SCM用語:S&OPサイクル(Sales and Operations Planning Cycle)
サプライチェーンの現場で使われる専門用語をわかりやすく解説するシリーズ。
今回は「S&OPサイクル (Sales and Operations Planning Cycle)」です。
「営業はもっと売りたいと言うし、生産はそんなに作れないと言う」
こんなズレに悩んだことはありませんか?
S&OPサイクルは、このズレを整えるための仕組みです。
イメージしやすいように、「人気カフェの月次会議」で考えてみましょう。
営業担当は「今月はSNSで話題だから、ラテをたくさん売りたい」と言います。
一方で、キッチンは「人手も設備も足りないから、そこまで作れない」と言います。
このままだとどうなるでしょうか。
売りすぎれば、現場がパンクします。
逆に慎重すぎると、売上チャンスを逃します。
ここで必要になるのが「全体でのすり合わせ」です。
S&OPサイクルとは、
「売る計画」と「作る計画」を毎月すり合わせて、会社としての最適な答えを出す流れのことです。
一般的には、1か月を1サイクルとして進みます。
まず、需要予測を見直します。
次に、その需要に対して供給できるかを確認します。
そのうえで、数字のズレを調整します。
最後に、経営として意思決定を行います。
つまり、単なる会議ではなく、
「現場の情報を集めて、会社の方針を決める一連の流れ」です。
このサイクルを回すと、こんな効果があります。
・在庫が増えすぎるのを防げます。
・欠品も減らせます。
・無理な生産計画も減ります。
そして何より、
「部門ごとのバラバラな判断」が減ります。
ここからが少し踏み込んだ話です。
S&OPサイクルの本質は、「数字を合わせること」ではありません。
本当に大事なのは、
「どのズレを受け入れて、どこにリスクを取るか」を決めることです。
たとえば、
・売上を優先するなら、在庫を多めに持つ判断になります。
・利益を優先するなら、無理な増産はしない判断になります。
この「優先順位」を決めるのが、経営の役割です。
さらに実務では、こんな視点が重要になります。
・需要のブレはどれくらいか。
・供給の制約はどこにあるか。
・リードタイムはどれくらいか。
これらを踏まえて、現実的な計画に落とし込みます。
つまりS&OPサイクルは、
「理想の計画を作る場」ではなく、
「現実の制約の中で最も納得できる計画を決める場」です。
このサイクルを回し続けることで、会社全体の動きが少しずつ揃っていきます。
