ホルムズ海峡封鎖:ボスポラス・ダーダネルス海峡(トルコ海峡)の管理方式
ホルムズ海峡は、トルコのボスポラス・ダーダネルス海峡(トルコ海峡)の管理方式を採用してはどうかと言われています。
トルコ海峡は、1936年に締結されたモントルー条約に基づいています。
マクレガー大佐が「手本」として言及したこの方式は、「沿岸国の主権」と「国際的な通航の自由」を高度にバランスさせたものであり、主な特徴は以下の4点にまとめられます。
1. 商船の自由航行(平和時)
原則自由: 平時において、すべての国の商船は、昼夜を問わず自由に通航する権利が保障されています。
実務的な管理: トルコ政府は、衛生検査や灯台使用料などの実務的な手続きを行いますが、通航そのものを恣意的に止めることはできません。
2. 軍艦の通航制限(黒海の安全保障)
この条約の最大の特徴は、軍艦の種類や量、滞在期間に厳格な制限を設けている点です。
黒海沿岸国(ロシアなど): 比較的広い通航権が認められていますが、事前にトルコ政府への通知が必要です。
非沿岸国(米国・日本など): 黒海に入れる艦船の総排水量に厳しい上限があり、滞在も最大21日間と定められています。これにより、外部の大国が黒海に強力な艦隊を常駐させることを防いでいます。
3. トルコの裁量権(戦時・危機時)
戦争時: トルコが参戦している場合、または「戦争の脅威が差し迫っている」と判断した場合、トルコ政府は自国の裁量で軍艦の通航を完全に禁止・制限することができます。
最近の事例: 2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際、トルコはこの条約に基づき、軍艦の通航を制限する措置をとりました。
4. 歴史的な安定性
約90年の運用実績: 第二次世界大戦や冷戦、そして現在の紛争に至るまで、この条約は破綻することなく運用されています。これは、トルコが「中立かつ実務的な番人」として振る舞い、大国間のバランスを維持してきた実績によるものです。
マクレガー大佐が「ホルムズ海峡のモデル」とする理由
マクレガー氏がこの方式を称賛するのは、以下のロジックに基づいています。
「よそ者」の排除: 米国のような遠方の国が軍事力で支配するのではなく、地元の主権国家(トルコ海峡ならトルコ、ホルムズならイラン)がルールに基づいて管理する。
実務的な安定: 政治的対立があっても、商船の通航(エネルギー輸送)は「自由航行の原則」として守り、軍艦(軍事的プレゼンス)については制限を設ける。
大国の妥協点: トルコ方式がロシアや欧米を納得させてきたように、イランが中国、ロシア、インドなどと協力して同様の枠組みを作れば、世界のエネルギー供給は米国抜きでも安定するはずだ、という主張です。
簡単に言えば、「沿岸国が責任を持って管理し、軍事的な緊張を抑えつつ、物流だけはスムーズに流す」というトルコのやり方を、ホルムズ海峡でも再現すべきだと言っています。
トルコはボスポラス・ダーダネルス海峡の通航にあたって「サービス料」という名目で実質的な通行料を徴収しています。
2026年4月現在の状況をまとめると、以下のようになっています。
1. 通行料(サービス料)の現状
料金: 2025年7月の改定により、現在は1トンあたり5.83ドル(純トン数ベース)となっています。
名目: 1936年のモントルー条約に基づき、純粋な「通行税」ではなく、灯台の使用、衛生検査、救助サービスなどの提供に対する実効的な費用として徴収されています。
近年の急騰: 実は、この料金は1983年から2022年までの約40年間、1トンあたり0.8ドルに据え置かれていました。しかし、トルコ政府は2022年以降、毎年料金を見直す方針に転換し、わずか数年で7倍以上に値上げされています。
2. トルコの収入と実績
収益: 2024年には年間で約5万1,000隻が通航し、トルコ政府は約2億2,740万ドル(約350億円)の収入を得ています。
追加費用: 大型船やタンカーの場合、安全のために水先案内人(パイロット)やタグボートを雇うことが事実上義務付けられており、これらには別途費用がかかります。(小型船〜中型船: 1時間あたり 約1,500ドル 〜 3,000ドル、大型船(タンカーなど): 1時間あたり 約4,000ドル 〜) 6,000ドル以上
タグボート以外にも、通過には以下のような費用がセットでかかります。
水先案内料(パイロット): 1,000トンまで基本 600ドル + 追加1,000トンごとに 107ドル。
灯台・衛生・救助料: ネットトン(NT)あたり 5.83ドル。
イランも現在、ホルムズ海峡で「通航料(1バレル1ドルなど)」の徴収を検討・強行しようとしていますが、これはまさにトルコがボスポラス海峡で行っているような「地元の管理者としての実権」を握ろうとする動きと重なります。
客観的に見れば、トルコは「自由航行」を保障しつつも、その維持費をしっかりと利用者(外国船)に負担させることで、国家としての実利と主権を両立させていると言えます。
これでいいんではないでしょうかね?
