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『迷路の先で』


横浜駅は、
ただ乗り換えるだけの駅だと
思っていた。

案内板を追いかけても、

曲がった先に
また案内板。

改札を抜ければ
似たような景色が続き、

「あと少し」が、
何度も繰り返される。

立ち止まり、

見上げ、

振り返る。

そのたびに、
自分がどこにいるのかさえ
わからなくなる。

その瞬間、
ふと思った。

きっと新宿駅も、

梅田駅も、

名古屋駅も、

地元の人には
「いつもの道」で、

遠くから来た人には
「終わりの見えない迷路」なのだと。

迷うとは、

道を知らないことではなく、

誰かの日常へ、
初めて足を踏み入れることなのかもしれない。

横浜駅は、
教えてくれた。

「迷う」とは、このことだったのだと。

――『はじめての地図』

あとがき

横浜駅に友人と遊ぶ約束で訪れたとき、最初は「複雑な駅やな」と思いました。地図を見ても正直わかりにくく、入り組んでいるように感じました。

地元の人にとっては当たり前の景色でも、初めて訪れる人にとっては、一つひとつが未知の道になります。

迷うということは、方向感覚が悪いからではなく、「誰かの日常」に足を踏み入れた証なのかもしれません。

この作品は、横浜駅で迷った経験から生まれました。

けれど振り返ってみると、迷ったのは駅ではなく、自分の「当たり前」だったのだと思います。

作者紹介

「心に残る瞬間を言葉で形に。」
という思いのもと活動しています。自己紹介は下記から

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