認知症とは今までできたことが、”部分的に” できなくなる症状と言える
認知症はできないことが”部分的”に生じる
――― 認知症になると何もできなくなる。
世間ではこのようなイメージをもっている人たちが多い。
しかし、認知症になると何もできなくなるわけではない。
今までできたことが ”部分的に” できなくなる、といったほうが良い。
何が”部分的に”かと言えば、認知症は脳の萎縮や変化によって判別されることが多いが、それが起きた箇所によって症状が変わるからだ。また、周囲がその人とどうか関わっているか、どのような環境で生活しているのかによっても症状は変わる。
物忘れがひどくなる人もいる。
場所や時間、季節が曖昧になる人もいる。
歯ブラシやスプーンを何に使うか分からない人もいる。
簡単な質問されても自分で理解・判断できない人もいる。
言葉がすぐに出ない人もいる。
何事にも興味を示さなくなる人もいる。
このような多くの人がイメージできるような認知症の症状が一気に起こるわけではなく、個々の認知症の原因によって大きく又は微細に異なる。
しかし、”部分的” な症状であっても、周囲から見るとそれが「何もできなくなる」と見なすようになる。
「何もできなくなるわけでない」を知っているだけで十分
しかし、物忘れがひどくなっても時間は明確に分かる人もいる。
スプーンの使い方が分からなくても、食べたい物を選択できる人もいる。
理解や判断力が落ちていても、色々なことに瞬間的に興味を示す人もいる。
1つ1つの認知症の症状をカードのように並べていき、その人に起きている顕著な症状を拾い上げていくと、「あれ、意外にできないと思っていることって少ないな」と気付く。
単純に認知症による”部分的”であるが「できないこと」によって起こるトラブルや問題が大きすぎて(大きく捉えすぎて)、「できること」に目を向けられないだけの話だ。
誤解しないでいただきたいのは「できることに目を向ければ、認知症介護は気楽になりますよー」と言いたいわけでない。
介護の仕事をしていても、認知症への対応は大変なものは大変である。「できること」に目を向けられなくなることなんて頻繁にある。
しかし、「できること」に目を向けることも大切だが、認知症は「何もできなくなるわけでない」という事実も知っておくことも大切だ。
それで認知症介護の負担は軽減されるわけでないが、認知症の方に対して「この人は何もできない」と思うのと、「この人は”部分的に”できないことが生じている」と思うのとでは印象が違う。
まずはこの点を知っているだけで認知症介護の取り組み方は変わることはお伝えしたい。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。
