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誕生月、何がめでたい〜クーポン、プライムデーの包囲網に財布が狙われている。


誕生月を、無邪気には祝えない

誕生月である。

何がめでたいのか。

……と、いきなり言うと、だいぶ面倒くさい人間みたいである。

もちろん、祝われるのが嫌なわけではない。

「おめでとう」と言われれば、たぶん普通にうれしい。
ケーキも嫌いではない。
プレゼントだって、もらえるならありがたく受け取りたい。

ただ、大人になるほど、誕生日を無邪気に祝うのは少し難しくなる。

年をひとつ重ねたからといって、世界が急に優しくなるわけではない。

家賃は下がらない。
物価も下がらない。
腹の不安も、別に消えない。

昨日までの悩みは、今日もだいたい残っている。
生活は続く。
請求も来る。
明日の予定もある。

それなのに、誕生月になると、急にいろんなものが私を祝ってくる。

誕生日クーポン。
会員限定セール。
アプリからの通知。
そして、この時期になると、Amazonプライムデーの気配までしてくる。

ありがたい。

ありがたいのだが、同時に思う。

これは本当に祝福なのか。それとも、財布が狙われているだけなのか。

まあ、ほぼ後者である。

企業は私の誕生を祝っているのではない。
私の購買意欲の誕生を祝っている。

めでたいのは、私ではない。
売上である。

自分へのご褒美。
年に一度くらい。
せっかくクーポンがあるから。
今だけ安いから。

見事な包囲網である。

しかも腹立たしいことに、どれも少し正しい。

どうせ使う。
前から欲しかった。
今買えば得。

そう思った瞬間、財布の防衛線は崩れる。

祝われているのではない。
攻略されている。

誕生月に鳴り響くテーマソング

そんなことを考えていたら、ふと奥井亜紀さんの「Wind Climbing 〜風にあそばれて〜」を思い出した。

子どもの頃に聴いていた、『魔法陣グルグル』のエンディング曲である。

当時は、ただ好きな曲だった。
でも大人になってから聴くと、妙に刺さる。

誕生日を、ただ明るいイベントとして扱いきれない感じ。

それでも、人生は続いていく感じ。
少し斜めから見ているのに、最後にはどこか前を向いている感じ。

もしかすると、私の誕生日観のどこかには、あの曲がずっと残っているのかもしれない。

植えつけられた、というより、先に置いておいてくれた。
大人になった私が、ようやくそこに追いついた。

しょうもない自分だけども

一方で、ここまで生きてきたことくらいは、少し認めてもいいのではないか。
そう思う自分もいる。

立派な人生ではない。
キラキラした誕生日報告をできるタイプでもない。

社会不適合気味のうんこマンである。

それでも、なんとか今日まで来た。

体調が悪い日もあった。
働きたくない日もあった。
お金の不安で頭がいっぱいになる日もあった。
トイレのことばかり考えて、人生の選択肢が狭くなるように感じた日もあった。

それでも、なんとかここにいる。

そう考えると、誕生日は「めでたい日」というより、「生存確認の日」に近いのかもしれない。

ここまで生き延びた。
まだ続いている。
まだ終わっていない。

その確認である。

だからこそ、誕生月のセールとの付き合い方も、少し考えたい。

祝われているからといって、財布を明け渡す必要はない。

「自分へのご褒美」は、便利な言葉である。
便利すぎて、だいたい危ない。

誕生日だから。
クーポンがあるから。
プライムデーだから。
今だけ安いから。

この四天王がそろうと、人間は簡単に買う理由を作る。

だから、買うならちゃんと選びたい。

未来の自分が少し楽になるもの。
生活が整うもの。
健康に効くもの。
発信や仕事に使えるもの。

そういうものなら、買ってもいい。

逆に、テンションだけで欲しくなったものは、一回寝かせる。
誕生日を言い訳にした買い物は、たぶん私を祝っていない。
ただ、私の財布を狙っている。

祝福と消費は、似ているようで違う。

そこだけは、誕生月のうんこマンとして、しっかり見極めたい。

人生の絶対的法則


いつだって、人生の絶対法則は「今が一番若い」である。

これは、少し残酷である。
明日の私は、今日の私より確実に年を取っている。

でも同時に、少し優しくもある。

今日の私は、これからの人生の中で一番若い。
まだ選べる。
まだ整えられる。
まだ少しだけ、未来の自分を助けられる。

「もう遅い」と言い訳して、始めなかったこともたくさんある。
YouTubeも、Kindleも、noteも、私はだいぶ長いこと指をくわえて眺めていた。

でも、今が一番若い。
その事実だけは、なかなかしつこい。

現実として歳をまたひとつ取った。

無邪気には祝えない。
でも、まったく祝わないほど、人生を投げてもいない。

だから今年の誕生月は、財布を守りながら、少しだけ自分を労わる月にしたい。

人生優勝の瞬間

祝福の顔をしたセールには、少し警戒する。
でも、本当に必要なものなら、ちゃんと買う。

そして、誕生月クーポンくらいは、ありがたく使う。

はま寿司で寿司を食べるのか。
じゅうじゅうカルビで肉を焼くのか。

そこはまだ、慎重に検討したい。

誕生日がめでたいかどうかは、正直よくわからない。

だが、クーポンで寿司を食べて、腹が満たされて、財布もそこまで傷つかないなら。

それはもう、かなり勝っている。

人生優勝。

少なくとも、その瞬間だけは、そういうことにしておきたい。

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