントエンドからバックエンドまで、教える側のこちらもしっかりと褌を締め直さなければならない。いよいよ、前代未聞のプログラミング講座が幕を開ける。
