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Gabrielė Urbonaitė『Renovation』現代リトアニアで生きるということ、未来を想うこと

ガブリエレ・ウルボナイテ(Gabrielė Urbonaitė)長編一作目。監督はリトアニア音楽演劇アカデミー出身であり、キャスティングにマリア・カフタラーゼ、撮影にヴィータウタス・カトゥクス、ADにサウレ・ブリュヴァイテとリトアニア新世代らしい強固な繋がりを感じさせる。物語はビリニュスに暮らす翻訳家のイロナとツアーガイドの恋人マタスが新居に引っ越してきたところから始まる。もうすぐ30歳という節目を迎えるにあたり、これからの人生設計をそろそろ固めたいところではあるが、仕事にもマタスとの関係性にも行き詰まりを感じている。閑静な住宅街にある自宅マンションで翻訳仕事に集中しよう…と思った矢先、マンションは修繕作業に突入する。うるさくて集中できない!そんなとき、作業員の一人オレグと偶然親しくなり云々。イロナの悩みは普遍的な側面もあるが、ウクライナ出身のオレグやベラルーシ出身のナタリアの存在や夫の親族が受けているサバイバル訓練、TVで流れる戦争のニュースなどの存在によって、現代リトアニアを生きる若者の想像する未来は以前にも増して不透明になっていることが提示される。訓練を受けたがらないマタスは臆病者か?戦争を逃れて家族とリトアニアに来たオレグは臆病者か?というという問いまで発生させる。今のリトアニアで生きるにはどうすればいい?と。加えて、結婚生活の先輩たちも多く登場する。娘たちに多くを期待するイロナの母親、ストレスを叫んで発散させるなど上手く母親をやってるように見えるナタリア、人生の大半を他人のために費やしたのに孤独だと語る老女。未来は真っ暗、イロナは戸惑うばかりである。

そこで出会ったのがオレグである。ヒョロいマタスよりゴツいオレグ…というわけでもなく(と信じたい)、シンプルに迷いを抱えるイロナを導く灯台のような役割を担っている。彼を見て思い出したのはロバン・カンピヨ『Enzo』である。ウクライナ人の男性が出稼ぎで建築現場で働いていて、現地で暮らす主人公が交流したことで目覚めさせる一方、本人はウクライナへ帰っていくというのまで一緒。ちょっと安直な感じもするけど、『Enzo』よりは近隣地域なのでこういう光景はありふれているのか。

マンションはおそらくソ連時代に建てられたものだろう。そうなると、マタスが紹介する二次大戦期の弾痕からマンションとウクライナ戦争は繋がっているのだ。大国の間に位置するリトアニアで生きること、それはこれまでと変わらない難題であり、その世代の人間が答えを出さなければならない。"怖かったから"、"俺もだ"。そういうことだろう。

・作品データ

原題:Renovacija
上映時間:90分
監督:Gabrielė Urbonaitė
製作:2025年(リトアニア, ラトビア, ベルギー)

・評価:70点

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