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【新卒】『内定をもらえたけど、うれしくない』── 採用担当の私が、辞退連絡を読みながら考えていたこと【就活・27卒】

「内定はもらえたんです。でも、嬉しさが、想像していたほど来ないんです」

そう打ち明けられることが、最近やたら多い。
そのたびに、私はちょっと言葉を選ぶ。

「いい会社じゃないか」とも言えないし、「じゃあ辞退すれば」とも言いきれない。
内定通知を出した側の頭の中では、内定を出した瞬間と、辞退の連絡をもらう瞬間で、いつも違うことが起きているからだ。

今日は、私が辞退連絡のメールを読みながら、何を考えていたか、そのまま独り言として書いてみる。
何かの正解にはならないかもしれないけど、内定通知の文面を開いたまま、なぜか動けずに座っている誰かの、静かなヒントにはなるかもしれない。


「内定が出たら嬉しいはず」── この言葉に、私はいつも引っかかる

就活マニュアルがよく書く一行。
「内定が出たら、もう迷う必要はない」
「第一志望でなくても、内定は内定。受けるのが正解」
「迷っているなら、行ってから判断すればいい」

私もこの言葉を聞くたびに、ちょっと困る。
半分は本当だ。内定の重さは、入社してみないと分からない部分が大きい。
でも、もう半分は嘘だ。

内定通知を開いた瞬間に「嬉しさが来ない」と感じる学生さんは、ほとんどの場合、感性が鈍っているわけではない。
むしろ、感性のほうが、本人より先に何かに気づいていることが多い。

嬉しさが来ない、というのは、欠陥ではない。
本人の中で、まだ整理しきれていない情報が、感情の側に先に出てきているだけの状態だ。

これは、決めなくていい。
ただし、なぜ嬉しさが来なかったのか、その理由を一度言葉にしておかないと、入社してから同じ感情に何度もぶつかる。


辞退連絡を読みながら、私が思い出すこと

これは、私が実際に辞退連絡のメールを読みながら、いつも思い出している、いくつかの場面の話だ。
固有名は出せないけれど、起きていたことは正直に書く。

ある学生が、最終面接の前夜にメールを送ってきた。
「内定をいただきましたが、辞退させてください。理由は、自分でもまだうまく言語化できないのですが、ただ、最終面接の場で頭が真っ白になりました」

立派なメールだった。
私は、辞退の理由を「もうちょっと聞かせてほしい」と返した記憶がある。

そのあと、彼から返ってきた言葉は、こうだ。
「最終面接で、役員の方が『5年後どうなっていたいですか』と聞いた瞬間、私の頭の中に、5年後の景色が一切浮かばなかったんです。それまでの面接では、頑張って未来を語っていたのに、最終で初めて、自分が嘘をついていたことに気づきました」

私は、その言葉を読みながら、しばらく動けなかった。

嬉しさが来ない、というのは、こういう瞬間のことなんだろうな、と思った。
頭で「いい会社だ」「内定が出てよかった」と思っていても、心のどこかが、未来の景色を描けないと知っていることがある。
その違和感は、辞退連絡の文面に出てくる前に、内定通知を開いた瞬間に、本人の中で先に動いていたはずだ。


「嬉しさが来ない」を、解像する3つの問い

もし、いま内定通知を開いて、嬉しさが想像していたほど来ないと感じている人がいたら、次の3つを自分に聞いてみてほしい。
私が辞退連絡を読みながら、もう少し早くこれを言ってあげられたら、と思うことが多いからだ。

問い1: その内定の景色を、5年後まで描けるか

内定先で働いている自分の景色を、3年後、5年後まで描こうとしたときに、どこで景色が止まるか。

1年後まで描けて、3年後で止まる。
3年後まで描けて、5年後で止まる。
そもそも、入社1日目の景色が、もうぼやけている。

どこで止まるかによって、嬉しさが来ない理由は、まったく違う。
1日目でぼやけているなら、それは 「会社の理解がまだ浅い」サインだ。情報量を増やす時間がいる。
3年後で止まるなら、それは 「短期は納得しているが、中長期で違和感がある」サインだ。中長期で何を見ているかを、一度言葉にする時間がいる。
5年後で止まるなら、それは多くの内定者に共通する状態で、致命的ではない。5年後はまだ誰にも見えない。

