【こんな映画でした】1312.[宮廷画家 ゴヤは見た]
2024年 5月23日(木曜) [宮廷画家 ゴヤは見た](2006年 GOYA'S GHOSTS アメリカ/スペイン 114分)
ミロス・フォアマン監督作品。ナタリー・ポートマン(撮影当時25歳)のイネス役とロレンソ神父のハビエル・バルデム(撮影当時37歳)が見事か。ゴヤ役はステラン・スカルスガルド(撮影当時56歳)、なかなか良い。[存在の耐えられない軽さ](1988)・[レッド・オクトーバーを追え!](1990)・[ダンサー・イン・ザ・ダーク](2000)などで観ている渋い役者だ。
もっとスペイン史、そしてスペインとフランスやイギリスとの関係を知らないと分かりにくい面がある。そのような政治史は別として、「宮廷画家」であることから時代に翻弄されていくゴヤの姿を描く。それでもかなり上手く立ち回り、身の安全を図ってはいるようだ。もっとも王妃の肖像画はもっと美人にしておけばいいのに、そのような妥協はしなかったようだ。
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ゴヤが見る・見つめる当時の社会情勢を描いた映画でもある。主要な内容は、私にはカトリック教会のどうしようもなさである。異端審問のえげつなさ。ここではロレンソ神父がその筆頭として強権で異端者を処罰していこうとしている。
一神教のどうしようもないところだ。豚肉を食べなかった女性をユダヤ教徒であるとして、審問所で拷問を加えて告白させる。この女性をナタリー・ポートマンが見事に演じている。
結局、彼女はそのまま牢獄で15年間を過ごす。その間、ゴヤがその女性イネスの富裕な父親から頼まれ、ロレンソ神父に何とかしてくれるように、と仲介している。もっともこれが仇となってイネスは彼によって妊娠させられ、娘を出産している。
この娘はアリシアという洗礼名で、売春婦として働いているところをロレンソ神父に見つけ出される。ただ、ついに母子の対面はならなかった。すでにイネスは気がおかしくなっており、いまだに赤ちゃんが自分の娘だと認識していたのだった。
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映画のラストシーンは、処刑されたロレンソ神父の死体が荷車で運ばれていくのをイネスは赤ん坊を腕にして追いかけ、取り縋っていくのだった。
何とも無残である。政治が、そして権力者が残忍なのは通常のことだが、人々を救うはずの宗教が、異端者として後の秘密警察のように人々を無実の罪に陥れていくのは酷いことだ。
この一事をもってもカトリック教会、いやキリスト教の限界が明らかだ。しかし、このように正面切って批判していくことは困難なことだったろう、たとえ映画という形式であろうと。
