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記録は残った。記憶が残らなかった。

機械設計者なら一度は経験があると思います。

打合せ中。

顧客との仕様確認。

社内レビュー。

設備メーカーとの技術打合せ。

先輩からの指示。

とにかく情報量が多い。

そのため新人時代から何度も言われます。

「メモを取れ」

私は素直な新人でした。

言われた通り、一生懸命メモを取りました。

打合せ中も必死です。

先輩の話を聞きながら書く。

顧客の要求を書き留める。

不具合の内容を書く。

設計変更点を書く。

とにかく書く。

書きまくる。

そして満足します。

「よし、ちゃんと記録した」

しかし本当の問題はここからでした。



ある日。

机の引き出しを整理していると、一冊のメモ帳を発見します。

懐かしい。

新人時代から使っていたメモ帳です。

ページをめくると、

・M12変更

・客先確認

・至急

・エアシリンダ再検討

・○○課長相談

などの文字が並んでいます。

私は考えます。

「これ何の件だっけ?」

全く思い出せません。

記録は残っています。

しかし記憶が残っていません。



さらに困るのが、自分の字です。

打合せ中はスピード勝負。

とにかく聞き漏らさないように必死で書きます。

後で見返すと、

「この文字は日本語か?」

と思うレベル。

『客先』なのか。

『却下』なのか。

『確認』なのか。

『加速』なのか。

本人にも分からない。

暗号です。

設計者なのに解読作業が始まります。



私は新人時代、

メモを取れば安心だと思っていました。

しかし今振り返ると、

重要なのはメモを取ることではありませんでした。

メモを活用することです。

打合せ後に整理する。

ToDoに落とし込む。

図面へ反映する。

関係者へ共有する。

ここまでやって初めて意味があります。

メモ帳の中で眠っている情報は、存在しないのと同じです。



管理職になった今でもメモは取ります。

ただし昔とは少し考え方が変わりました。

記録するためではありません。

行動するために記録するのです。

メモはゴールではありません。

スタートです。



機械設計あるある。

打合せ中

「忘れないようにメモしよう」

必死にメモを取る。

1か月後。

メモ帳を発見。



「何の件だっけ?」

記録は残った。

記憶が残らなかった。

でも、それも設計者の成長過程なのかもしれません。

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