ちょび 22 おばあちゃんとオジさんの妖精のお話
夕暮れ時、おばあちゃんの台所から
パチパチ、ジュワッと香ばしい油の音が響いてくる。
今日は春の恵みをたっぷり使った天ぷらだ。
サクサクのタラの芽と、みずみずしいコゴミ。

さらに、ほろ苦いウドとコシアブラの天ぷらもある。
黄金色の衣に包まれた山菜から、
食欲をそそる香ばしい匂いが立ち上る。
「いい匂いだな〜!」
その匂いにつられて、どこからともなく
ちょびたちが台所に忍び込んできた。
換気扇の縁や、シンクの端に
ちょこんと並んで熱い油を見つめている。
「あっつ、あっつ……!」
待ちきれなくなった一人がつまみ食いしようとして、
思わず指先をフーフーと冷やす。
「まだ早ぇ。あっちぃべぇー」
おばあちゃんが笑いながら注意しつつ、
バットに揚げたての天ぷらを並べていく。
ちょびたちは、タラの芽の香りをかいでうっとりしたり、
うどの天ぷらの衣をこっそりつまもうとしたりと大忙し。
あっちへちょこちょこ、こっちへドタバタ。
「早ぐ、食いてぇ〜!」
「塩振る? それとも天つゆだべ?」
ちょびたちの賑やかな声が台所に響く。
おばあちゃんは、ちょびたちの分を
少しだけ小さくちぎってお皿に分けてあげた。
「ほれ、冷ましてから食えよ」
そして、伝家の宝刀!
日本酒!今夜は、なんと福井県の「黒龍」!

おばあちゃんは、おもいっきり「どや顔」で鼻の穴を広げている。
「おおおーーー!」
ちょび一同も大興奮で鼻穴が全開に開いている!
小さなお猪口で、ちょびたちにもふるまう。
「さぁーいただきます!」
サクッ!
ごくっ!
「うめぇ〜!」
サクサクの衣と山菜のほろ苦さが広がり、
それに負けない黒龍の力強さ!
「くぅー、贅沢だ!」
おばあちゃんは感嘆の声をあげた!
ちょびたちも大満足で頬張っている。
窓の外がだんだんと夕闇に包まれていく中、
今日も里山の台所は、美味しい香りと笑顔に包まれている。
読んでくれて、ありがとうございます。
今後の励みに、フォローや♡スキを、よろしければ、お願いします。
前作などは↓ どうぞ、覗いてみてください。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップは物語を書くための勉強費に使わせていただきます! 