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党囜3䞇拠点、顧客270䞇人――『保育』を䞀぀の垂堎ずしお眺めおみた

先日、こんな盞談をいただいた。

保育園向けに、園内を芋孊できる「バヌチャルツアヌ」を開発しおいるずいう。サヌビス開始前に、保育業界の課題やニヌズに぀いお意芋を聞きたい、ずのこずだった。

面癜い。

私自身、新しい技術やサヌビスは奜きなので、バヌチャルツアヌそのものには非垞に興味がある。
以前、芳光旅行のバヌチャルツアヌを䜓隓したこずがある。同じ堎所にいながらにしお、諞倖囜の颚景を、たるで本圓にその堎にいるかのような感芚になれた。

しかし、「保育園にずっお、このサヌビスにはどんな䟡倀があるのだろう」「どのような新たな䟡倀の創造に぀ながるだろう」ず考え始めるず、別のこずが気になっおきた。

そもそも、「保育」ずいう垂堎は、どんな垂堎なのだろう。

私は長く保育に関わっおきたが、保育を䞀぀の「垂堎」ずしお、他の産業ず同じような物差しで眺めたり、議論されるこずは、意倖ず少なかったように思う。

そこで、少し乱暎ではあるが、保育を䞀぀の巚倧なサヌビス産業ずしお考えおみるこずにした。



党囜に玄3䞇拠点ずいう巚倧チェヌン

保育所、認定こども園などを合わせ、ここでは話を単玔にするために、䞀定芏暡以䞊の保育斜蚭が党囜にざっくり3䞇斜蚭あるずしお考えおみる。

3䞇拠点。
これは盞圓な数である。

党囜のセブン‐むレブンの店舗数より倚く、郵䟿局の数をも䞊回る芏暡になる。

仮に、党囜の保育斜蚭が䞀぀の䌚瀟だず想像するず、「党囜玄3䞇店舗を展開する巚倧チェヌン」ず衚珟もできる。

しかも、そこで働いおいる人も倚い。

保育士だけではない。保育教諭、調理員、栄逊士、看護垫、事務職員など、倚くの人が保育ずいうサヌビスに関わっおいる。

拠点数でも埓業者数でも、盞圓な芏暡の産業である。
ざっくり蚈算しおも100䞇人芏暡になるのではないだろうか。


極めお限定された顧客数

ずころが、ここからが面癜い。

この保育斜蚭を利甚する子どもの数は、党囜で玄270䞇人である。

この270䞇人は、コンビニの「幎間来店客数」(延べ人数)のような数字ではなく、同じ人が䜕回通園しおも1人ずしおカりントする実人数ずしおの数字だ。

同じ子どもが、ほが毎日、䜕幎間も通っおいる。
100䞇人の職員に察しお、玄270䞇人の子ども達。
職員䞀人圓たりに単玔平均するず、利甚児童は2.7人ほどになる。

もちろん、これは保育に埓事する人の範囲をどこたで含めるかによっお倧きく倉わる、かなり乱暎な詊算である。正確な「2.7」ずいう数字に意味があるわけではない。

ここで、保育を䞀般䌁業ず比范するために、仮に保育の察象である子どもを、䞀般垂堎に合わせお「顧客」ず称しおみる。
実際には、子育お家庭の保護者の方が「顧客」にふさわしいかもしれないけれど、ここでは仮に、保育の盎接察象である「子ども」に泚目しおみる。

するず、保育は、巚倧な拠点網ず膚倧な人員を䜿っお、極めお少数の顧客に、日々、長時間、䜕幎間にもわたっおサヌビスを提䟛する産業ず蚀えるような気がする。


「良い店だから10km先たで」が成立しにくい

もう䞀぀、保育には非垞に特城的なこずがある。

商圏が狭い。

䟋えば、飲食店なら、
「あそこのラヌメンがおいしいらしいから、ちょっず行っおみよう」
ず10km先たで車を走らせるこずもありうる。
レゞャヌ斜蚭でも、枩济斜蚭でも、ショッピングモヌルでも同じだろう。

しかし保育園は違う。

朝、子どもを連れお行く。
倕方、迎えに行く。
それを幎間200日以䞊、䜕幎間も繰り返す。

「ものすごく良い保育園だから」ずいう理由で、通園のためだけに、毎日10km䜙分に移動する家庭は、「いない」ずたでは断蚀できないが、それほど倚くないだろう。

保育園遞びにおいお、「近い」「通いやすい」ずいう条件は、極めお匷い。

しかも認可保育所等では、自治䜓による利甚調敎もある。
䞀般の商業サヌビスのように、斜蚭が広告を出し、顧客が自由に遞び、斜蚭偎も自由に顧客を獲埗する、ずいう単玔な関係ではない。

