腕の良い照明さん/昭和のアロマに包まれて
僕は今、駅前のマンションで一人暮らしをしています。
起床はいつも太陽が真上にくる頃…
好みのドリッパーで淹れた珈琲をすすり、程よいボリュームでボサノバを流しながら、ゆっくりお出かけ準備といったルーティン。
その後、平日は気分転換も兼ねて数時間だけ仕事に出かけます。
夜はたいてい、気の知れた女性と駅前のホテルで…
部屋の中で食事を共にしたり、彼女の寝息に包まれたりと。
最後に大浴場の露天風呂で空を見上げ、サウナで整えてから帰ることもしばしば。
帰宅後は、徐々に増えてきたウイスキーのコレクションから、その日その夜の気分に合わせてチョイスし、ジャズを聴きながらグラスを傾けて一日を締め括ります。
と…
最近の僕は、だいたいこんな毎日です。
どうでしょうか…
少しは自慢できるような暮らしに近付いているでしょうか。
人によっては、羨ましく思っていただける方もいらっしゃるかもしれません。
疑われそうなところもありますが、これらは紛れもない事実です。
僕は今回もこれまでも、事実しか綴ってきておりません。
ヨル喫茶の計画も、結果、実店舗には至れなかったことも…
そして、家族を失った後は視力を失い、それに伴ってほとんどのものを失ったことも全て事実です。
ただ、今回綴った僕の暮らしについては、かなり補足の余地があります…
ちょっと端折りすぎました。
今まさに、今日を締めくくるグラスが目の前にあります。
これを傾けつつ、巻き戻しながら以下に補足しておきます。
まず、今夜チョイスしたのは2本2,200円の激安特価コーナーでセレクトしたティーチャーズ…
僕のコレクションはほとんどがこのコーナーのもの。笑
ついでに、グラスはホワイトホースに付いてたオマケです。
そして、確かに先ほど露天風呂にもサウナにも入ってきました…
僕はこの目になるのと同時期から、駅前のホテル内のマッサージルームで、お仕事やご旅行でお疲れになった方々のお体をほぐしております。
当時、仕事を失った僕が繋いだ細い細い生命線…
本当は辞めたくて仕方ないのですが、今はまだやむを得ず続けています。
つまり、ここのスパに入れるのは、ささやかなスタッフ特典…
ただ、閉店間際の限られた時間なので、実際は時間との勝負です。
御礼の意を込めて、桶や備品を整えてから帰っております。
昼間に遡りますが、平日午後のお出かけが始まったのはこの4月から…
1日4時間だけの障害者枠パートですが、やっとの思いで、もう一本の細い細い生命線ができました。
とは言え、未だ放置プレイというありさま…
それでも僕には有難い。
毎日目を覚ます理由すら見えなくなっていた僕には、出かける口実があるだけマシ…
息抜きと言っても過言ではありません。
そんなこんなで、起きるのが遅いのは、単に世間の皆様とズレた時間で活動してるので、必然的に遅い朝になっているだけでした。
今日も帰宅は25時…
そして今この時間です。
因みに、駅前に住んでいるのは、車の運転ができなくなったせいで致し方なく…
この終業時間だと終電も終バスもないので。
そもそも、運転できる目だったらこの仕事はしていません。
また、鉄筋の建物なのでマンションと綴りましたが、中身は年季の入った風呂トイレ同室の1Kです。
ま、それなりに管理が行き届いていて、天井はグレージュでダウンライトにリノベされていたりと、まぁまぁコスパの良い物件のはずなので、過剰に哀れには思わなくても大丈夫なはず。笑
数年前まで家族と過ごしていた元マイホームの程近くというところで切なさは否めませんが…
このように、書かないところがあっただけで、全てが事実で何の嘘もありません。
見栄えの良い照らし方にしただけです。
でも、似たような照明さんは、実はいっぱい居るような気もします…
案外、身近にも。
正直、この照らし方をすることで、自分で自分を慰めやすくもなりますし…
程々なら良い気もします…
何事も。
最後に補足をもうひとつだけ…
気の知れた女性とは、後期高齢者になってもなおタフに仕事をこなす大先輩のお姉様のことです。笑
小さな待機部屋で、いつも一緒にお客様を待っています。
彼女はよく、自宅で焼いてきた鮭を、この部屋でレンチンしておかずにするのですが、その度、一瞬にして懐かしい香りが部屋中に充満。
お客様が入っていなければ、食後はいつも力強い寝息と共に就寝タイムに入ります…
僕はこのタイミングで、皆さんのnoteを耳で読ませていただくことで、失礼ながら皆さんの大切な文章を耳栓代わりにまでしてしまっています…
すみません。
お姉様からは度々、理不尽にも思える発言も飛び出しますが、支援とか配慮とかいう言葉とは無縁な感じ…
そして何より、僕をただの目の悪い人間として接してくれている感じ。
時折、鼻をつまみたくなる感じが伴うのも、これまた事実ですが…笑
僕はここが、そこまで居心地が悪いわけではありません。
