ぎくしゃく、ひとまず終了
オレンジの甘さとグレープフルーツの苦み
沈黙とひとときの盛り上がり
部屋の中とカーテンの外
浮き輪みたいな感触と温度
何かを残念がるため息
新しい朝がやってきて、私が家を出るまで喧嘩中の夫は寝ていたので、言葉を交わさないまま、私は出かけた。
午後、家へ帰ると家には誰もいなくて、図書館で借りた本の返却日だったので、後少しで読み終わる本を読んでいた。
本を読み終わる頃、夫が帰ってきた。いつもは大きな音を立てて帰ってくるのに、静かにゆっくり入ってきて、小さな声で「ただいま」と言う。あ、まだ怒っているのだなと気付いて、私も小さな声で「おかえり」と言う。入れ違いで、私は図書館へと本を返しに行き、予約していた本を借りた。
うーん、気詰まりな家に帰りたくないなと思いながら家へと帰った。夜ごはんの用意をして、息子と話しながら夜ごはん。静かに険悪な空気が流れつつ、明日家族で遠出する用事があるので、そのやりとりをぎくしゃくしながら話した。
そしてまた新しい朝がやってきて、朝早くから準備をして、朝が超苦手な息子もなんとか起こして家を出た。なんとなくぎくしゃくした感じが残りつつ、高速に乗って遠出しなければならないので、助手席の私はカーナビを見ながら、進む先の道案内役。高速を走る緊張感と、見慣れない街の景色、休憩がてらコンビニに寄ったり、やりとりはどうしても発生するので、ぎくしゃくした態度を取るのも疲れてきて、目的地に着く頃にはお互いいつものやりとりへと自然と戻っていった。
夫の冗談だと思ってる小さなからかいや、余計なひと言には、そのたびに笑って自分の気持ちをごまかさず、ちゃんと言うことにした。
普段は、言いたいことをお互い言い合っていて、私も腹を立てて怒ったりしているけど、家族だからとつい言葉を気にせず言い過ぎてしまうのは気を付けようと反省した。
一緒に過ごしているといろいろなことが起こる。
見慣れない街でCMで見てたお店を見つけたり、案内された涼しい部屋に入るとなんだか独特な匂いがしたり、エアコンが効き過ぎていて机がすっかり冷えていたり、スマホの充電がなくなりかけたり、そこでしか買えないふわふわのおいしそうなパンを見つけたり、回転寿司で注文した茶碗蒸しの蓋を開けたら蒸したりなくて液状のままだったり……。
思わず顔を見合わせて話したくなることがあって、そんなささいなやりとりが自然に出来ることも、当たり前なことではないのかもしれない。
ぎくしゃくがひとまず収まってよかった。