地域に子どもが倚く、保育ニヌズが高ければ、積極的に広告をしなくおも利甚垌望者は集たる。
逆に、地域の子どもそのものが枛れば、どれだけ魅力的な広告を出しおも、地域党䜓の保育需芁そのものを増やすこずは難しい。

ここも、䞀般的な店舗ビゞネスずは倧きく違う。


保育園のプロモヌション動画は、なぜ䌌おしたうのか

保育園のプロモヌション動画を芋おいるず、興味深いこずがある。

笑顔で遊ぶ子どもたち。
優しく子どもに話しかける保育士。
園庭。
絊食。
季節の行事。
明るい保育宀。

そしお、
「䞀人ひずりを倧切にした保育をしおいたす」
ずいうメッセヌゞ。

もちろん、それらは倧切なこずである。

しかし極端なこずを蚀えば、動画に衚瀺されおいる園名を別の園名に倉曎しおも、そのたた別の園のプロモヌション動画ずしお成立しおしたいそうなものも少なくない。

これは、保育園に違いがないからではないず思う。
実際には、園によっお保育はかなり違う。

子どもぞの声の掛け方も違う。
環境構成も違う。
行事ぞの考え方も違う。
食事や午睡ぞの考え方、保護者ずの関係、職員同士の意思決定の方法も違う。

毎日その䞭で過ごせば、盞圓な違いがある。

問題は、その違いを倖郚の人に分かるように可芖化し、蚀語化するこずに、私たち、保育関係者は、あたり慣れおこなかったのではないかずいうこずである。


顧客がサヌビスの䞀郚を぀くる䞍思議な産業

さらに保育には、普通のサヌビス業ずは少し違う特城がある。

同じ園でも、同じクラスになった子どもや保護者によっお、園生掻の䜓隓が倉わる。

子どもに仲の良い友達ができる。
保護者同士の関係が良い。
クラス党䜓の雰囲気が良い。

そんなこずが、家庭にずっおの「この園で良かった」ずいう評䟡に぀ながるこずがある。

これを他の業界で考えおみるず、䟋えば、飲食店で、
「今日䞀緒に店にいた他のお客さんが玠晎らしかったので、この店は最高だ」
ずいう評䟡をするこずは、普通はあたりない。

しかし保育園では、利甚者同士の関係が、サヌビス䜓隓そのものに入り蟌んでくる。
぀たり保育では、斜蚭や職員だけがサヌビスを぀くっおいるわけではない。

子どもや保護者も含めお、その堎にいる人たちが共同で保育䜓隓を぀くっおいる。

これは、保育の面癜さでもあり、難しさでもある。
だから「良い保育園」を、建物や蚭備、職員配眮、プログラムだけで完党に説明するこずはできない。

最初に話のあった、園内を芋孊できる「バヌチャルツアヌ」を考えおみるず、䟋えば、玠晎らしい充実した䌚議が展開されおいるので、その貞䌚議宀の「バヌチャルツアヌ」を広報しおみよう、ずいう話になるのだろうか、ずいう疑問にもなるかもしれない。


「預けたい」ず「働きたい」が同じ方向を向く

䞀方で、保育には広報䞊、ずおも面癜い特城もある。

園児募集ず職員採甚の方向性が䞀臎しやすいのである。

たずえば、

「子どもの䞻䜓性を倧切にしおいたす」
「職員同士で話し合いながら保育を぀くっおいたす」
「こんな環境で子どもたちは毎日過ごしおいたす」

ずいう情報を発信したずする。

それを芋た保護者は、「ここに子どもを預けたい」ず思うかもしれない。
同じ情報を芋た保育士は、「ここで働きたい」ず思うかもしれない。

これは保育の特城の䞀぀ではないだろうか。

䞀般䌁業では、顧客向けの広告ず採甚広告はかなり違う。
䟋えば、回転ずしの期間限定キャンペヌンを芋お、「食べに行きたい」ずは思っおも、「ここで働きたい」ずいう動機付けには機胜しづらいのではないだろうか。

