「寝てない」は、嘘だった――深夜0時の電話と、言葉を手渡した夜のこと|正反対な君と僕 9話 視聴日記
「本当はもっと凝ったサプライズとかしたかったけど、シンプルに一番最初におめでとうって言いたくて。」
――その声を聞いた瞬間、谷くんはどんな顔をしていたでしょうか。
こんにちは、びわおちゃんブログ編集長のびわおです。
第9話「サプライズ!」を見終わって、しばらくの間、タイトルの「!」の意味を考えていました。
派手な演出があったわけではありません。博物館の企画展は後頭部しか見えず、調べてきたお店は全滅して、たどり着いたのは上野公園の屋台のご飯でした。
それなのに――鈴木は笑っていた。
「むしろ最高じゃね?」と。
計画が全滅したデートを「最高」と言える人と一緒にいられること。それ自体が、どんな告白より雄弁だったのではないか、と考えます。
この回で僕が一番動けなくなったのは、深夜0時の電話のシーンです。
谷くんは「0時まで起きていた方がいいのだろうか。またただの自意識過剰かも」と思いながら、ベッドに倒れ込んでそのまま眠ってしまっています。
待っていた。でも「待っている」と認めるのが恥ずかしくて、「自意識過剰かも」と打ち消しながら、それでも眠れずにいた。
そこに電話が来る。
「寝てない。」
絶対に嘘です。声でバレています。でも「寝てない」と言い張る谷くんの、その意地の張り方が、待っていたことの何よりの証明ではないでしょうか。
そして長い沈黙の末に、絞り出した一言。
「好き。」
8話で谷くんは「空気で覚えておく」と言いました。言葉にしなかった分だけ深く残る、秋の空気の話でした。
9話で谷くんは、言葉を選んで口にした。
空気だったものが、言葉になった夜――それが第9話という回の、一番深いところにある変化ではないでしょうか。

そしてもうひとつ、この回で静かに刺さったのが、東と平の「律儀よな」という場面です。
雨の日にずぶ濡れになった平に渡した、パンのシール。あまりにも素っ気ないプレゼントです。でも東は渡した。平は受け取った。
そして――定期券入れに、ずっと貼ってあった。
「あ、これ私があげたやつか。平って律儀よな。」
東がそう言った瞬間、画面の前でどんな顔をされましたか。
平は8話で言葉を使いすぎて、翌日謝りに来るような人間です。でも行動は、ずっと律儀だった。言葉より先に、行動が答えを出していたのではないか――そう考えると、「律儀よな」という東の一言が、単なる感想ではなく、気づきの瞬間に見えてきます。
サプライズを仕掛けたのは鈴木でした。でも最終的に一番驚かされたのは、鈴木自身だったのではないでしょうか。
「そんな風に思ってたの?」
その一言が、その証拠です。
谷くんは、鈴木のサプライズに対して、言葉というサプライズで返した。タイトル「サプライズ!」の「!」は、谷くんの言葉に驚いた鈴木の「きゃー」と重なっている――そう見えてきます。

この回の「言葉にならなかった本音」の形と、8話から9話への変化の構造については、本館のブログで詳しく読み解いています。
▼本館で読めること
谷くんが「受け身すぎるのでは」と自己分析した、静かな変化の意味
東×平の「シール」が語っていた、言葉より先にある答え
「サプライズの連鎖構造」――仕掛けた側が、なぜ一番驚かされたのか
もし、この「言葉にする練習」をしている二人の物語に、少しでも心を動かされたなら。
扉は開けておきます。
👇完全版(本館)はこちらから
「きゃー!」と、もう一度叫んで、終わる。
言葉にならない喜びが音になって溢れ出した、冬の入り口の夜でした。