問い2: 内定を辞退したら、来週何をやっているか

嬉しさが来ないことよりも、もっと正直な問いはこっちかもしれない。

「もしこの内定を、明日辞退したら、来週の自分は何をやっているか」

来週、別の選考を続けている自分がはっきり見えるなら、辞退の選択肢は本物だ。
来週、何をすればいいか分からなくなる自分しか見えないなら、辞退の選択肢は、まだ本物の選択肢になっていない。

嬉しさが来ない感情と、辞退するかどうかの判断は、別の話だ。
嬉しさが来ない、を、すぐに「辞退すべきか」に結びつけなくていい。
まずは、辞退したあとの自分の景色を、来週単位で描いてみる。それで「描けない」と分かれば、いまは辞退の判断をするタイミングではない、というだけのことだ。

問い3: 嬉しさが来ない、を、誰かに一度言葉にしたか

これが、3つ目の問いで、もっとも重要だと思っている。

嬉しさが来ない、という感情は、本人の中だけで持っていても、形が定まらない。
誰かに一度声に出して言葉にすると、初めて、自分が何に違和感を持っているかが言葉になる。

親には言いにくい。
内定先には言えない。
就活仲間に言うと、引かれそうな気がする。

その場合、就活経験者の第三者に1回だけ話を聞いてもらう手もある。採用担当として相談を受けるとき、私もよく 新卒就活エージェントneo(無料面談)のような無料面談を「内定後の迷いを一度言葉にする場として使えるよ」と紹介している。
内定の判断をしてもらうために行くのではない。
自分の中の違和感を、外の人に一度聞いてもらって、形を取り戻すために行く。同じような相談を受けた学生は、たいてい1回の壁打ちで「自分は5年後の景色が描けないことに引っかかっていた」と言葉になっている。


「内定が出たのに動けない」のは、欠陥ではない

採用担当として正直に書きたい。
内定通知を開いた瞬間に動けなくなる学生さんを、私は何度も見てきた。
彼らの多くは、欠陥がある学生ではない。
むしろ、自分の中の違和感を雑に処理しなかった、誠実な学生だ。

就活マニュアルは「内定が出たら受けるのが正解」と書く。
これは、ほとんどの場合は正しい。
ただし、嬉しさが来ない自分を、無理やり押し殺して入社するのは、別の話だ。

違和感が言葉にならないまま入社すると、入社後の3ヶ月から1年で、同じ違和感に必ずぶつかる。
そのときに「あの内定通知を開いた夜のあの感情は、これだったのか」と気づく学生さんを、私は転職市場でも何人も見てきた。

だから、いま動けないなら、すぐに決めなくていい。
ただし、なぜ動けないのか、その理由だけは、一度言葉にしておく。
言葉になれば、辞退するにしても、入社するにしても、自分の判断として持って歩ける。


結局、私が辞退連絡のメールを開く瞬間に思うこと

辞退連絡のメールを読むのは、採用担当として正直に書くと、しんどい仕事だ。
それでも、メールの文面に「自分の違和感を、ちゃんと言葉にして書いてくれている」と感じたとき、私はその学生さんを、別の場面でまた会いたいと思う。

嬉しさが来ない、を、雑に処理しないで、自分の言葉で書ける人は、転職市場でも強い。
20代後半でその学生さんと再会したとき、彼らはたいてい、新卒で入った会社で3年やった後、自分の言葉で次の景色を描けるようになっていた。

内定通知を開いて、心が動かない夜。
それは、欠陥ではなく、自分の感性が、頭より先に何かに気づいている夜かもしれない。
すぐに判断しなくていい。
ただ、なぜ動けないのか、その理由だけは、一度誰かに話して、言葉にして、自分の手元に持ち戻してほしい。

もし話す相手が見つからないなら、新卒就活エージェントneo(無料面談)のような無料面談を、判断の場ではなく言語化の場として使う手もある。
私もよくそうやって、自分の中の違和感を、外の人に1回言葉にしてもらう時間を取っている。

動けない夜は、急がなくていい。
急がないで、自分の感情を、ちゃんと言葉に直してから次の動きを決めてあげてほしい。

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