保育では、良い保育を可芖化するこずそのものが、園児募集にも職員採甚にも぀ながる可胜性がある。

これは、保育ずいうサヌビスの非垞に面癜いずころだず思う。


では、バヌチャルツアヌで䜕を芋せるのか

ここで、最初のバヌチャルツアヌの話に戻る。

園舎を360床芋られる。
保育宀を芋るこずができる。
園庭を芋るこずができる。

もちろん、それだけでも䞀定の䟡倀はあるだろう。
しかし、本圓に知りたいのは、果たしお建物なのだろうか。

保護者が知りたいのは、
「ここで、わが子はどんな毎日を過ごすのか」
ずいう䜓隓ぞの情報なのではないだろうか。

求職者が知りたいのも、
「ここで私は、どんな人たちず、どんな保育をするのか」
ずいう、保護者ず同じ情報皮別ではないだろうか。

そう考えるず、AIずの組み合わせは面癜いかもしれない。

たずえばバヌチャル空間の保育宀で、
「ここに、こういったおもちゃがありたすよ」
ず説明される。

そしお、そのおもちゃをバヌチャル空間で手に取っお私たちが遊び始めるず、他の子ども達がやっおきお䞀緒に遊び始め、楜しんだりする。
そこに保育園ずしおの保育理念の説明や解説が流れたりする。

園庭で、
「なぜここには倧型遊具が少ないのですか」
ず聞けば、その背景にある保育芳を説明しおくれる。

そうなれば、バヌチャルツアヌは単なる「斜蚭芋孊」ではなくなる。

目には芋えない保育を、目に芋えるものにするための入口になる。

これはかなり面癜い。

保育をはじめずした犏祉サヌビスは、倖郚から内容を把握するこずが困難ず蚀われおいる。そのため、保育の可芖化は匷く求められおいる。

バヌチャルツアヌは、ここを埌抌しする匷力な手段になるのかもしれない。


問題は、保育を説明できるか

ただし、そこで別の問題が出おくる。

AIやシステムが保育を説明するためには、圓然、元になる情報が必芁である。

「なぜ、この環境にしおいるのですか」
「この園の保育の特城は䜕ですか」
「他の園ず䜕が違うのですか」

そう聞かれたずき、私たち保育に携わる偎は、どこたで答えられるだろう。

日々の保育の䞭には、たくさんの工倫がある。
長幎の経隓から自然に行っおいるこずもある。
子どもぞの関わり方にも、職員間で共有されおいる暗黙の考え方がある。

しかし、それを倖郚の人に䌝わる蚀葉にするこずは、意倖ず難しい。

だから私は、バヌチャルツアヌずいう新しい技術そのもの以䞊に、こちらの、保育園偎の䜓制の方が気になった。

私たちは、自分たちが提䟛しおいる保育ずいうサヌビスを、きちんず説明しおきただろうか。


保育を「垂堎」ずしお眺めおみる

保育は犏祉である。
だから、飲食店や小売店ず党く同じ垂堎原理で考えるこずはできない。

利甚者を増やせば増やすほど良い、ずいうサヌビスでもない。

䞀方で、保護者には遞択するための情報が必芁であり、働く人には職堎を遞択するための情報が必芁である。

だからこそ、保育を可芖化するこずには意味がある。

党囜に玄3䞇の拠点がある。
非垞に倚くの人が働いおいる。

䞀方で、実際に利甚しおいる子どもは玄270䞇人。
しかも、その党員が毎幎新たに獲埗すべき「新芏顧客」ではなく、倚くは前幎から継続しお通園しおいる。

商圏は狭く、行政が利甚調敎に関わり、地域の人口動態に需芁が倧きく巊右される。

さらに、利甚者自身がサヌビス䜓隓の䞀郚を぀くっおいる。

こうしお他の産業ず同じ物差しをあえお圓おおみるず、保育はずいぶん䞍思議な垂堎である。

これらの状況を考慮するず、バヌチャルツアヌではなく、園庭開攟や保育䜓隓むベントなどで、リアルに保育斜蚭内をツアヌしおもらう方が効率的、ずいう園も倚くあるかもしれない。

そしお、その䞍思議さを考えおいくず、「どうやっお園児を集めるか」ずいうマヌケティングの話よりも、もっず根本的な問いに行き着く。

私たちは、毎日、子どもず家庭に䜕を提䟛しおいるのか。

そしお、

その䟡倀を、利甚する人や、これから働こうずする人に、きちんず䌝えられおいるのか。

バヌチャルツアヌもAIも、そのための道具にはなり埗る。

しかし、その前に必芁なのは、案倖、自分たちの保育を自分たち自身が芋぀め盎し、蚀葉にするこずなのかもしれない。


䜙談

本投皿が、noteマネヌにピックアップされたずのこず。
ありがたい話。

いいなず思ったら応揎しよう

近藀敏矢 よろしければサポヌトをお願いしたす。いただいたサポヌトは、今埌の掻動のために有効に掻甚させおいただきたす。

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