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Emilija Gašić『78 Days』セルビア、ある三姉妹の戦禍の記録

Emilija Gašić長編一作目。物語は1999年1月30日に撮影されたホームビデオで幕を開ける。ベオグラードから少し離れた田舎に暮らす三姉妹は、互いにカメラを向け日常の何気ない瞬間をビデオカメラに収めている。しかし、ニュースは首都のきな臭い情勢を伝えている。頭上を飛ぶ爆撃機はこっちに来るのか?やがて3月24日を迎え、ベオグラード爆撃を皮切りに所謂"コソボ紛争"が勃発する。父親は徴兵され、隣家にはベオグラードから逃げてきた家族が引っ越してくる。少女たちは"帰宅した父親に見せるため"に、そのままビデオカメラで日常を捉え続けるが、戦争の影は徐々に忍び寄って来る云々。本物の記録映像かと見紛うほどの自然さには驚かされる。いつここが爆撃されるかも分からない中で懸命に日常を手離さないように生き続け、それでも空襲警報などによって中断を繰り返す生々しさが心底恐ろしく、そんな状況の中で撮影されるホームビデオという語り口が、容赦なく観客の日常と接続されるのが非常に上手い。川や森に囲まれた環境の中でさえ空襲警報を受けて家の中で縮こまっていないといけない環境にストレスをためこむ姉妹は、どうにかして安らぎを得ようと苦心し、高校生の長女ソニアと中学生の次女ドラガナは隣人の青年ムラデンを巡って対立し、生意気な独裁者の三女ティヤナは影響を受けやすいムラデンの妹レラを支配する。しかし、そんな関係性も戦争を前には無力だ。ある時、ドラガナはティヤナにビデオの操作方法を教える。撮影したものはいつでも再生できる、そして上書きも出来る、と。記録メディアとしてのビデオがそうならば、彼女たちの記憶だって彼女たちの中で保存され、再生され、上書きされるだろうし、本作品の映像は日常の忘れ去られるような瞬間を記録しているのがほとんどだ。しかし、彼女たちの中で今でもこの形で"再生"されていることは想像に難くない。また、残された映像もタイムスタンプが付いているものと付いていないものがあった。そのタイムスタンプは1999年4月のものではなく、今のものになる可能性だってあるんだ、と言っているようにも見えた。

・作品データ

原題:78 дана
上映時間:82分
監督:Emilija Gašić
製作:2024年(セルビア)

・評価:70点

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